【考察】コントレイルが顕彰馬になれなかった理由②
はじめに
前回の記事でコントレイルが顕彰馬に相応しくないと考えられた理由として以下の3つを挙げた。
①菊花賞以後の成績
②"無敗の三冠馬"という肩書き
③クラシックで競った馬が古馬でG1を勝っていない
今回は②"無敗の三冠馬"という肩書きについて考える。
↓前回の記事
"無敗の三冠馬"の先輩
三冠馬は三冠馬でもよりその価値が高まる存在、それが無敗の三冠馬。
戦前のセントライトに始まり、コントレイルで8頭目となる。
このうち、三冠達成まで一度も負けなかった、"無敗の三冠馬"はシンボリルドルフ、ディープインパクトに続き3頭目となった。
…俺はこのことがコントレイルの評価に影を落としている要因なんじゃないかと思っている。
「無敗の」という形容詞がつくことで比較される対象はおのずとルドルフ、ディープになってしまう。
ルドルフは三冠達成後も有馬記念、天皇賞春、ジャパンカップ、有馬記念を制して4歳の有馬記念までにG1を7勝した。
これはアーモンドアイが塗り替えるまで35年も超えられなかった記録だった。
ディープも相当強かった。
日本では3歳の有馬記念でハーツクライに敗れたのみで、13戦12勝という驚異的な結果を残し、4歳までにG1を7勝した。
コントレイルも無敗の三冠馬である以上、どうしても彼らと比較されてしまう。
G1は5勝、しかし古馬では1勝しか挙げられず、ルドルフとディープが制したグランプリには出走すらせず…と見劣りする部分が多いと言わざるを得ない。
それでもコントレイルが肩を並べられそうなのは安定感かなと思う。
レース数はルドルフやディープより少ないものの、一度も複勝圏を外さなかったのはコントレイルだけだからだ。それでもルドルフは海外挑戦1戦目で怪我、ディープは禁止薬物服用の疑いで失格と力負けではないが…
ただ、ルドルフやディープと比べると見劣りしてしまうのは明らかであり、コントレイルにとってこの点が顕彰馬に選出されなかった理由に繋がったのではないかと思う。
無敗であったが故により高い水準を求められてしまった点は大きいんじゃないかな。
少なくとも彼が"無敗じゃない"三冠馬ならここまでは言われていないだろう。
もちろん、だからといって一発で顕彰馬になれたかは疑問だが…
競走馬コントレイル
ではコントレイルはどうすればルドルフやディープに引けを取らない存在になれたのか。
まず考えられるのは、3歳時のジャパンカップで九冠馬アーモンドアイに勝つことだろう。
これを果たせていれば、2020年の年度代表馬は間違いなかっただろうし、今年の顕彰馬にも選出されただろう。
コロナ禍で海外に行けなかった以上、彼がルドルフやディープに実績面で並ぶにはこれが最大のチャンスだったように思う。
アーモンドアイに勝てなくても、天皇賞秋のエフフォーリアには何が何でも勝たなければならなかった。
当時のエフフォーリアが強かったなんて言われんでもわかってる。
それでもエフフォーリアのその後や相手関係を見ても"無敗の三冠馬"を誇示するなら絶対に勝たなければならないレースだったと今でも思う。
他はグランプリに出ることだろう。
脚部不安だった宝塚記念は仕方なくても有馬記念は出ようと思えば出れたはず。
せめてここでエフフォーリアにリベンジを果たせれば2021年の年度代表馬になれた可能性はある。
ちなみに大阪杯は仕方なしと考えている。
これもレイパパレやモズベッロのその後を考えれば勝たないといけなかったが、重馬場と雨は言い訳にはできる。
ルドルフもディープも生涯無敗だったわけではないのでこれはノーカンでもいい。
種牡馬コントレイル
やっぱり改めて振り返ると数もこなせて場所関係なく強かったルドルフとディープの強さが際立つな…
それでもコントレイルが彼らを逆転するチャンスはまだある。
それはディープ以上の大種牡馬になることだ。
種牡馬として走る産駒をたくさん出せれば、競走馬としては彼らに見劣りしても種牡馬としては肩を並べる、あるいはそれを超えられるわけだ。
今年のセレクトセールではコントレイルの産駒が相当な高値で売られた。
特に高額だったのは、コンヴィクションの2023(牡)の5億2000万(購買者:ノースヒルズ)やバイバイベイビーの2023(牡)の3億3000万(購買者:前田晋二氏)、シーズアタイガーの2023(牝)の2億8000万(購買者:藤田晋氏)など。
これだけ期待を受けているわけだし、コントレイルには種牡馬として大成功してもらいたい。
願わくば「古馬になっても圧倒的な強さを見せる無敗の三冠馬」が出てほしいなと。
そうなれば父と自身に次ぐ無敗の三冠馬を輩出できれば父系三代で無敗の三冠馬というこれまでにない快挙になるし、コントレイルの強さの証明にもなるからな。
終わりに
今回は"無敗の三冠馬"という称号によってコントレイルに求められる水準がどうしても高くなったがために、顕彰馬に相応しくないと考えた人もいたんじゃないかという考えを書いた。
次は前回の記事で挙げた3つの理由のうち、
③クラシックで競った馬が古馬でG1を勝っていない
これについて考察しようと思う。
いわゆる「戦ってきた相手が弱い」というやつだ。
次でコントレイルについての記事は一旦最後になると思う。
じっくり読んでくれると嬉しいな。