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少女の銅像と片腕【2019/05/29】
麹町から四谷を経て新宿までを歩いた。
麹町駅からすぐのイイジカンというカフェに行った。
苦めのカラメルがおいしい少し変わった素材を使うお店だ。とてもよい。
麹町から四谷はあるいてすぐだ。
四谷の界隈には、小さな居酒屋街があった。アジア料理の店は、たいてい多国籍的な扱いで信用ならないと思った。
「わたしは佐藤ではありません」という文字入りのシャツの男とすれ違った。別に人と会って佐藤だと決めつけたくなることなどなかろうに。不思議だ。
新宿に向かう住宅街は静かだ。閉店したサンドウィッチの店は、介護を理由にしていた。店の人間も家庭を持っている。当然のことだった。
鳩がいた。
四谷の駅の前に銅像がたっていた。トンボへ手を伸ばす少女。まだ幼い弟へ後ろ手にどこかへいってしまうのを制している一瞬だ。そのときの、手のひらを広げている姿が、とても生々しく、心を打たれた。
人の心をうつのは、とても些細な部分なのだと思う。
中央線を越す橋には、太った若い女性が嬉しそうに電話していた。笑顔が優しかった。
遠くには貿易会社の看板と、準備中のスペインバルがあった。事務用品の店の傍らには古めかしいランプが置いてあったが、売り物かはわからなかった。