一歩引いて息長く世界を|ミュージカル『レ・ミゼラブル』を聞きながら
🎼ミュージカル『レ・ミゼラブル』
今回は、ミュージカル『レ・ミゼラブル』から、1曲紹介したいと思います。
このミュージカルは、虐げられた民衆が、それでも小さな幸せを掴んだりしながら、希望を持って立ち上がり、生きていこうとする姿を、ジャン・バルジャンを軸に描いた作品です。
後半のクライマックスとして描かれる反乱。
学生革命家のマリウス(主人公ジャン・バルジャンが引き取った少女→乙女コゼットの恋人)らは、ルイ・フィリップ王政を打倒するために6月暴動(パリ蜂起)を起こします。史実では1832年のこと。
ですが、鎮圧されてしまい、マリウスはたくさんの仲間を失います。
彼らを悼む想いを歌ったのが、"Empty Chairs at Empty Tables"。
🎶Empty Chairs at Empty Tables
以前noteでラミン・カリムルーを紹介したし、別の歌い手がいいかなといろいろ聞き比べてみたけれど、やっぱりラミンの歌唱が響きました。(それに、私の乏しい知識では、著作権クリアが明らかなものが他になさそうだったから。)
舞台や映画のシーンを切り出した歌唱だと、どうしても演技が勝りすぎて、単発で聞くと皆様がうまく乗れない(置いてきぼり)かしらとも思ったのです。特に、ミュージカルに慣れていない方にとって。
その点こちらは、この曲の本来のポテンシャルを、物語の文脈とは少し離れた地点からやや観念的に、でも感情の彩り豊かに歌い上げています。そして、ともすれば感情に流されて発音が曖昧になりやすい"演技"ではなく、言葉のひとつひとつまでおろそかにせず、丁寧に歌い上げています。
⭐️一歩引いて息長く世界を
今起きている戦争について、ニュースなどで現実を知ることにも努める一方で、暗鬱な気分が溜まってきたらこういった歌の出番なのではないかと思っています。
哀しみとか痛みを、物語の地平に横たえることによって、少し引いた地点から眺めることができます。
(幸いなことに)今現在戦争のただ中にいない私たちが、適切な距離を取って考え*続ける*ことができるように思うからです。
(あくまでも、両輪の1つとして。少し息抜きする感覚で。)
災害心理学の専門家も、ロシア、ウクライナのニュースに、適切な時間(量)を考えながら接するように、と説いていました(トラウマのある人や子どもは特に)。
そういえば、2年前の全国一斉休校の頃に、とある精神科医が、例の流行病について「関連ニュースは、精神衛生上MAX4時間/日まで(個人差あり)」という指針を出していました。当時の濃さと緊迫感で、ということになると思います。
数日前、アフガニスタン緊急人道危機についての、ユニセフからのDMが、郵便ポストに入っていました。
いつもは青白基調なので、黄色と黒が目を引きます。
私の知り合いが、「日本はなぜ、ウクライナだけに注目するのか」とアラブ出身者に問われたと言います。
世界のあちこちにある危機に、ますます支援の手が回らなくなる。その意味でも、一刻も早くウクライナに平和が戻ることを願っています。
こちらも、一歩引いて支援し続ける一助になるかもしれません。
『サピエンス全史』著者ハラリさんの見通し(web河出)
↓ここからは(も)ひとりごと・近況
最近ずっと戦争や平和のことばかり書いていて、そろそろふだんの私に戻りたい...と思うのです。
でも、相変わらず小説を書いているので、なかなか他の創作には集中できません。
たぶん、ウクライナのことがなかったら、あまりnoteに顔を出していないかも?
そんな中、Googleのクラウドの容量オーバーが迫ってきたとの通知があり、いろいろ別メディアに退避させている間に、昔書いた短編(掌編)...というか詩みたいなおはなしが出てきました。
そのうち掲載しようかな。
(自分の過去作見るとぞわっとするわ(^^;)
あとは、こんなご時世だからと原民喜さんをいろいろ読んでいます。読みながら寝落ちすると、夢から夢に降りていくみたい。