ペルセフォネーのうた|詩
絹の肌ざわりをした悲哀のみを
素肌にまといかけ
天女は横たわり
貴やかなるまなざしで
彼の心に 灯火を供えた──
💎
わたくしが
お教えできるのは
悲しみの秘儀だけ
心の襞に
身体の脆いところに突き立った傷
大切なものを失くした日の寄る辺なさ
細く嶮しい人生の旅路も
いつか訪れる終わりの刻も
それが不安なのなら
あなたの心の奥津城に眠る
一番 澄んだ寂しさを
ここに置いていって下さい
わたくしが預かるのは
あなたの形代
その
月の光でできた
やわらかなさざ波をこうして抱いて
母の慈しみと
恋する女のひたむきさで
護り抜きましょう
あなたが味わう悲しみのうち
ひとつとして
わたくしに看過ごされるものはなく
またひとつとして
ともに唏かれぬものはありません
人目を忍んでこらえた涙は
すべてここに集まり
泉のように静かな水文を揺らして
浄めの水となり
あなたがここに還るのを待つ
やがて
その泉の水を浴び
原初の青い炎を眼差したあと
魂の双子として
ふたり寄り添い
永久の眠りに誘われましょう
滅びゆく身体の痕に
静けさだけを 遺して
個人的に、ギリシャ神話で一番好きなのが、この女神。冥王妃ペルセフォネーです。
私が思うペルセフォネー様はこんな感じのお方です。
今月中に公開すべく鋭意準備中の(間に合うよね💦)「アモールとプシュケー」にも、わりあい重要な役どころとして登場なさいますので、個人的にとても楽しかったです。
そして、誤解のないように断っておかねばなりません。この詩の骨子は私の発案ではなく、オスカー・ワイルドとヘッセのお言葉を頂戴し変換した、いわば*詩による読書感想文*ですm(._.)m オマージュ?でいいのかな??
冒頭の「彼のひと」=ワイルド、「ひとつとして看過ごされるものはなく」の連がヘッセ由来です。ヘッセというより、イエスさまかな?
そして、表層のイメージ(見かけ)は、古典派やアカデミスムの絵画から拝借しました。
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