初めて食べたファスト・フード
私の母は、肉類が全く食べられない人でした。
故に、私は幼少のころ、めったにお肉を食べる機会がなく、我が家の食生活はまるで厳しい修行中のお坊さんたちの食事のようでした。
その上、私はとても好き嫌いが多く、給食もほとんど残していました。
物心ついてから中学校に入るまでの食生活は、ヤクルトラーメンを食べたことしか記憶に残っていません。
そんな私が、中学に入ってから夏休みに夏季講習に通うことになりました。
勉強をする代わりにお弁当代を毎日もらえることになり、嬉々として塾に通っていました。
その夏、私は生まれて初めて「ケンタッキー・フライド・チキン」を食べました!
生まれて初めて食べるファスト・フードの味に、私は酔いしれて、夏期講習の期間中、毎日ファスト・フードを食べまくりました。
マクドナルド、ロッテリア、ドムドム、シェイキーズピザ…。
夏期講習と成長期が重なり、私はひと夏で人生最大の体重になりましたが、夏休みが終わると元の食生活に戻ったので、風船がしぼむように元のヒョロヒョロした体型に戻りました…。
あの夏、勉強になど全く身が入らず、ひたすらお昼休みを楽しみにしていた私にとって、ファスト・フードほど元気になる食べ物はありませんでした。
今は自分でいくらでも購入することができますが、ファスト・フードを食べることは滅多にありません。
嫌いになったわけではありませんが、あの時のおいしかったという思い出だけを閉じ込めておいた方が幸せかもしれません。
私にとってはレストランのディナーよりも有名店の料理よりも、あの夏のファスト・フードは何よりもおいしい食べ物だったのですから。