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【TOARISE】評価・感想

 某ゲームがバグだらけでプレイできたもんじゃないのを良い事に久々にテイルズをプレイしてみました。今回はその感想と評価。


● シナリオ

○(従来と比較して)同人臭さがかなり消えた
○(従来と比較して)ヘンテコな言い回しが減った
○第一部の主な流れは悪くない
○ほどよいサブクエ
×後半に詰め込み過ぎ
×設定の後出しジャンケン感


・メインシナリオ
 前半は割と軸がきちんとしていますが、冗長なくだりは多いです。わざわざ言葉で説明するまでもない「俺達仲間だぜ!」的なやつとか、退場したキャラのエピソードとか、1, 2回で充分な部分をクドい位にやります。また、そんなに引っ張る必要の無いエピソードを恒例の「……」で思わせぶりに引っ張り続けたり(シオンの茨とかリンウェルの仇とか)。それらのツケを終盤で支払う形になっていて、第二部以降はひたすら設定を垂れ流しながら進行する形になっています。もっと序中盤辺りにやれ定期。

 またその設定群も無理があるだろう、っていうのが多すぎてツッコミに事欠きません。全体的に根拠に欠けていて「仮説を立てる→現状を見るにそれは間違いない"だろう"→行動」の連続なのでずっとふわふわした状態のままエンディングを迎えます。

唐突にラストダンジョンの通路の途中でスキットが発生して「もしレナス=アルマが~」とか言い出したときは笑ってしまった。もう絶対レナス=アルマ無しで解決する流れじゃん……。予防線ではなく伏線張って、どうぞ。


・サブクエスト
 こちらはストレス要素も少なく、報酬が多めでまずまずだと思います。気になったのは服をなかなか着替えない奴と、ギガント回避に誘導してしまいがちなクエストくらいでしょうか。個人的には美食家シリーズが綺麗にオチが付いてて好きです。


・キャラクター描写
 従来作品に比べると癖が少なく割と万人受けするんじゃないでしょうか。シナリオの都合で引っ張り過ぎて「なんで?」とか「3回も(ヒステリックに)叫ばせるなよ」みたいな部分がありましたが、それでも従来作品に比べれば十分に魅力を描けていると思います。

 ただロウだけは特徴付けや理由付けに難儀した感があります。急に体を張ってみるシーンが出てきたり、パーティを先導するシーンが出てきたりしましたが、どうにも「こいつである必要無いな」っていうのが払拭できませんでした。雑に動物に懐かれる属性貼り付けられたときは、そんなに扱いに困るなら設計見直したらいいのに…と可哀想になりました。

 ヴォルラーン君……?知らんなぁ…。


● グラフィック

○背景やフィールドのグラフィックが美麗
○メインのキャラクターデザイン担当が1人に
○3Dモデルの表情の変化が豊か
×ただし細かな動作は露骨に暗転カット
×アニメーションのクオリティが極端に低い


・背景やフィールド
 独特の質感があるものの、綺麗にまとまっています。テイルズシリーズで「ここの風景ちょっと撮っとこう」なんてことはまず無かったので新鮮な気分です。


・キャラクター関係
 モデリングもアニメ的な表現をしているにも関わらず、背景のリアルさに溶け込んでいてよく出来ています。その表情自体もよくできており、ともすれば漫画的な表現なのですが、違和感なく見ることが出来ます。残念だったのは細かな手の動きや体の動きは露骨に暗転を挟んだり、視点を変えて誤魔化していたことくらいでしょうか。

 デザインに関してはむしろ何故今までダブルとかでやらせてたのかというのが正直な感想。複数有名デザイナー起用といういらんアピールによる欠点がやっと消えました。顔面はゲーム内モデリングやアニメ絵で寄せることは出来ても、衣装部分を寄せ切ることが出来ずどうにもチグハグ感が拭えなかったのですが、今作でようやく改善されました。厳しい言い方をするとやらなくて良い事をやっとやらなくなった


・アニメーション
 その反面お決まりのOPやED、ストーリー中のアニメーションはシリーズで1位2位を争うレベルで低クオリティでした。3Dモデルにも元デザインにも寄せられておらず、動かし方もぎこちない、3D背景とキャラクターの回転がマッチしていない等、はっきり言って良い所が一つもない。思い切って捨てて全部3Dモデリングにした方が良かったと思います。


・各種エフェクト
 こちらも綺麗でよくできています。できていますが後述するバトルシステムとは非常に相性が悪かったです。特に人型のボス戦はエフェクトに埋もれてモーションが全く見えず、遠距離から強技ぶっぱに拍車をかけています。


● サウンド

○違和感のない声の演出
○爽快感のあるSE
×BGMにコーラス多過ぎ
×頭に残らないBGM
×BGM音量が大き過ぎたりブツ切りになったり(終盤)

 どのシリーズ作品もなんだかんだBGMは頭に残っているのですが、今作はほとんど記憶に残っていません。別に悪いBGMではないのですが……良く言えば聞き疲れのしないBGM。頭の中に残ってるのは前半の通常戦闘曲と下水道とかで流れてた曲くらい。

終盤は何か設定をミスッてるんじゃないかってくらいBGMが大き過ぎてボイスが聴こえなかったり、唐突にBGMが切れたりします。BGMが途切れた瞬間またホラー演出やるのかと身構えましたが特に何もなかった。


● バトル

○術技リソースがシンプル
○回復術が使いやすく
×レベル補正強すぎ
×難易度を上げてもただ固くなるだけ
×回避がモーションキャンセルして出せない
×敵のモーションがエフェクトで見えない
×敵の種類が少なすぎる
×スーパーアーマー(SA)やり過ぎ
×システムに合わない味方AI


・リソース関係が改善された
 術技関係のリソースがAGに集約され(回復や補助系はCPも絡む)消費が系統毎に分かれていて(1~3)CC制より管理がしやすくなりました。それでいてTP制のような大味さも無く、シリーズではかなりスッキリとしたきれいな設計になっています。

 また回復がCPという別リソース利用になったためCC制採用以降、いまいち使い勝手が悪かった回復術もこれで改善されました。

しかし後述するクソみたいなゲーム性のせいで全部帳消しになっています。どうして……。


・脱コンボゲーで強技ぶっぱゲーに
 いつものテイルズの感覚でコンボをしようとしがちですが、本作はコンボゲーでは無いです。何故なら雑魚を含めあらゆる敵にスーパーアーマー(SA)が設定されており、特にボスや大型敵はほぼ仰け反らないからです。その割にはAGの仕組み、空中技連携、チュートリアル、序盤の技の少なさから、まるでコンボゲーの装いをしてくるので気付くのに遅れるプレイヤーは結構多いと思います。実は技を繋げる必要などなく、強い技を連発すればよいゲーム性になっているので、実質的な難易度は従来より低いです。

 そもそもシリーズ初期の方は強技ぶっぱの傾向が強く、そこからゲーム性を引き上げるためにコンボゲー方向に進んできたのにまさかの原点回帰。そういう意味では新規プレイヤーの方が受け入れやすいと思います。既存プレイヤーにはコンボゲーを求めてやってる人も多いと思うので、不満に感じる人も少なくないんじゃないでしょうか。

 敵の種類が少ない事、終盤のストーリー展開、大型敵+ボスの多さも相まって、既存プレイヤーやゲーム慣れしている人は高火力技・便利な遠距離攻撃手段を模索し、延々とポチポチ叩き込む作業に入ると思います。弱点連携が無くなったこともこれに拍車を掛けていて、有効な技をひたすら繰り返すのが一番効率が良くなっています。ゲーム性はシリーズでもワーストに近いかもしれません。


・なのに味方AIはコンボゲーのそれ
 回避に関するAIは比較的優秀なのですが、戦闘に参加させると無暗にコンボを繋げようとするので回避出来ずにしょっちゅう被弾します。これのせいでCPをドカ食いするため、CP制による回復制限とアイテム価格の高さが必要以上に重くのしかかり、緊張感を通り越してただの窮屈になってしまいました。敵の数が多い時やボス戦は作戦を「回復以外何もするな」にすると、回避に専念してくれる分遥かに安定します。味方はブーストアタックを添えるだけ。


・ボス戦や大型戦は壁殴り作業
 SAが強すぎてどれだけ殴ろうが、回避しまくって全てカウンターに繋げようがSAが剥がれないため、ただ固い壁を延々と殴り続けるような状態になりました。本編で度々出てきた「壁を壊す」ってこういうことだったんですねぇ……え?違う?

 サンドバッグ状態になるのを防ぐ為にSA、しかしSAはコンボ要素と非常に相性が悪い…というのを解決するためのカウンターレイドだと当初は期待していたのですがね……。雑魚戦は特性や重量を考慮させるサンドバッグ、ボス戦は敵の攻撃見て回避→カウンターレイドからのコンボで戦うんだよ、みたいな感じで丁度良かったんじゃないかと思います(コンボ抜けはプレイヤーの技量次第で更に繋がるような感じ)。

 一見ダウンさせてその間に火力を叩き込むモンハンライクな戦闘に見えなくも無いですが、敵モーションがエフェクトで隠れて見えない事、小型の敵も多い事、モーションの長い術技が多い事、モーションをキャンセルして回避が出来ない事も相まって、モンハンの足元にも及んでいない状態です。(モンハンがアクションとして優れてるという訳でも無いのに……)


・被害者
 ロウです。最もこのゲーム性のあおりを受けてしまったのが彼で、コンボを叩き込まないとなかなか火力が出せず、格闘タイプの割に全体的にモーションが長くもっさりとしているので今作のシステムと非常に相性が悪いです。出る作品を間違えてないか


● UI

×フラットデザインの弊害
×フィルターやソートが使い難い
×何故かアクセサリ装備でページ送りが出来ない
×1画面で表示できるものをボタンで態々表示切替させる

 個人的にUIというのは過不足無ければ100点、これはすごい、というものがあれば10000点みたいな感じで考えています。それを踏まえてこのゲームのUIは90点。


・フラットデザインに関して
 各種アイコンがフラット過ぎてかなり分かり難いです(特にアイテム系)。PS2やGC時代くらいのアイコンの方がかなり判別し易かったように思います。

 ……というかこのゲームに限らずあらゆるシステムに言える事なのですが、特別なセンスが無い限りアイコンをフラット化するのは止めた方が無難だと思っています。そもそも「アイコン」というのはパッと見て判別できてナンボの記号なので、フラットデザインとは相性が悪いです。今時アイコンが多少グラフィカルになったところで読み込みが遅くなったりはしません。取り敢えず周りがそうだからで合わせるの止めない……?


・アクセサリ系メニューの使い難さ
 本作における唯一やり込める……というか柔軟性のあるシステムなのですが肝心のメニューが使い難いです。フィルターはアクセサリ強化画面で欲しいのであってスキル移植画面では要らないですし、そのフィルターも掛けたいから開いているのに全部デフォルトでチェック入っていたり(全て外すボタンが無い)、スキル一覧もまるでランダムで表示されてるのかと思うくらいバラバラで目当てのスキルが見つけ辛いし、一覧画面ではスキル詳細見れないし、どうしてこうなったのか。

 また項目数が多くなりがちなアクセサリ装備画面で、何故かページ送りが出来ずいちいちスクロールして目当てのモノを探さなくてはいけない嫌がらせみたいな仕様もマイナス。


・メニュー全体のレイアウト
 画面上スペースがあり余っているのに、選択リストがいちいち小さくてやたらとスクロールさせる仕様はどうにかならなかったんでしょうか。スペースが余っているのにヘルプをわざわざボタンで呼び出させるのも???

 最初の方はもっといろいろなカスタマイズ項目があって、それを削除した結果こんな感じになったんでしょうか…?


● その他システム

○アクセサリのスキル移植は悪くない要素(UIは悪い)
○釣りは結構楽しかった
×武器と防具の要素がシンプル過ぎる
×余計な熟練度・使い込みシステム
×牧場とかそういうのいいから
×DLC出張り過ぎ


 装備関係(武器と防具)がシンプル過ぎて、ただ上位互換に換装していくだけなので定期的にガルドを消費させられるだけの要素に成り下がっています。装備のカテゴリや種類自体も少ない、特殊効果も大して無いので使い分けもクソも無い。ここまでシンプルだと一体何のためにあるのか本気で分かりません

 熟練度や使用回数、戦闘中の閃きなどのカビの生えた要素もただ煩雑なだけなので、スキルパネルに全部詰め込んでしまった方が良かったと思います。ただポチポチしてカウント増やす作業とかもういいから。

 牧場に関してはそもそも作りこまれているわけでも無く、ただの食肉供給所という、取って付けたような要素そのもので、それなら普通に雑貨屋で購入できればそれでいいはずです。

 DLCの表示関連はただ邪魔なだけで完全に無駄になっている気がします。買う奴は何もしなくても買うし、買わない奴はこんなことしても買わない。無視したくてもキャンプやる度、起動する度に無理矢理視界に入ってくるので流石に鬱陶しいです。

 アクセサリと釣り以外のシステムは悉く取って付けたようなものになっていて、マイナスこそあれプラス要素が皆無なので全部無駄です。無駄にしないようにするためには、術技回数で術技を改造できるようにするとか、武器や防具に何らかのオプション付けられるようにするとか、それくらいの作り込みが必要でした。(全部D2やんけ……)


● 総評(★3 : 凡作)

 5段階評価で言ったら★3の凡作という感じでしょうか。色々グラフィックとかシナリオ(前半)とかは頑張ってはいるんですけどね……。テイルズにシナリオは期待していなかったので、システム面の作り込みの甘さ、バトルシステムの退化は個人的には致命的だったように思います。

せめてバトル方面が他3Dアクション系に学んだ作りであれば、シリーズ作品とはベクトルの違うものとして受け入れられたのですが……。

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