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「あか」と「きいろ」の思いやり

ヘルプマーク

電車やバス、街中で、ひときわ目を引く真っ赤なタグ。「ヘルプマーク」と呼ばれ、縦長の赤地に、白い「十字」と「ハート」が印象的です。カバンなどに付けている人が増え、すっかりおなじみになりました。

2012年、東京都福祉保健局(2023年「福祉局」「保健医療局」に分割)が、独自に考案した「ピクトグラム(絵文字・図記号)」です。外見からは分かりにくいものの、支援や配慮を必要としている人たちが「ヘルプマーク」を身につけることで、さりげなく周囲に知らせられるように、と作成しました。

義足や人工関節を用いている人、内部障害や難病の患者さん、妊娠初期の女性など、周囲が気づきにくく、でも疲れやすかったり、優先席に座ることを必要としていたり、突発的な出来事への対応や階段の昇り降りがスムーズにできなかったり。さまざまな障害のある人たちにも広がり、さらには高齢化が進んだため、年配の方が身につけている姿も、よく見かけるようになりました。今では全国に広がっています。

周りの人たちに「合理的配慮」を呼びかけるサイン。そんな言い方ができるかもしれません。見えにくい「生きづらさ」や「困難」を抱える人たちに、周囲が、ごく自然に、援助したり配慮したりできるようにする。そして、その「生きづらさ」や「困難」を軽減したり、解消したりする。

イエローリボン

似たように、「黄色いリボン」で、「合理的配慮」を呼びかけるサインがあることを、最近読んだ新聞記事で知りました。

「イエローリボン」。こちらは、犬が主役です。「みんなのイエロードッグプロジェクト」と呼ばれています。

犬にも、いろいろな個性や特性、性格があります。ほかの犬や人間、子供が苦手だったり、何らかの事情で「怖がり」だったり、その反動で、強く吠えかかってしまったり。ほかにも、ケガや病気で療養中だったり、まだ人間やほかの犬に慣れていない保護犬などがトレーニング中だったり、さまざまなケースがあります。

そこで、「近づかないでね」「距離を保ってあげてね」「その場から離れてくださいね」と、配慮を呼びかけるサインを送っているのが、リード(引き綱)に付けた「黄色いリボン」なのです。

新聞記事で紹介されていた写真では、黄色いハンカチのような布を、引き綱(リード)に掲げていたので、映画「幸福の黄色いハンカチ」を思い出しました。

(北海道新聞 2025年1月7日)

幸せの「黄色」で、もう一つ、連想するのは、まもなく引退する点検用新幹線車両「ドクターイエロー」(新幹線軌道総合試験車)です。運行ダイヤが非公開で、その黄色い車両は、めったにお目にかかれる機会がないため、鉄道ファンの間では「見ると幸せになれる」と言われています。

イエロードッグも、まだ見かける機会は少ないようです。実際に、この目で見たことがないので、もし出会えたら、そっと距離を置きつつ、幸せな気持ちをお裾分けしてもらえたら、と楽しみです(^▽^)

次は、誰かに…

思い返せば、日々の暮らしの中で、知らず知らずのうちに、いろいろな人から「配慮」を受けて、「生きづらさ」や「困難」を感じずに、過ごせているのかもしれません。

こう考えると、「次は自分が、誰かに」と、そんな気持ちになります。

街角で、「あか」や「きいろ」のサインに出会うたび、その周りには、たくさんの「思いやり」が隠されている—。そう思いたいな、と。

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