【創作】Go for…

「…え、先輩、同じ組なんですか?」
『仕方ないだろ、人数の関係で…』
「自分の記録会、サボったんですよね?」
『…忘れてたんだよ。』
「そんなことだと思いました。」
『そもそも陸上なんて、俺もお前も専門外だろ?俺はサッカー部、お前はバスケ部で…。」
「しかも先輩は長距離要員で呼ばれたんですもんね。」
『それがなんで100mの記録会なんかに…。』
「とりあえず全員が全種目の記録取るってことになったんですよ。先輩には不本意でしょうけど。」
『う…ま、まぁ、俺も一応男だし?短距離エースのお前とも張り合える自信はあるぜ?』
「…そうですか。」

次の組の方、準備お願いしまーす!!

「そんなに言うなら何か賭けませんか?」
『へぇ…受けて立つぜ?俺が買ったら、ポカリ奢りな。』
「ずいぶん安上がりですね。助かります。」

位置についてー

「じゃあ、私が勝ったら…」

よーい

「今日から一緒に帰ってもらいます。」
『…え?』

パァンっ!!


逆光の中でも、あいつの耳が真っ赤だったのは、きっと気のせいじゃない、はず。



2022.10.17
ラジオ番組のコーナー「わんでい劇場 この曲でこの台詞」
お題 HELLO by福山雅治

曲のサビへ繋がるオチの台詞、話を考えよう、のいう内容のもの。
前身の「わんでい劇場 おじさんはロマンスの神様」にお題がついた感じ。

自分自身が中学はバスケ部所属で、陸上の大会前に短距離要員として招集された経験を元に書き上げたもの。(こんな甘酸っぱい経験はなかったし、エースでもなかったが)
あとは当時、地元を題材にした朝ドラに、ちょい役で出ていた某芸人さんの話も影響している。
イメージはチャラい男子先輩とクール系女子後輩。
※投稿したものに少し加工修正しているため、実際の放送では最後の一文なし。

順番は前後するけど、こうやって少しづつ公開してみよう、かな。