異なる海草藻場および海藻藻場における長期的な堆積有機炭素の再無機化: ブルーカーボン貯留への影響

Yamuza-Magdaleno, A., Jiménez-Ramos, R., Casal-Porras, I., Brun, F. G., & Egea, L. G. (2024). Long-term sediment organic carbon remineralization in different seagrass and macroalgae habitats: Implication for blue carbon storage. Frontiers in Marine Science, 11, 1370768. https://doi.org/10.3389/fmars.2024.1370768

「ブルーカーボン」生態系である海草藻場と海藻藻場における有機炭素 (Organic Carbon, OC) の再石灰化を調査した論文です。沿岸の開発と気候変動は、OCの再懸濁と再無機化が起きやすくなると懸念されていると記述されています。そして、本研究では、 海草藻場と海藻藻場 (Zostera noltei、Cymodocea nodosa、Caulerpa prolifera) の炭素貯蔵量が、微生物の好意的な環境条件下(酸素飽和、栄養素の制限なし)でどのように分解されるかに焦点を当てています。

考察では、藻場におけるOCの再石灰化の速度の違いについて注目しています。例えば、Zostera noltei のような小型な海草の種は 1 年後には堆積物中の有機炭素が完全に再石灰化されると示しています。一方では、Cymodocea nodosa (海草)や Caulerpa prolifera (緑藻類)は難分解性有機炭素の一部を保持していると示しています。これらの違いは、種の構造の複雑性に関連しており、海藻は難分解性の有機炭素をより多く生成する傾向があるからだと考察しています。再石灰化の過程でこれらの生息地から溶存有機炭素が放出されることで、微生物群に相当な炭素源が供給され、地域の生態系に影響を与え、炭素循環に貢献する可能性を示唆しています。本研究では、大型の海藻・海草と比較すると初期の炭素貯蔵能力は低いものの、OCの放出や撹乱時のCO2排出に寄与するという役割を考慮し、大型の植物種を「ブルーカーボン」保全プログラムに含めるべきであると主張しています。

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