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キューバの国民的バンド Los Van Vanを知っているか?
キューバの音楽の話はよく聞くが、現実は社会主義国であり、アメリカとの国交もないらしい。オバマ政権のときに多少雪解けムードはあったものの、トランプ政権ではまた元に戻ったという感じだ。
そういった音楽が街中にあふれている国にも国民的なメジャーなバンドはいる。それがJuan Formell y Los Van Vanというバンドだ。ファンフォルメルという人が1968年に結成したバンド。今でも現役。スペイン語で”y”は”and”だから日本語では「ファンフォルメルとロスヴァンヴァン」ということになる。
とはいうものの現在ではファンフォルメルは亡くなってしまって息子のサミュエルフォルメルがリーダーをやっている。
音楽は今現状では陽気で素晴らしいサルサバンドなのだが、やはり経歴が長いということでいろいろ面白いので書いておく。レッドツェッペリンと同期のバンドだ。
これが69年のファースト。ラテンというより欧米のポップスをマネてバンドは始まったようだ。ちなみにファンフォルメルはベーシストのリーダーでほとんどの曲を作曲している。なんとなく60年代の日本のポップスのようでもある。楽器編成はキューバによくあるチャランガ編成といってフルートがリードでストリングスがバックになる編成だ。エレキギター等は基本的にない。
そんでこの後すぐに大阪万博のキューバパビリオンでライブをしたとか。
転機が訪れたの74年のサードアルバムのときだ。チャンギートというドラマーが加入してリズムを強力なものにした。そのリズムをソンゴといった。チャンギートはドラムの天才で西洋人が考える以上に多彩なキューバのすべてのリズムを叩けたという。ビルブラッフォードのドラムが入ったイエスのラテン版みたいな曲をやっていたのだ。
これがバンドの練習風景だけど、こういった演奏をスティーブガッドなんかがキューバまで見に来ていたという。本当だろうか?
あまり社会主義国家でのレコードリリース事情というのは良く分からないが2年に1作くらいのペースでヴァンヴァンはレコードを出していたようだ。資本主義国家と比べてそれほどガツガツしていない感じだろうか。社会主義を賛歌する曲も多いが、大概はおなごのことを歌った曲だ。
79年の5作目がラテンロック路線の最後のアルバムとなってしまったようだ。80年代にバンドは明確なサルサ路線に転向した。というのもアメリカでサルサが爆発的に流行していたためキューバでも流行したのだそうだ。これは面白いことで、そもそもキューバやプエルトリコの音楽がアメリカで成長して、またキューバに戻ってきたということになる。クラプトンを聴いてブルースをやり始めた黒人みたいなものか。
これが80年代初頭に世界的にヒットした曲。Sandunguera "Por Encima Del Nivel"。かっこいいとしか言えない。
そんで最後に、ロスヴァンヴァンを日本で有名にしたのは作家の村上龍。いろんなメディアで紹介していた。村上はキューバを舞台にトパーズというヘンテコな映画を撮って失敗とかしてたけど、私が言いたいのもこのビデオとだいたい同じです。
アメリカの敵のキューバのバンドだというのにヴァンヴァンは足繁くアメリカツアーをやってグラミーも受賞している。アメリカでも評価の高いバンドということだ。そのままアメリカに亡命したメンバーもいたとか。
ちなみにアルバムが何年の何作目かというのはあくまで私の感触で書いた。あまり資料がなかったのでウソを書いている可能性も大だ。それくらい日本では謎のバンドだと思う。
おしマイケル。