
合格率90%の嘘と真実|総合型選抜塾業界の解体新書
前書き
この度は、私たちがまとめた「総合型選抜・塾業界のリアル」に興味をお持ちいただき、ありがとうございます。本記事は、総合型選抜(旧AO入試)をめぐる学習塾業界の実態や、人材育成に関わる課題・ノウハウを余すことなく解説したものです。
この記事は有料価格に設定されていますが、公式LINEの追加で【完全無料】で読むことができます。本書で扱う情報には、塾業界のビジネスモデルや、合格率の算出方法、講師の稼働形態など“センシティブ”なものが含まれています。公にすることで誤解や混乱を招く可能性もあるため、特にデリケートな部分を含む後半に関しては限定配布としています。

公式LINEを追加して完全VERをゲット!
追加後に『解体新書』とメッセージいただくと、完全版をプレゼントいたします。(メールアドレスの入力が必要です)
本書を読むメリット
総合型選抜の塾業界の全体像を短時間で把握できる
生徒や保護者の立場からは見えにくい、塾運営の内側を覗ける
自身の教室運営・リソース活用に関するヒントが得られる(同業の方におすすめ)
著者紹介
中村京香/ブルーアカデミー代表

大阪市に生まれ、名門城星学園幼稚園/小学校から清風南海中学/高等学校に進学。高校時に大学受験のためだけに勉強する日々に疑問を持ち、ニュージーランドに単身留学。海外留学中からIT企業での勤務を始め、受験勉強と並行してWEB制作会社の立ちあげにも携わる。飛び級して帰国後、横浜国立大学経営学部に進学。現在はCLEA.株式会社の代表取締役を務める。
高校3年生の頃、自身が合格した次の日から、総合型選抜の専門講師を始め、ブルーアカデミーを創業。創業から3年間で合格実績の更新を続ける快進撃を見せる。幼稚園/小学校/中学/大学受験を網羅している受験のエキスパート。関西圏の入試事情や帰国生入試にも精通。広報活動のみを若手女性が担うことの多い学習塾業界で、カリキュラムの作成から指導品質の管理まで一貫して全てのブルーアカデミーのコンテンツを作り上げ、完全自己資金から起業。ジェンダー問題啓発や女性保護活動などにも取り組む。
塾業界には、女性広報の“容姿採用”、過大広告、売上至上主義など、短期的に儲けるための手法がまだまだ横行している。「結果受かったからいいでしょ?」で終わってしまうところも少なくないが、それでは教育者としての責任を放棄しているのと同じだと感じる。ヒューマンエラーは、学校の先生ですら起こり得るもので、完全にはなくせない。しかし、だからこそシステムとガバナンスを整え、「どうすればエラーを最小限に抑え、起きた場合に適切に対処できるか」を突き詰める必要がある。「自分の娘や大切な身内にも堂々と勧められる塾運営をする」──その覚悟がなければ、総合型選抜という受験生のキャリアを左右する領域には、関わるべきではないとさえ思う。
ブルーアカデミーとは

青春を努力で、彩ってみないか。
全体合格率100% 難関大学合格率89.4%。総合型選抜・推薦入試でワンランク上の志望校合格を目指そう。国内外から最高峰の高校生が集まるオンライン予備校。楽してチート合格も、涙の逆転合格も。ブルーアカデミーなら、どちらも選べる。
友達と過ごす放課後、部活動の朝練、期末テスト帰りのカラオケ、家族と過ごす日曜日。合格のために、諦めていたはずのかけがえのない時間。全部、守って、合格できる。
青春を諦めさせない。むしろ、努力で彩れる場所。それがブルーアカデミーです。
前書き
総合型選抜(旧AO入試、以後総合型)の講師の採用・育成というものは、おそらく大学受験系の学習塾業界の中で最も再現性を持たせづらく、仕組み化がしづらい部分だ。総合型選抜それ自体が研究者人材育成という目的に沿って、「個別具体的な興味意識と高い学力の双方を兼ね備えた学生」を採用するための仕組みである。つまり、本人が合格している要因が、千差万別すぎる。合格した理由が、英検なのか評定なのか志望動機なのか容姿なのか面接での受け答えなのか、開示はされない。(極一部の国公立大学を除く)
当たり前の事実だが、学習塾は「受からせるための努力」はできるが、合格を確約できない。一般入試の場合、100個ある単語、100問あるチャートから99問に対して正答できていれば、まず不合格ってことはないだろう、と予測が立てやすい。だが、総合型は人が直接介入する入試である。土壇場で期待株の生徒が不合格なんてことはよくある。そんな予測不能、関係因数不明、結果分析が極めて難しい入試は『受ける側にとっても大変』なのだから、教える側にとっては『もっと大変』なはずである。
1. 「9割合格」を謳う塾と倍率の現実
これだけ多くの塾が乱立し、そのほとんどが9割前後の合格率を語るが、実際には倍率8倍前後の学部学科がMARCH以上に立ち並び、中には倍率16倍の学科もある。本当に9割超えなわけがない。合格率90%超え!!!は、“彼らの計算方法と独自の論理”の中の『9割(笑)』である。本当に10人に9人が合格していたら、恐らく今頃キャンパスの人口密度がとんでもないことになっているはずだ。そのぐらい、都内の進学校から、独学で、総合型を受ける高校生はほぼ、いない。
2. カリキュラムが「決めきれていない」塾の実情
余談だが、情報が錯綜、悪徳業者が並び立つ本業界では、正直、どの塾も『カリキュラムをぶっちゃけ決めきれてない』のだと考察する。オーダーメイド、パーソナライズ、という言葉は魅惑的だが、落とし穴でもある。決まった仕組みも枠組みもない、でも個別最適化というとなぜか聞こえが良い。
駿台や東進が今でも大学受験対策のトップランカーなのは、決まりきった授業カリキュラムを順番に見ていくだけ、ただそれだけでも成立するほどコンテンツや指導設計が固まっているからだ。
それに、カリキュラムの良さを目利きできるほど、まだ消費者に総合型選抜というもの自体の付随知識が浸透していない、新しいものすぎる。だからこそ、どんどん粗悪な商売元が、広告費用をかければかけるだけ、受験リテラシーのない顧客層を捕まえるという悪循環が起きている。別に総合型選抜のプロがいなくても、仮の塾長を立ててLPやWEB広告さえ作れば「サービスが確立されている感」は演出できてしまう。前払いのビジネスモデルの場合、顧客獲得に資金を割いてから、CS(つまりカリキュラムや具体的な指導内容)を固める、という「後から体裁を整えてどうにかしよう」という芸当ができてしまう。
3. 塾選びの基準は「カリスマ講師」ではなく「良い講師育成の指導・研修ができているか」
私は、塾選びの基準、合格の未来を託す場所を選ぶ意思決定の柱は、『合格実績』だけではなく、『講師育成のための指導/研修』であると提言したい。高校生に指導することも、大学生や社会人の講師を指導することも、同じように教育ではある。監査が入らず、上場もしていない法人ばかりが集い、彼らが唄っている『合格実績』は嘘か本当かさえ検証しようがない。だからこそ、講師育成の仕組みにこそ目を向けてほしい。
4. 総合型選抜塾業界の杜撰な闇を語る理由
本記事では、「総合型選抜塾業界の杜撰な闇」を構造的視点を持って、語ろうと思う。
17歳で自費で90万円の学習塾費用を払い、大手で働き、家庭教師もやって、1校舎2000万円規模の学習塾の事業再建にも携わり、独立した経歴を持ち、顧客でもあり雇われでもあり事業責任者でもあった私中村京香が、なぜブルーアカデミーを作ったのか、なぜ作る必要が生まれたのかを、講師育成という側面を軸に、直筆で語る。想定読者は、正直「総合型選抜の塾って怪しい、信用できない、何をしてくれるのかもわからないし、具体的でない」と思っている消費者(高校生・保護者)や、塾選びの基準が見つけられず悩んでいる方だ。さらに、教育業界に対して何らかの問題意識を持っている学生や、toCスモールビジネス経営を営む同業者も含んでいる。
若い人材の多くはスキルか人格の片割れしか持っていない。
人材の採用と育成。この呪縛から、すべての企業は逃れられない。どれだけ優秀な講師がいても、人材がいても、1人が1日に働けるのはせいぜいMAX8〜10時間。とにもかくにも、ビジネスは、人を雇わないことには成立しない。マクドナルドに、キッチンで働いてくれる人がいないと、ずっと一人でバンズを焼き続けることになるし、清掃やメニュー改善にも手が回らなくなる。
一人店主タイプのアットホームな居酒屋と、家庭教師は似ている。細やかな、個人経営ならではの対話と距離の近さ、居心地の良さが魅力だ。一方で、彼らの体調不良や予測のできないスケジュールによっては、突発的なサービス停止・終了が懸念される。大企業でさえ新卒採用や中途採用に苦労している時代だ。ビズリーチや転職エージェントに多額の仲介コストを払って、みなが優秀な人材の確保に必死になっている。学習塾が、最高級に賢い人材を採用できる“わけ”がない。通常であれば。
6. 大学生アルバイト講師の実態
大体の大学生にとって、塾アルバイトは「保護者対応だけだるいけど、割のいいバイト」である。リアルでシビアなことを言うと、大学生アルバイトは1200円で飲食バイトをするぐらいなら、同期と飲める予備校のバイトで時給2000円もらった方が割がいい、ぐらいの動機しかない。教育に強い志を持って入社するものはなかなかいない。それに学歴は関係ない。早慶などそれなりに箔があると、余計に「うまい手の抜き方」を知ってもいる。
保護者対応はだるい、質問受けの自習時間中はスマホいじっててもOKで嬉しい、ぐらいのテンション。たまに賢いセンスのある天才肌の学生が、善意でいい指導をすることもあるが、それは再現性がない。同じ月謝に対して、講師の当たり外れが生まれる。講師チェンジが多いと、塾側からは裏側でクレーマー扱いをされることもある。
総じて、普通の学生アルバイトはこんなもの、である。別に、この動機やモチベーションが悪いと言いたいわけではない。別にラフな動機でも良い仕事をする学生はいる。ただ、働く動機の比重として高い部分が、効率やコスパ、時給しかない場合、他に優先順位が高い仕事やイベント(サークル、部活、旅行など)がある場合、当たり前に生徒への指導はおろそかになる。授業準備をサボって短縮してみたり、別講師からの伝達事項を流し読みしたり。人はサボる、手を抜く。普通の学生であれば尚更。
7. プロフェッショナリズムと倫理の評価基準
ブルーアカデミーは、採用〜育成時に「プロフェッショナリズム(メンタリティとスキルの双方)」と「倫理」の2つを人材の評価基準としている。前提として、前述したような雑多な動機でうちで働いてもらっては困る。総合型選抜の塾講師というものは、顧客の人生を変えかねない、影響力の強すぎる仕事だからだ。
小学校の時、先生に言われた一言を一生気にする子供がいるのと同じように、高校生はまだ子供だ。特に、自身のキャリアプランや価値観について、強く理解し、言語化する過程を要する総合型選抜受験に際しては、学生であろうが、プロ講師として接するための意識とスキルを持っていて、最低限だと考えている。総合型選抜に関する専門知識、経験、教養、日本語能力、すべてが優先ではなく、必須スキルだ。
8. スキルだけでは不十分、倫理観が不可欠
スキルだけ無駄に高い人材はいらない。一方で、講師がべらぼうにスキルフルなだけでも困る。面白い授業をするならなんでも話して良い、受かるならズルをしたり代筆をしてもいい、といった「特定の“誰か”を中傷することで成立する社会考察」や「倫理観に欠けた言葉選び」を授業内外での生徒とのコミュニケーションに持ち出す懸念があるためだ。
頭がいいだけの人材はアングラに寄っていく。倫理とプロ意識はないが、スキルがある人材をエキスパートのような売り出し方で生徒に指導させても、正直意味がない。差別的な言葉をかけ、VIPと他を区別する。年収管理シートを作ったり、生徒を性的搾取することもある。私が過去に通塾していた場所では、女子生徒の顔写真をZOOM上でスクリーンショットし、個別フォルダに管理している講師がいた。
王道かつ美しい指導・価値提供には、プロとしてのスキルだけでなく、倫理観が必要だ。ただ、大学入学後の学生、もっといえば「保護者の愛と財力」に後押しされて大学に入学したただの大学生に、この2つが備わっているかというと、15人に1人いたら良い方である。
9. 指導者の年齢と経験のジレンマ
では社会人を雇えばいいのか?そうも行かない。総合型入試の動向は「実際に試験を受けていないとわからない情報」ベースで年々アップデートされている。面接官の質問内容、小論文の設問パターン、合格する学生の共通点など。大手の校舎ですら、校舎長が大学生というケースがほとんどだ。
若い感覚は非常に貴重だ。一方で、社会人だが実務は学生にやらせるということもザラにある。経営と指導が首尾一貫していなければ、指導理念や内容にもブレが生じる。また、何を教えるかとは別に“誰が教えるか”という視点もある。大人より年が近い学生かつ、直近で受験に向き合い、苦悩した経験があるメンターのほうが、精神的な支えとしての役目を果たし、伴走支援には向いている場合もある。つまり、若い人材にどこまでプロフェッショナリズムと倫理観とスキルを早期から持たせるかが、人材育成の鍵である。逆に言えば、若い人材がプロ意識と倫理観を双方持っていない、あるいは持たせるための十分な研修や育成制度が存在しないことが、現在の総合型特化系の塾が「よくわからない」と言われる一因なのだ。

ここから先は
¥ 2,500
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?