9歩目「名前を、呼ぶよ。」
「︎︎ 。」
──名前を、呼ばれた気がする。
「僕」を「僕」たらしめる、一つだけのもの。
「僕」が「僕」であるという、ただ一つの証。
それが、誰かの声で紡がれた気がする。
いや……聞こえた気がしただけ、かもしれない。
辛うじて聞き取れるかどうか、という程に
小さな──本当に小さな声、だったから。
「気のせいか……」
呼ばれた気がして振り返ったが、そう言い聞かせて
声の聞こえた方に背を向けて踵を返し、
歩き出そうとして────。
「 。」
────また、聞こえた。
ぴたり、と足を止めて、もう一度振り返る。
辺りを見回すも、人混みに紛れているのか、
声の主らしき存在をなかなか見つけられない。
「 。」
さっきより、ほんの少し声が大きい。
はっきり、"自分が呼ばれている"と分かる。
それに、"自分の近くに来ている"という事も。
僕が今見ている方から歩いて来る人波の中に、
「僕」を呼び続けている人がいる。
名前を知っているという事は、少なからず
全く知らない人、という可能性はない。
「 。」
今度は、はっきりと聞こえる。
少し前まで毎日の様に聞いていたのだから、
聞き間違える訳などなかった。
────大好きだった……いや、違う。
今も大好きな、「君」の声だ。
「 。」
ねぇ、どうしてそんな──切なそうな声で、
「僕」の名前を呼ぶの。
今にも泣き出しそうな、そんな声でさ。
聞いてるだけで胸が締め付けられそうだ──。
「なぁに、 」
そう言って僕は振り返る。
声音の通り、今にも『雨が降りそう』な顔。
『傘を差し伸べたくなる』顔をした「君」が、
そこに立っていたんだ────。
「名前を、呼んでくれ」。
君が、そんな事を僕に言い出した時も、
今にも泣きそうな顔をしていた。
あの日と、全く同じ顔をしている。
あの時、僕は何て答えたんだったっけ。
「うん、分かった。 たくさん呼ぶよ。
君が安心して、心から笑えるように。
僕らの心が、『シアワセ』で溢れるくらい」
────そうだった。
僕と君がこよなく愛した歌の様な、
そんな約束をしたんだったね。
名前を呼ぶよ。
大切な想いや願いが込められた、
「君」だけの為の名前を。
だから────。
「君も、いつもみたいに僕の名前を呼んで。
……あと、それからね、 。」
────だいすきだよ。
それぞれに今を歩いてる僕らが
笑えるように
生きている意味を確かめ合いながら
進めるように
名前を呼ぶよ あなたの名前を
あなたがあなたでいれるように
悲しみに暮れて
あなたの涙がこぼれる時
寂しさに溢れて心がしぼんでく時
名前を呼ぶよ あなたの名前を
僕の名前を呼んでくれたみたいに
引用元:ラックライフ 「名前を呼ぶよ」
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大好きな歌を聞いていて思いついた、
ただそれだけで思うままに書いてみた話なので
全体的にゴチャゴチャしてて申し訳ない(˙꒳˙ก̀)
いわゆる「名前を呼ぶ」系の曲が好きで、
ラックライフさんの「名前を呼ぶよ」や
米津玄師さんの「アイネクライネ」が好きで
一時期、毎日のように聞いていました
(というか、今でも事あるごとに聞いています)。
他にも、歌詞に「名前を呼ぶ」系のワードが入ってて
これオススメだよー!というものがあれば、
コメントに書いてくださると嬉しいです!笑
長文乱文でしたが、ここまでお読み下さり
本当にありがとうございました(* . .))