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沢田研二「人間60年 ジュリー祭り」東京ドーム 2008.12.03.

80曲…。歌ったんだよ、ジュリーが80曲。

泉谷しげるの62曲も凄いけれど、こちらの60歳は、それを軽く超えてしまった。しかも、一部と二部のあいだに約30分の休憩があっただけ。もちろんアンコール前のブレイクはあったけれど、ほとんどが歌いっぱなしの80曲6時間。更に、ステージ上を動き回るということがこれに加わっているのだ。

心の底から驚く。これは本当に凄いと思う…じゃなくて、本当に凄い!

東京ドームという会場の関係上、ライヴの音質やそれぞれの客席からの観え具合。そして6時間という長丁場なため、当然お客さんもファンとしての思い入れとは別に、体力も含めて、それなりの覚悟を持って臨むライヴだったはずだ。ただ、終わってみれば、ジュリーもバンドもお客さん達にとっても、何も特別なことなんかでは無い…と言うようなライヴに観えたことが、素晴らしいと思った。80曲6時間のライヴを当たり前のように演ったジュリーを、当たり前のように観たのである。僕には本当にそう思えるようなライヴだった。今日になっていくつかの報道記事を見たけれど、少なくとも、報道されている内容を膨らませても、その10倍は凄いよ。このライヴの凄さは、あの場にいた人じゃないと絶対にわからないと思う。

終演後、僕の周りには " あー疲れた…グッタリ… " している人なんていなかったし、一本締めでライヴが終了したときは、皆が笑顔、笑顔だった。

このライヴが発表になったとき、東京公演は平日だったので、最初は大阪公演に行こうかと思っていたのだが、せっかく東京で演るのだし、だいいち、こんなライヴはもう二度と観ることはできないだろうから、ジュリーもMCしていたように、皆さん仕事を休んで、学校を休んで、店を閉めて来たのである。もちろん僕も。

さて、ライヴはほとんど開演予定時間通りにバンドによるインストでスタートした。以下に、この歴史的ライヴの記念にセット・リストをあげておきます。もちろん、僕なりに感じたことなんかも書いてみます。

●第一部

  1.そのキスが欲しい(93)
  2.60th Anniversary Club Soda(08)
  3.確信(00)
  4.A・C・B(00)
  5.銀の骨(95)
  6.すべてはこの夜に(84)
  7.銀河のロマンス(68)
  8.モナリザの微笑(67)
  9.青い鳥(68)
  10.シーサイド・バウンド(67)
  11.君だけに愛を(68)
  12.花・太陽・雨(71)
  13.君をのせて(71)
  14.許されない愛(71)
  15.あなたへの愛(73)
  16.追憶(74)
  17.コバルトの季節の中で(76)
  18.巴里にひとり(75)
  19.おまえがパラダイス(80)
  20.6番目のユ・ウ・ウ・ツ(82)
  21.晴れのちBLUE BOY(83)
  22.Snow Blind(05)
  23.明星-VENUS-(87)
  24.風は知らない(69)
  25.ある青春(73)
  26.いくつかの場面(75)
  27.単純な永遠(90)
  28.届かない花々(04)
  29.つづくシアワセ(02)
  30.生きてたらシアワセ(07)
  31.greenboy(05)
  32.俺たち最高(06)
  33.睡蓮(03)
  34.ポラロイドGIRL(89)
  35. a・b・c.....i love you(90)
  36.サーモスタットな夏(97)
  37.彼女はデリケート(80)
  38.君のキレイのために(00)
  39.マンジャーレ!カンターレ!アモーレ!(97)
  40.さよならを待たせて(95)
  41.世紀の片恋(00)
  42.ラヴ・ラヴ・ラヴ(69)

一部だけで42曲です…。しかもこれ、休憩無しでぶっ続けですから。

えーと、ある時期から…特に90年代以降になると思うけれど、こちらから意識して取りに行かなければ、ジュリー側から音楽活動についての情報が届くと言うことは少なくなってきて、結局はそれに比例して、自然と僕は離れていってしまった。だから、一部で歌われた曲の中では、89年の「ポラロイドGIRL」が、僕がリアルに聴いていた最後だ。当然、初めて聴く曲もたくさんある。ここを読んでくれている人には、僕と同じようなパターンもいると思うけれど、そういう人は、知っている曲だけをチェックしてみてください。
おそらく、それだけでもこのライヴがとんでもないメニューだったことがわかると思います。

特に7曲目の「銀河のロマンス」から21曲目の「晴れのちBLUE BOY」までの15曲。この、タイガースの連発からPYG、ソロ・デビューから80年代前半までの代表曲での流れ。例えば、いくら好きな人やバンドのライヴでも、自分のお気に入りの曲が続けて10曲以上も演奏されることは少ない。というかほとんど無いと言っていい。でも、ここは違った。特に「君をのせて」から「晴れのち~」までは、個人的にとんでもないメニューだった。「君をのせて」のヴォーカルの素晴らしさに酔ったし、「許されない愛」の熱唱にはグッときたし、個人的に隠れちゃいけない名曲だと思っている「コバルトの季節の中で」は死ぬほど嬉しかったし、「おまえがパラダイス」では、終盤のハモリに泣けてしまった。

さて、往年のヒット曲や代表曲を披露したとはいえ、メニューの半分は熱心なファン以外にはピンと来ないであろう時代の曲を持ってきたところに、僕なんかが言うのはアレだけど、ずっと現役で活動を続けてきたジュリーの自信が見える。ライヴの最後も、誰もが知っている曲を持ってくれば盛り上がることをわかっていたと思うが、そこにも同様な曲を持ってきたということは、もしかしたら意地のようなものでもあったのかもしれない。

そうは言っても、昨年のライヴでも思ったことだが、初めて聴く曲に、良い曲の何と多いことか! それなりのプロモーションをしていたとしたら、全盛期並とは言わないが、きっと何曲かは大ヒットしたのではないかとさえ思う。

通常のライヴ二回分(笑)の一部が終わり、30分ほどの休憩が入る。ここまでで十分満足なのに、この後に、まだこの倍のメニューを演ってくれたのだ。すげぇなー。

●第二部

  1.不良時代(72)
  2.Long Good-by(08)
  3.涙(72)
  4.美しき愛の掟(69)
  5.護られている I love you(08)
  6.あなただけでいい(72)
  7.サムライ(77)
  8.風に押されぼくは(08)
  9.我が窮状(08)
  10.Beloved(08)
  11.やわらかな後悔(08)
  12.海にむけて(08)
  13.憎みきれないろくでなし(77)
  14.ウィンクでさよなら(76)
  15.ダーリング(78)
  16.TOKIO(79)
  17.Instrumental
  18.Don't be afraid to LOVE(91)
  19.約束の地(92)
  20.ユア・レディ(73)
  21.ロマンスブルー(08)
  22.TOMO=DACHI(08)
  23.神々たちよ護れ(08)
  24.ス・ト・リ・ッ・パ・ー(81)
  25.危険なふたり(73)
  26.おまえにチェック・イン(82)
  27.君をいま抱かせてくれ(94)
  28.ROCK'N ROLL MARCH(08)

●アンコール

  1.カサブランカ・ダンディ(79)
  2.勝手にしやがれ(77)
  3.恋は邪魔もの(74)
  4.あなたに今夜はワインをふりかけ(77)
  5.時の過ぎゆくままに(75)
  6.ヤマトより愛をこめて(78)
  7.気になるお前(73)
  8.朝に別れのほほえみを(68)
  9.遠い夜明け(00))
  10.いい風よふけ(99)
  11.愛まで待てない(96)

第二部からアンコールにかけては、今年のツアーの拡大版といったメニュー。ちなみに「憎みきれないろくでなし」から「TOKIO」、そして「カサブランカ・ダンディ」に「勝手にしやがれ」は、乗ってない人なんていやしなかった。

ところで、今回の僕はアップ・テンポの曲で泣けてしまうというモードだったのだけれど、中でも「ダーリング」「おまえにチェックイン」「勝手にしやがれ」あたりはヤバかった。以前、曲を聴いてこうなってしまう状態を今の地球上にある言葉で表すことは無理だと、似たような別の例を出して書いたことがあったと思うが、これは音楽の持つ力の素晴らしさのひとつであることは確かだ。そして、ジュリーの曲は間違いなくその力を持っている。

今回は、ジュリーのヴォーカルや曲の素晴らしさ以外に、40年前のティーンエイジャー達、30年前のティーンエイジャー達にも感動した。タイガースが歌われた際に " ジュリー! " と叫ぶ姿。「カサブランカ・ダンディ」をジュリーと同じ振り付けをしながら観る姿。それらからは、その人それぞれのジュリーやジュリーの音楽に対する思いや想いが見える。これは本当に感動的な体験であった。正直、お客さんからこういったことが感じられるライヴを、僕はこれまで体験したことが無い。

こういったことも含め、またしても " 音楽って素晴らしいなぁ… " を感じさせてくれたライヴでもあった。

p.s.
最後に、バンドのメンバーにも拍手。東京ドームに立つ下山淳という、とても貴重なものまで観せてもらえました。<2008-12-04 記>

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