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Harry and the Siegfried Live 2020 beat the odds マイナビBLITZ赤坂 2020.01.23.

2018年。ARABAKI ROCK FES。村越 HARRY 弘明 with THE STREET SLIDERS 35th ANNIVERSARY BAND。

スライダーズ35周年名義のバンドを率いて、東北の空へぶちこまれた不滅のブギー。組まれたのはベスト・アルバムのようなリスト。ただでさえ身体が揺れる…揺らされるスライダーズのロックン・ロールを、ココロも躍らせてくれるものとしてHARRYは演ってくれた。

広く歓迎され華やかだったJOY-POPSの全国ツアーに隠れた感はあるが、スライダーズを再結成せずにHARRYがスライダーズしたそれは、点で爆発したからこそ与えられ残されたインパクトと感動は大きく、2018年の個人的ベスト・パフォーマンスと言っていいものだった。

2020年。マイナビBLITZ赤坂。Harry and the Siegfried / Live 2020 beat the odds。

 Vo.& Gt. 村越弘明
 Gt. フジイケンジ
 Key. 高野勲
 Ba. ウエノコウジ
 Dr. 中村達也

このバンド名とタイトルのもと、ARABAKIメンバーが再び集結の知らせ。
しかもフル・ライヴ。楽しみのひとことでは表せない期待を抱いて会場に向かった。

「Can't Get Enough」で始まったライヴは予想がつかず、この先どうなるんだ! 的な嬉しい思いを持ったが、大まかには前半がソロ、スライダーズを後半に出してくる構成。最低限のMCでバンドが次々と曲を出してくるのが痛快だった。

同じフレーズの合唱や、手を同時に突きあげるなどのシーンは、ほぼ見られなかった。しかし、腰に直撃するその音に自然と身体は踊らされてしまう。その心地よさと興奮、喜びと感動は、おそらくこの夜の赤坂でしか味わえないものだっただろう。

演奏されたスライダーズ・ナンバーを覚えている限りあげてみる。

 のら犬にさえなれない
 TOKYO JUNK
 カメレオン
 TIME IS EVERYTHING TO ME
 今はこれでいいさ
 Let's go down the street
 Back To Back
 VELVET SKY
 Angel Duster
 Bun Bun
 Baby. 途方に暮れてるのさ
 Baby,Don't Worry
 Can't Get Enough

ARABAKIとは異なる渋めなチョイスだが、かえってロックン・ロールが引き立つリストになっていたのではないか。

そんな中、ライヴ中盤にさりげなく挟まれた「のら犬にさえなれない」の白眉。HARRYの歌とバンドの音に加え、照明、音響、空気、温度など、あの場に合ったすべての要素が最高点で結実した名曲・名演になった。“ いい曲だなぁ… “ と単純明快な思いで聴いていたら、涙が出てきた。

音楽によって何度も体験しているこうした涙を形容する言葉は何だろう? 今の僕は見つけることができないのだが、あふれるそれは、他人から見たらきっと美しいに違いないと信じたい。

アンコール。まずは “ 3分で終わる曲を演るぜ “ と「サイレンノイローゼ」。そして “ 次は2分半だ “ と「Bun Bun」。最高のロックン・ロールで締めくくるHARRYとバンドは、冬だけでなくココロの寒さまでをも吹き飛ばしてくれた。

終演後、会場を出ての帰り道。ふと、通りでロックン・ロールを拾えるような気がした。<2020-01-24 記>

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