見出し画像

2PIANO4HANDS2022秋 浜田真理子×寺尾紗穂 月見ル君想フ 2022.09.20.

オフィシャルのインフォメーションから引用する。

2PIANO4HANDSは会場のフロアの真ん中にグランドピアノ2台を搬入して2名のピアニストと2台のピアノだけで連日彩る、月見ル君想フの名物イベント。
毎回実力派の人気ピアニストが登場し、ピアニストとピアノの魅力を存分に詰め込まれた企画である。

会場は2台のピアノをぐるっと囲むように座席が配置され、ピアノの楽しみ方をお客様ひとりひとりが選べるような配置になっている。非常に距離が近いので、大迫力の演奏が楽しめる。

向かい合ってセットされたピアノで交互に、さらにふたりは1部と2部では異なるピアノを弾いて歌う。観客が演者を囲む会場は、インフォにある迫力というよりかはひとつになる感覚があり、とてもリラックスできる空間を造っていたと思う。しかしこうした構成は、形式としては対決的な演奏になるし、実際にお互いが出すものを受けて次の一手を考えるという進行も加わり、演奏自体は心地よい緊張感を含みながらの、とても聴き応えのあるものだった。

     **********

浜田真理子が「たましいのレストラン」を投げれば、寺尾紗穂は「さよならの歌」で受ける。マイラストソングとしての「月のあかり」には「骨壺」が返ってくるし、アメリカの古い反戦歌「とってもへんなゆめ」と並んで歌われるのは、疎開小学生と特攻兵の交流で生まれた「浅間温泉望郷の歌」である。遠藤ミチロウ「カノン」とメリー・ポピンズ「Feed The Birds」の、まったく異なるカヴァーがぶつかる気持ちの良さったらない。

MCではいつもの浜田真理子で笑いを取っていたが、こうした濃密で深い音楽のやり取りが全編で行われるのである。自然と " 一音も聴き逃すまい " という姿勢になるだろう、あれは。

     **********

基本はそれぞれのソロだったのだが、1部と2部それぞれのラストを飾る浜田真理子「恋ごころ」と寺尾紗穂「あの日」。そしてこのライヴを締めくくった浜田真理子「あなたへ」はふたりのセッションだった。特に、一瞬の無音状態から「あなたへ」のイントロが鳴った瞬間、息を呑んだ。終わりを告げると同時に何かの始まりも感じさせる数秒に感じたからだ。

オープニングのイントロで「ひそやかなうた」が歌われるとわかった時の感動。誕生当時に比べて、普遍的で大きなラヴソングとなった「Mate」に泣けた。寺尾紗穂が入れたアドリブで魅力が増した「静寂(しじま)」の美しさにも震えた。浜田真理子の弾き語りは最強であることを強く再認識した夜でもあった。<2022-09-25 記>

いいなと思ったら応援しよう!