田中一郎 『SOLO 20th again』 高円寺Show Boat 2008.05.22.
一曲目にいきなり「教会通りのロックン・ロール」がきた! 20代の頃、あのスピード感を会得したくて、この曲をいったい何度弾いたことだろう。と言っても懐かしさ云々ではなく、もちろん今の一郎バンドの曲として放たれている。一気に盛り上がった。
ソロ、ARB、甲斐バンドの曲に、王道ロックのカヴァーを混ぜたメニュー。
※そのカヴァーは「サンシャイン・オブ・ユア・ラヴ」に「ジェフズ・ブギ」!
開演時間が19時半だったとはいえ、ライヴ終了は22時をまわっていた。二部構成、2ドリンク付、白浜久と斎藤光浩の二人のゲストを迎えて…の二時間半。実にロックン・ロールなライヴだった。当然だが4月の振替公演なんてものじゃなく、大満足な夜だった。
一部は一郎バンドのみ。二部から白浜久が加わり、アンコールで更に斎藤光浩が加わる。この三人が揃うので、僕はどうしてもARBの視点から観てしまったが、もちろんそれに対して文句を言うような三人じゃないだろう。
それにしても、今ではファンには普通に知られていることだけれど、同じバンドの歴代ギタリストが、パーマネントなバンドやユニットでは無いにせよ、ある程度コンスタントにこういった形で一緒に活動をしているという例は、他にはあまり無いことかと思うのだが、実際はどうなのだろう? それぞれが在籍していたARBを知っているだけに、最初は違和感があった。決してそれは悪い意味だけということでは無かったけれど。ただ、今では一郎も久も、迷い無くARBの曲を演奏(光浩だけが、在籍時の曲を披露しなかった)しているのだから、ファンとしては嬉しいに決まっている(と思う)。リズム隊も違うから、新しい曲として楽しんで聴くこともできるしね。
白浜久は、自分のソロとARB時代の曲を演奏した。ソロの曲は、一郎が “ 演奏したいと思わせられる曲… “ というようなことを言っていたが、僕も同感で、ロックしていてカッコ良かった。自身が在籍していた時期のARBナンバーからは、「OWE MY OWN」と「NO EASY ROAD」。ある意味ではこの時期のARBの代表曲と言えるんじゃないかとも思うニ曲だが、これを久が一郎と一緒にギターを弾いて歌うのだ。当たり前だが、ステージには石橋凌もキースもいないのだ。凄いな、これ。
さて、所々…というか、すべてが見所だったのだが、例えば甲斐バンドの「悲しき愛奴」。この曲をスライダーズのジェームスが演奏するなんて80年代には想像すらしなかったシーンだ。ARBの「モンロー日記」。あのフレーズを一郎と久が同じステージでユニゾンで弾くなんてことも、やはり80年代には想像できなかったシーンだ。こんなモノを観られることも、一郎のライヴならでは…だろう。
アンコールではステージにARB歴代ギタリストが並ぶ。向かって左から一郎、光浩、そして久。これを観ただけでも圧倒されちゃうのだが、一郎による “ 今夜の集大成です。平和を願って “ というMCに続いて、締めに演奏されたのが「War Is Over!」。たまらんぞ…。
しかも、これで終りではなく二回目のアンコールに応えてくれたのだが、ここでは「Believe in R&R」と「DANCE MUSIC」の連発だ! ロックン・ロール!
一郎のライヴを観ると、やたらとギターを弾きたくなる。この日は、一郎モデルよりもストラトを多く使用していたようだ。歪ませたグレッチも良かった。テレキャスター・カスタムやレス・ポール・カスタムを弾く姿も観たい…なんて思うが、それは贅沢だろうなぁ。<2008-05-24 記>
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