マイ・ラスト・ソング~あなたは最後に何を聴きたいか~ 浜田真理子+小泉今日子×久世光彦 第3回 美空ひばりのラスト・ソング 世田谷パブリックシアター 2011.02.11.
この企画も第3回を迎えた。不定期とは言え、今後も続いていくような気がする。いや、不定期でもいいので、続けていって欲しい。
今回はサブ・タイトルに " 美空ひばりのラスト・ソング " とあった。よって、美空ひばりの曲が歌われることはもちろんだが、文庫化された 『マイ・ラスト・ソング』 には、美空ひばりの「さくらの唄」を取り上げたエッセイが収録されていたので、この曲がライヴの核になるだろうと予想し、事前に読み返し、曲も聴いて臨んだ。はたして、ライヴは僕の予想通りのメニューにはなっていた…が、その予想をはるかに超えた感動を受けるモノであった。
セット・リストは過去の2回で聴いた曲の組み合わせであったし、小泉今日子の朗読するエッセイと曲の繋げ方にも、特に過去と変化は見られなかったのだけれど、選りすぐりの選曲になっていて、まさにベスト・オブ・マイ・ラスト・ソングだった。
そして何よりも浜田真理子による歌が、本当にとんでもなかったのである。あんな歌を聴かされて感動しなかったら嘘である。しかも、朗読されるエッセイがココロ震える内容とくれば、涙腺が決壊せざるを得ないわけだ。
最初のハイライトは、やはり「さくらの唄」だっただろう。美空ひばりの真逆と言える浜田真理子のヴォーカル・スタイルであるが、この曲はもう絶品だった。ピアノで短いイントロを弾いて歌いだした瞬間に持っていかれてしまった。これは僕なんかの文章じゃ、到底伝えることができない。観なければ、聴かなければわからない。でも、観ることができれば、聴くことができればわかる。素晴らしかった。
そして本編のクライマックス。「海ゆかば」から「みんな夢の中」。
ここは何という流れであっただろうか。今、思い出しても泣けてくる。もし " 音楽で美しさを描きなさい " と言われたら、この日のこの2曲を聴かせれば良いこの日のこの2曲が回答になると思う。
音楽からまた何かをもらうことができたという、そんな雪が舞う寒い一日だった。<2011-02-11 記>