見出し画像

八神純子 with 後藤次利 The Night Flight 5 feat 村上ポンタ秀一、佐藤準、北島健二 Billboard Live TOKYO 2018.06.22.

知ってからずっと気になっていたシリーズを、5回目にして初体験。一言でまとめれば後藤次利による全編アレンジのライヴ。誰もが知る代表曲が数多くある彼女だが、それらが惜しげもなく披露される。しかし、歌われるまで何の曲かわからないアレンジにより、そんな曲たちは、結果として僕にとって倍以上の楽しみ方ができることに。しかも、バックを固めるメンバーはこの4人なわけで…。

想像していたものをはるかに超えて楽しめたステージで、90分という時間が長く感じられた。

それにしても後藤次利の存在感は凄い。いわゆる目立つことなく演奏を支えるベーシストではなく、リード・ベースと言っていい主張するフレーズが心地よかった。もちろん八神純子が主役なのだが、彼のベースも相当していた。

そして生で見るのは約30年ぶりになる北島健二。この夜は派手になることなく、バック・ギタリストに徹していたが、時おり聴かせてくれるフレーズには、おおっ!と身を乗り出させるような魅力があった。中でも彼のギターが炸裂していた「想い出のスクリーン」が実にかっこよかった。

しかし、何よりも、何と言っても八神純子のヴォーカルが最高であった。

  今でも当時のキーを落とすことなく
  声量も歌唱力も変わらず歌えることが凄い

キャリアを重ねた歌手に対してよく言われることだが、これは凄いということと同時に、当たり前であるという言い方もできる。僕の持論だが、ファンは必死で音楽を聴いている…と思っている。もちろん必死の意味はひとつではなく人によって広がるが、それでも必死というフレーズでまとめることは出来るだろうと思っている。だから、そこにこびりついているファンの思い入れは軽くは無い。曲というのは、いちど付着した個人の思いや想いを、いつまでもそのままで保存できる。そして、いつどんなときでも、そのままで取り出すことができる。曲が持つこうした特性は、作者、演者の思惑とはまったく別にあるので、その曲を生んだ本人であっても、どうしようもできないものだ。

だから、アレンジを変えたり、キーを下げて歌われるようなことがあると、そこにはマイナスな…ネガティヴな何か…が発生する。だからダメだということだけではないけれど、少なくとも僕にとっては言葉にできない何かが確実に走る。だから曲を変わらずに提示し続けることは、とても素晴らしいことだと思っている。

アレンジは変わっていたが、それはライヴのコンセプトとして了承済み。しかし、代表曲を代表曲として、ヒット曲をヒット曲として、今もファンに提示する彼女は素晴らしい。<2018-06-30 記>

     **********

八神純子 with 後藤次利 “The Night Flight 5”
feat.村上“ポンタ”秀一、佐藤準、北島健二
Junko Yagami with Tsugutoshi Goto "The Night Flight 5"
feat. Shuichi"PONTA"Murakami,Jun Sato, Kenji Kitajima

大ヒット曲「みずいろの雨」から40年、
抜群の歌唱力で魅了するシンガーソングライター八神純子が、
豪華メンバーとともにオン・ステージ!
1978年にシングル「思い出は美しすぎて」でプロ・デビューを果たしてから今年で40周年。
2000年に活動を一時中断するも多くのファンから復帰を望む声が高まり、
2011年活動を再開。
以降、アルバム発表やツアーなど幅広く活動を続けてきた八神純子が、
2014年からスタートさせたクラブツアーで登場。
70~80年代にわたり日本の音楽シーンを牽引してきた村上“ポンタ”秀一、佐藤準、
北島健二といった豪華メンバーと3日間にわたり開催する。
ベテラン達による白熱の演奏を間近で堪能して。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?