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THE 仲井戸麗市 BOOK/仲井戸麗市

仲井戸麗市、初のソロ・アルバムが発表されたのは1985年の夏。RCサクセションで言うと、アルバム『FEEL SO BAD』と『HEART ACE』の間になる。今となってはRCが独特な雰囲気になっていった時期に重なるが、当時のファンはそんなことは知る由も無い。よってチャボもまだまだバリバリのRCのギタリストであったわけだから、ソロ・アルバムが発表されるというニュースは、僕にとってはそりゃぁ物凄いものであった。まして、清志郎をさしおいてのソロである。期待しすぎる程期待した。

このレコードに針を落とした時のことは、今でもはっきりと覚えている。僕が持っていた、いや、僕と同じ10~20代のRCファンが持っていたチャボのイメージ。そのほとんどは " OK!ロックン・ロール!" だっただろう。当然、想像していた音は派手でカッコイイロック兄ちゃん的なものであった(はずだ)。「チャンスは今夜」「ブルドッグ」の世界に「ハイウェイのお月様」的な味付け、といった感じである。

ただ、アルバムの告知記事やDMに書かれていた収録曲のタイトルを見た僕は、何となく違和感を感じていた。特に、短い単語が叩きつけられるように並んだA面がそうだ。しかし、ジャケット写真を見ながら、この時点ではまだイケイケな音が出てくるものと思っていた。はたして、一発目に出てきた音は…。

ギターの軽いノイズにかぶさってくる、スカスカだが重たいリフ。そして " 俺の脳ミソ レヴォルーション!" とチャボのあの声が叫ぶ…。

身体が固まった。
何なんだ、これは。

3曲目の「BGM」までその状態だった僕は、次の「ティーンエイジャー」でやっと我に返りかけた。しかし「秘密」でまた強引に戻されてしまう。今では日本ロック史に残ると思っている名曲「打破」も、この時点ではまったく印象に残っていない。

そしてA面を聴き終わった後、僕はB面を聴かず、もう一度A面を聴いたのだった。今、耳にしたものが何だったかを確かめるために。

僕は初めてチャボのヘヴィなパーソナリティに触れたのだ。ここで描かれたチャボの個人的な世界。僕はどうしたって共有することはできないのだが、感動した。心が動いた。

裏ジャケットには、唯一手書きでこうクレジットされていた。

I am filled with hate for schools and teachers!

<2004-11-06 記>

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