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佐野元春&ザ・コヨーテ・バンド 2018 WINTER TOUR " Maniju " TOKYO DOME CITY HALL 2018.04.01.

会場の空気を引っかくようなギターのカッティング。「白夜飛行」が始まった瞬間、たった20分ほど前に体験した一部のステージを、僕は1年前のことのように遠く感じてしまった。

楽曲のクオリティが桁違いに聴こえる。ステージ上は同じメンバーなのに音の印象がまったく異なる。もうバンドは『BLOOD MOON』以前とは違う場所にいると思ってしまう。このツアーの初日にも感じたことだけれど、『MANIJU』の音はそれほどまでに新しい。

この日の二部は『MANIJU』だけで固めたセットリスト。しかも、ほぼ全曲を、ほぼ収録順に演奏した。おかげで『BLOOD MOON』以前のコヨーテ・バンド期で展開した一部との違いがクッキリ。というか、もうそれは鮮やか過ぎるほどだった。

『MANIJU』はイントロだけでステージに色が付く。「悟りの涙」の幸福感。「新しい雨」の高揚感。「禅ビート」のヘヴィな疾走感。鳴らされるフレーズがキャッチーかつカラフルで、一気に持っていかれる。ライヴで聴くと実に心地よい、本当に素晴らしい楽曲たちである。

二部だけで大満足だったが、嬉しいことは重なった。アンコールで僕の希望が叶ったのだ。コヨーテ・バンドで演奏する元春クラシックの魅力を感じて以来、いつかは聴いてみたかった「スウィート16」を演ってくれたのがそれだ。初日は大感激だったが、あまりに突然で曲を楽しむ余裕を持てなかったので、この日はじっくりと堪能させてもらった。こういったロックン・ロールはツイン・ギターとキーボードの編成今のバンドにとても似合う。もっと同タイプの曲を取り上げてほしい。

それにしても楽曲の良さも再認識した。

  世界地図を広げて
  行きたい場所に印をつけたら
  すぐに出かけるぜ

この歌詞はいつ聴いてもグッとくる。気分は16歳。客席の僕はスウィート16である。

ところで僕は小松シゲルのドラムがお気に入りなのだが、この曲はぜったいにハマるだろうと思っていたんだよね。バッチリだったけれど、願わくばもっとテンポを速くしてほしかったなぁ。ガンガン走っちゃえば良かったのに。でも、こんな気持ちはその後に続いた「アンジェリーナ」が帳消しにしてくれたけれどさ。

さて、元春はコヨーテ・バンドとどこまで行くのか。『MANIJU』の先は何が見えているのか。今から楽しみであるなぁ。<2018-04-04 記>

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