石橋凌 ARABAKI ROCK FEST.12 ARAHABAKI 2012.04.29.
今回のARABAKIの個人的メインは泉谷しげる with LOSERだったが、二日目の石橋凌は次点であり、しかもチャボがゲストで出ることが発表され、ただでさえ大きな期待だったのが数倍に膨れ上がった。
これまでゲストやイベント出演での凌は観ているが、フルのライヴパフォーマンスを観るのはARB以来だから凌のうたに飢えていた。今年のソロ・アルバム発売記念ライヴにも足を運べなかった悔しい思いもあったから、本当にARABAKIは楽しみにしていた。バックの強力なメンバーはもちろん、そこにチャボまでが参加するわけで、これはまさに僕のために演ってくれるようなものだと思っていた。すげぇ楽しみだった。
セッティングに手間取っていて、ライヴは10分押しで始まった。ところでそのセッティングの最後は、凌を除くメンバー全員が出てきての音合わせ。なんて贅沢なんだろう。こんなシーンを観られるのもフェスならではだろう(他のフェスは知らないけど)。
ROCK'N'ROLL GYPSIESでは使われなかった花道にもモニターが置かれる。ということは、ここで凌が歌うわけだ。花道と東北のフェスと言えば、もちろんロックン・ロール・オリンピックだよね。僕は映像でしか観たことは無いけれど、どうしたってARBの凌がアタマに浮かんでしまう。その花道正面に陣取っていた僕のココロは既に盛り上がり切っていた。
藤井一彦がステージ袖に合図を送るのが見えた…ら、凌がいきなり出てきた。あぁ、凌だ。その姿を見ただけで感無量…。
1曲目は「最果て」。意表を突かれた実に渋いオープニングだったけれど、おかげで一気にスパークせずに済んだことは良かったな。とは言っても「ダディーズ・シューズ」を演られて、しかも花道で歌われたんだから…やっぱり歌っちゃうよね。他にも客席と一緒に盛り上がった「形見のフォト」なんかは、実に盛り上げ方がうまいなぁと思った。初めて観るお客さんも自然に盛り上がれたんじゃないだろうか。
「乾いた花」「喝!」のARBセルフ・カヴァーも特別な曲なんだけど、特別な曲として演奏していない(ように僕は感じた)ので、実に自然だった。ARBのほうがいいよなぁ…なんてこれっぽっちも思わなかったもの。
中盤で簡単なメンバー紹介インストを廻し、そのラストで凌がゲストを呼ぶ。
個人的に俺がファンです!
こう紹介され、仲井戸麗市がステージに出てきた。登場した瞬間からソロ・アーティストのチャボでもなく、麗蘭でも3Gでのチャボでもなく、佇まいがギタリスト仲井戸麗市だった。
藤井一彦による切れたイントロで「ルート66」が始まった。こんなカッコイイロックン・ロールを聴いたのはいつ以来だろ。
間奏のギター・ソロでチャボが花道に飛び出してきた!
後を追って藤井一彦も!
おおーっ!
何てカッコイイんだ!
このときの僕は、まるでビートルズに夢中になっていた女の子のファンのように、キャーッ!と叫んで二人に手を伸ばしていた。だって本当にカッコ良かったんだもの。
チャボは演奏に集中し、ステージを降りるときに " 凌! " と言っただけ。スマートだけど熱く、クールだけど尖っていた。チャボと石橋凌バンド。最高だったよ。この「ルート66」だけでもARABAKIに来たかいがありました。
とにかく盛り上がったステージだったが、凌が選んだラスト・ナンバーは「AFTER'45」。このバラードを陽が沈んでいくARABAKIの空をバックに歌ったのである。泣きたいけど泣けない。そんな迫力と説得力。間違いなくココロに残る名シーンになった。
個人的には何もかもが完璧。大満足だった。
凌、もう歌うことから絶対に離れないでくれよ。これは僕だけが思っていることではないはずだ。<2012-05-03 記>
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