石橋凌 SHOUT of SOUL 赤坂BLITZ 2012.12.16.
知らない曲がまったくないライヴというのは、こんなにも最高なものだろうか。しかも自分の思い入れを裏切らない曲が演奏されるのである。最高という最高なことが目の前で展開された。初体験の石橋凌フル・サイズのライヴは、今年に僕が観た中で、おそらくBEST3には入るだろうライヴだった。
オープニングは伊東ミキオと梅津和時と3人で「魂こがして」。二人の演奏に迎えられて真っ白なコートでステージに現れたのは、僕が知っている、僕が待っていた、そして僕が大好きな石橋凌だった。
いきなりアタマからクライマックス的にバラードを決めてくれたが、このオープニングの印象が薄れてしまうほど、ここから最後までが本当にとんでもなく最高のライヴだった。
だって 『表現者』 収録曲もレコーディング・メンバーとでぶちかますわけだ。そのメンバーは、あんなメンバーなのだから、そりゃぁ最高だろう。そしてARBのセルフ・カヴァーは、これまでのライヴで聴けた曲に加え、この日は「Do It! Boy」に「R&R AIRMAIL」が聴けた。そしてライヴのラストには何と「パブでの出来事」! この3曲を凌の歌で聴いたのはいったい何年ぶりになるんだろう?
会場にはカメラが入っていた。映像作品として発表されるらしいので、僕なんかの文章よりも、それを観てもらえればどんなライヴだったのかがわかるだろう。しかも、開演前にアナウンスされていたように、客席をたっぷりと映していた。凌のスタンド・マイクにも客席側を映すカメラが付いていた。
会場が一体になった…いや、一体になった会場の雰囲気がバッチリとパックされたハッピーな作品になるだろう。今から楽しみだ。
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もちろん僕が楽しみにしていたことに、仲井戸麗市のゲストがあった。チケットをとった時には発表されていなかったので、まさに僕には最高のサプライズ! 少し早いクリスマス・プレゼントだった。
凌はチャボがギターを弾くだけにとどまらず、「いい事ばかりはありゃしない」を歌わせるという見せ場も用意してくれていた。南青山MANDALAで観たように藤井一彦も、さらに伊東ミキオまでもがヴォーカルをとる。聴いていて、観ていて自然に笑顔になる演奏だった。
麗蘭ライヴの直後だったが、チャボは疲れたようなところはなく、それどころか終始うれしそうに、楽しそうに笑顔でギターを弾いていた。僕が素晴らしいと思うのは、あれだけ記名性があるミュージシャンなのに、こうした出演では、チャボはバンドのいちメンバーになることだ。まったく違和感なく溶け込んでいる。それでいてしっかりと主張するし、他のメンバーもたてる。さすが仲井戸麗市である。
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中盤のMCで、凌はお客さんに向かってこう言った。
テレビやスクリーンの中ではなく、ライヴで会いましょう
そうだよ、凌。もう音楽から離れないでくれよ。僕にとっては忌野清志郎に続いて名が挙がるロック・ヴォーカリストなんだから。<2012-12-19 記>