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浜田真理子の有楽町で逢いましょう vol.1(ゲスト:Miuni) IMASHOW 2023.2.18.

会場が暗転。スポットが照らす先にはピアノに座る浜田真理子の姿。「有楽町で逢いましょう」のインストで幕が開いた。この演劇のようなオープニングが美しかった。

一部はMiuni。もちろん初体験。いきなりユニゾンの力強い歌に圧倒される。宮古島の風を感じて欲しいとのMCがあったが、僕が受けた印象は沖縄音楽では無く洋楽だった。

メンバーは與那城美和(唄、三線)、川満七重(唄、三線)、池村綾野(Piano)、池村真理野(Sax)の4人。言葉が…歌詞がわからないこともあるが、ピアノとサックスのバックに唄が乗る音が新鮮で、聴いたことがないような音楽の感覚で堪能した。子供達への応援歌という「カニクバタ」がかっこよかった。ベースと打楽器が加わった編成で聴いてみたいサウンドだったなぁ。

浜田真理子のソロ・パートは、王道ピアノの弾き語り。Marino(Sax)とのインストを含めたデュオ。とんちピクルス(シークレットの特別ゲスト!)との「有楽町で逢いましょう」と、歌われる曲ごとに見せ場と聴かせどころが用意されており、独立した曲が集められてひとつのパートになるといったらいいだろうか、そんな構成。

しかしこれだけの広がりも、終わってみれば浜田真理子を観たとしか思えないのがさすがだ。それはおそらく本編ラストが「胸の小箱」で締めくくられたことが大きいと思う。この曲がライヴのラストに歌われる定番のひとつということもあるが、やはり浜田真理子のオリジナル曲が持つ魅力が最大の理由だ。バラエティに富む構成は人によって散漫な印象になってしまう可能性があるし、本編を振り返れば、「胸の小箱」と「恋ごころ」しかオリジナル曲は歌われていないけれど、たった1曲、歌われるべき曲が歌われるべきところで歌われることで生まれる説得力。すべてがそこで完結してしまうのである。

この夜の聴きどころとしてひとつあげるならば「満月の夕」。真理子さんが初めて歌ったのは2012年。僕は渋谷のwwwで聴いた。”自分の歌い方を見つけるのが難しかった”…と話していた記憶がある。でも、どんな曲も彼女が歌えばハマダマリコになるのを僕は知っている。自身の思い入れもあるのだろうけれど、それをおおっぴらに出さず独自の色をつけて出す。ただそれだけなのに、曲の魅力がストレート伝わるカヴァーになるのが素晴らしいのだ。2023年のハマダマリコ色に彩られた「満月の夕」も、あの場にいたお客さんたちそれぞれの受け取り方で心の奥に残ったことだろう。

p.s.
このライヴは『MARIKO in Concert』のレコ発でもあった。帰宅してすぐに聴いたが、久保田麻琴による録音・ミックス・マスタリングの音が素晴らしい。東京文化会館の客席で体験した音とはまるで異なるので、実際にライヴを観た僕としては二通りの楽しみ方が出来る。いや、映像Discもついているから三通り…それ以上だ。

p.s.2
ライヴ後はサイン会が開催された。彼女のライヴでは定番だったが、いつ以来なのか思い出せないほど久しぶりな気がした。サイン会と言っても単なる企画ではなく、浜田真理子の場合、ライヴの一部と言っていいかもしれない。つまり、長いアンコールだ。しかもお客さんひとり一人、その人だけのアンコールである。決して何気ない会話なんかではない。

直接会ってお話をするのはこんなにも嬉しいことなんだ。あぁ、ぼくは真理子さんのライヴに来たんだなぁ。これを待っていたんだ。<2023-02-25 記>

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