新谷祥子マリンバ弾き歌い 3rd Album 発売記念ライブ ~Marimba Theater 2014~ キッド・アイラック・アート・ホール 2014.11.05.
8月にリリースされた3rdアルバムのレコ発ライヴに選ばれた会場は、昨年、彼女が寺山修司の没後30年トリビュート・ライヴを行った、明大前のキッド・アイラック・アート・ホールでした。
3rdアルバムのタイトルは『Marimba Theater』。これは昨年のライヴで初めて掲げられたコンセプトとも言えるタイトルです。今後はこのタイトルを掲げ、色々なテーマでライヴを行っていくのだろうと思っていましたが、早速、そのタイトルを冠したアルバムのレコ発ライヴで、それは実現しました。
レコ発であるからして、当然アルバム収録曲が中心になる…はずですが、決してそうとも言えない構成になるのが新谷祥子らしいところです。過去にも1stアルバム発売記念ライヴを体験しましたが、その時も同じく、よい意味で全然レコ発じゃないなぁというライヴでした。
キーワードは " 今 "です 。この日も " 今 " の新谷祥子…新谷祥子の " 今 " を聴かせてくれました。実際にMCで " 今を聴いてほしくて " と言っていましたし、その通り、彼女の " 今 " を強烈に感じさせてくれる2時間でした。
彼女の言うこの " 今 " というのは、たとえば今年とか最近とか、ある程度の期間を指したり感じさせたりという " 今 " ではなく、新谷さんの場合、本当にその時、その瞬間、現在なのです。まさに " 今 " を感じさせてくれるのです。私は今、本当に歌を歌いたい、曲を作りたいと思っています…というMCが、とても印象的だったのが、それを象徴しています。
あらためて考えてみれば、3rdアルバムに収録された「バイバイ オータム」、そして「ノヴェンバー トラヴァイル」は以前からのレパートリーです。でも、彼女の場合は決して過去の曲が引っ張り出されてきたという風にはならず、今の曲として存在するのです。これは新しい曲と言う意味ではありません。言葉本来の意味での、今の曲なのです。おそらく、新谷さん自身が、自分の今を表現しているからこそ、そう聴こえ、そういう曲になっているのでしょう。
「青と白の未来」と「女友達」という新曲も披露されました。特に前者はお気に入りの曲になりそうです。そして聴きものだったのが1stアルバムからの「土」。Xylosynthをプレイしての緊張感溢れる演奏は素晴らしかったです。
ところで、新谷さんのライヴと言えばカヴァー曲も楽しみのひとつ。この日も久保田早紀の「異邦人」という直球カヴァーがよかったのですが、個人的には「The Rose」と「死んだ男の残したものは」には驚きました。その理由は、つい先日、浜田真理子の歌うこの2曲を聴いたばかりだったからです。新谷さんと真理子さんが同時期のライヴで同じ曲を取り上げることは以前もありました。それは「竹田の子守唄」で、この1曲が重なっただけでも驚いたのですが、今回は2曲です。何かがあるとしか思えないのですが、まぁ自然に任せておくことにしましょう。
新谷さんのライヴ自体、数多いわけではありませんが、毎回とても貴重な時間を過ごさせてもらっています。必ず何かを残してもらえますし、何かを期待させてもくれます。次の何かを今から楽しみに待っていたいと思っています。<2014-11-07 記>
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