カルメン・マキ45周年記念VOL.1~ONE NIGHT STAND~ 《ROCK SIDE》 LIQUIDROOM 2014.11.25.
僕にとってカルメン・マキ&OZは " 間に合わなかった " バンドです。音に触れたときには、既にバンドはありませんでした。
最初に聴いたのは『ライヴ』です。ハードでプログレッシヴなサウンドと、その日本的な歌詞。メロディを一発で覚えてしまう印象的な曲たち。それらすべてが無理なく耳と身体に入ってきました。マキのシャウトは激しくも優しく、迫力ながらも繊細。春日博文のギターも川上茂幸のベースも同様。一発で僕はこのバンドを気に入ってしまいました。しかし、生で観たくとも聴きたくとも、それは叶わないことでした。間に合わなかったのだから。
チャボが「プレゼント」で歌ったように、生きていればいいことがあるというのは本当です。97年の一夜限りの再結成以来のOZ。しかもマキさん45周年ライヴという舞台です。間に合わなかったけれど、それでも観たい、聴きたい、死ぬまでに一度でいいから生で体験したいと思い続けたバンドが出る。大袈裟でなく、僕の夢が叶う夜になるのです。2014年11月25日、リキッドルーム。その夢が現実となりました。
客電が落ち、薄いブルーかパープルがかった照明がステージを照らします。観客の歓声と僕自身の興奮で、メンバー登場前に流れていたBGMに気づくのが遅れました。それがアルバム『閉ざされた街』の「INTRODUCTION」と気づいた瞬間、保っていた…いや、装っていた冷静さが吹っ飛びました。
川上シゲの歪んだぶっといベースが会場に響き渡り、あの印象的なフレーズがイントロを奏でます。僕の、初めてのOZは「崩壊の前日」で始まりました。マキさんがステージに登場し、歌いだした瞬間、身体が浮いたような気がしました。♪ 誰もがみんな変わってしまう…と歌われているように、僕も1曲目で数分前の自分と明らかに変わってしまいました。
曲を紹介するようなMCもなく、続けて曲が演奏されます。「六月の詩」。「閉ざされた街」。そして「私は風」。あぁ、本当にマキOZを観ているんだ、聴いているんだ。
ありがちな同窓会的で楽しめればいいというライヴではありません。今のカルメン・マキとOZのメンバーが、カルメン・マキ&OZを演るのです。それはつまり、カルメン・マキ&OZです。" 素晴らしい " ということを表す形容詞が、" 素晴らしい " しかない日本語に不満です。" 素晴らしい " では足りません。そう感じるくらい " 素晴らしい " ライヴでした。
何も言う事がないほど満足すると、何かを言いたくなるものです。でも、その何かを探すのは大変ですから、やはり何かを言ったとしても、何も言ったことにならないのでしょう。演奏したのはたった4曲。しかし何という4曲。
言うとしたらこれだけで十分かもしれません。今年はまだ観るライヴはありますが、2014年のベスト・ライヴは決定です。
マキさん、最高の夜をありがとう。
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Char(Gt)、Dr.kyOn(key)、澤田浩史(Ba)、古田たかし(Dr)、金子マリ(Cho)との1部。ジョージ吾妻(Gt)、盛山キンタ(Ba)、大内MAD貴雅(Dr)との2部。もちろんそれぞれも素晴らしいステージでした。
" ああいうロックやってる人、今あまりいないよね?いや、いろんな意味で "
マキさん自身がライヴ後にこうツイートしていましたが、確かにああいうロックを聴いたのも久しぶりな気がします。特に1部の演奏は、リズム隊とギターのリフが心地よくビシバシと決まり、ダイレクトに身体とココロと腰に響くロックでした。何とも陳腐な表現になってしまいましたが、ああいうロックをかっこいいというのです、きっと。<2014-11-27 記>
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