Cheap Trick Ambassadors Of Rock 渋谷公会堂 2006.10.13.
開場の列に並んだら、僕の前にいた二人の女性の話が聞こえた。どうやらチープ・トリックを知ったきっかけについての話のようだ。
" 私はギンザNOW。木曜日にね、外タレの特集をやっていたの "
" あ、それ私も観てた "
ギンザNOW。毎週木曜日のポップティーン・ポップス。
" それ、僕も観ていましたよ。いい番組でしたね "
と話しかけて…、いやいや、話しかけたかったんだけどなぁ…(笑)。僕がチープ・トリックのファンになったきっかけも、その番組です。
さて、ステージにはドラム・セットとギター・アンプ。そして三本のマイク・スタンド。これだけ。他には何も無い。派手で大袈裟ではなくても多少のステージ・セットが組まれるのが普通だろうが、これはまったく新鮮だ。きっと「何も無い」というステージ・セットなのだろう。
中央のロビン用のマイク・スタンドはストレート。真っ直ぐ。向かって右のトム用のマイク・スタンドには数十枚のピックが貼られている。この二本は、特に何も変わったところは無い。しかし向かって左。リック・ニールセン用のマイク・スタンド。上から下までビッシリとピックが貼り付けられている(笑)。人間の身体で例えれば、トム用マイクは「頭から胸の辺りまで」がピック。リック用マイクは「頭から膝の下まで」になる。わかってはいるが、ライヴ前から笑わせてくれる。
さぁ、いよいよ開演だ! UDOのホームページに今年9月に行われたライヴのセット・リストがあった。そのために大体の予想はできていたのだが、それでも一曲目の「ハロー・ゼア」が始まったとたん、身体が浮いた。続けて「ビッグ・アイズ」。この二曲は、78年発表の、あの『at武道館』のA面に収録されているのでいきなり感激。
トムとバーニーは、ライヴ中は終始にこやかな笑顔だったのが印象的だった。ロビンはいつものように、いや、いつも以上にクールだった気がする。ファンにはお馴染みだけど、初めて観た人は「あの人、不機嫌なの?」と感じるかも(笑)。しかしリード・ヴォーカリストなのに、あれだけライヴ中にクールなのは珍しいよね。そしてリックも、これまたいつもどおり落ち着かない(笑)。だって、動き回るだけでなく演奏中にもステージの袖に引っ込んじゃうんだからさー。ちなみにリックは、二曲続けて同じギターは使わなかった。演奏された全曲でギター・チェンジをしたのである。
さて、中盤のハイライト。オープニングから着けたままだったサングラスを外したロビンが叫ぶ。
アイ・ウォント・ユー! トゥ・ウォント・ミー!
サビの歌詞「Didn't I See You Cryin'」に合わせ、ロビンはピックを涙のように右目の下にくっつけて歌った。
続けてリックがトムを紹介し、「アイ・ノウ・ホワット・アイ・ウォント」。ストーンズのライヴでの、キースが歌う「ハッピー」のようなものですな(笑)。地味な曲なんだけど、何故かライヴだと映えるんだよね。
更に今度はロビンをリックが紹介し、始まったのは「ヴォイシズ」。おぉ~、たまらん!これは感動的な演奏だったなー。
そしてあっという間の本編ラストは「サレンダー」だよ、もちろん。例の五本ネック・ギターだよ、もちろん。ジャケットも投げたよ、もちろん。
それにしても、前回よりもメンバー全員が若返っているんじゃないかな? ロビンなんか、いくつになったんだろう? あのシャウトは70年代と変らないぞ。スゲェな。
アンコールの一曲目は「ドリーム・ポリス」でとことん盛り上がる。リックは本編もピックを投げまくっていたが、「ドリーム・ポリス」では凄い。まるで豆まき(笑)。たぶんこの曲だけで100枚以上は投げたはずだ(笑)。
そしてラストの「グッドナイト・ナウ」で1時間半の楽しいロック・ショウは終了した。
今回は「ハロー・ゼア」で始まり、中盤に「甘い罠」が演奏され、本編ラストでは「サレンダー」。そして「グッドナイト・ナウ」で終わったのだ。この場に来ていただろう78年武道館にいた女の子達はたまらなかっただろうなぁ…。
ステージには何も無かった…と書いたが、実はひとつだけあったのだ。それは、台。チープ・トリックのライヴではお馴染みの、リックが乗ってギターを弾く台。ライヴ前、それがポツンと置いてあったのも強く印象に残っています。<2006-10-14 記>