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QUATTRO MIRAGE EXTRA ~ROLL OVER 60~ 浜田真理子×畠山美由紀 渋谷クラブクアトロ 2016.06.22.
僕が観ていない最近のライヴでは、何やらアルバム制作の話題が出ているような…。こんな情報をキャッチしたことで、やはり最近のライヴで発表されている新曲の素晴らしさを感じていたこともあり、大きな期待を持ってクアトロに向かった。
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一部は畠山美由紀さん。小池龍平さんのギターとコーラス。そして織原良次さんのフレットレス・ベースのトリオ編成。ギターがバックに回り、ベースがリードをとるという演奏は新鮮で、そのアレンジで聴く真理子さんの「あなたへ」のカヴァーは聴きごたえがあった。畠山さんは『歌で逢いましょう』のレコ発イベントやARABAKI ROCK FESで観ている。それぞれが違った音を聴かせてくれていた。かなり広い音楽的なふり幅を持っているんだと思う。
さて、二部はいよいよ真理子さん。何の演出もなくステージに登場し、ピアノに座る。こちらもリラックスして演奏が始まるのを待つ。
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オープニングのピアノだけでは何の曲が歌われるのかわからない。しかし、突然それが「骨董屋」のイントロになる。その場が一瞬のうちにハマダマリコの世界に変わる。真理子さんのライヴでは何度か体験してきたこうした瞬間の、実に何とも言えないカッコよさ。ステージ上で真理子さんが浮かべる笑顔とは違う理由で僕も笑顔になるのがわかる。
さて、今年になってから僕が強く感じているように、既発曲はかなりスローなテンポで歌われる。この日は「骨董屋」と「ミシン」にこれがとても効いていて、特に後者の終盤にスピードがあがるアレンジにバッチリとはまっていた。
「Guess who I saw today」という曲が素敵だった。冒頭で真理子さんが歌詞の和訳をピアノに乗せて語る。立ち寄ったカフェで見たカップルについて夫(?)に語るという内容で、最後に " 私が見た(会った)のは誰だと思う? あなたよ " で終わるのだが、語るというよりもメロディがないだけで歌われていたと言っていい。それにしてもここでの表現力はどうだ。そのストーリーも相まって、最後の " あなたよ " はゾクゾクしてしまった。真理子さん、朗読も絶対にイケルと思うな。
ライヴは僕が期待していた内容…期待と言うのは新曲中心というライヴだったが、そんなプログラムではなかった。ただ、ワンマンではなかったし、クアトロ店長の還暦祝いと言うテーマ上、これは致し方なかっただろう。しかし、本編最後にふたつの新曲を持ってきたところは意志だったはずだ。これまで歌われてきた新曲を思い浮かべ、それを単に並べただけでも、既に僕の中では傑作になるのが間違いない新作を、期待して待ちたいと思う。
ここまででも二人に十分に楽しませてもらったのだが、アンコールでは予想していなかった展開が飛び出した。最後に歌われたのは、何と坂本冬美の「幸せハッピー」。僕にとっては忌野清志郎の作詞、細野晴臣の作曲、そして坂本冬美が歌の、HIS名義の名曲だ。その曲を、浜田真理子と畠山美由紀が目の前で歌うのだ。
幸せハッピー
それこそがすべて
どうだ どうよ
いつも 今日も
幸せハッピー
まさに幸せでハッピー。楽しく、笑顔で終わる感動的な夜だった。<2016-06-25 記>