金延幸子 45年目の み空 追加公演 晴れたら空に豆まいて 2018.11.14.
金延幸子。
浜田真理子が新作『NEXT TEARDROP』で「あなたから遠くへ」をカヴァーしたことで、これまでは “ 知っている人 “ だけだった存在がグッと近くになり、『み空』もたまに聴くようになっていたタイミングで発表されたライヴ。しかも鈴木茂、田中章弘、浜田真理子、林立夫がサポートする嬉しい追加公演の知らせ。
浜田真理子ファンとしては、彼女がキーボーディストとして参加するという楽しみもあったが、その中心が、いわゆる伝説のシンガーソングライターである。当日が近づくにつれ高まっていった期待を抱えて11/14を迎えた。
オープニング・アクトは鈴木茂 with 田中章弘とインフォメーションされていたが、実際はこの二人に林立夫と浜田真理子が加わったフォー・ピースのバンドであった。鈴木茂自身のMCから、本人はアコースティック的な音を意識していたようだが、編成自体どこからどう見ても、さらにストラトキャスターが爆発していた音も含め、紛れもないロック・バンドである。実際、林さんに “ アコースティックの音量じゃないよ ” と突っ込まれていた。
いや、しかし僕には贅沢すぎるオープニング・アクトだったなぁ。それにしてもこのバンドにキーボーディストとして参加し、はっぴいえんどの曲を演奏する浜田真理子をみることができたのは嬉しい。ステージ上でどういうことを感じたのか、いつか真理子さんに聞いてみたい。
金延さんのパートは、弾き語りとバンド編成の二部構成。しなやかさと力強さが同居し、太いビートも感じられた弾き語りは凄い。たとえミス・トーンに聴こえたとしても、彼女から発せられる確信に満ちた演奏と歌からは、不安定なところさえ音楽の一部だとしか感じられず、違和感はない。何よりも、レコードで聴きなれた歌声には、2018年に至るまでの時間分の説得力が増していて素晴らしかった。
浜田真理子のソロ・パートを挟んでの二部はバンド編成が中心となり、音楽の魅力にあふれ、素晴らしいとしか形容できないシーンの連発だった。「あなたから遠くへ」に浜田真理子がコーラスを入れる。それをみて聴いている僕は感無量である。きっと真理子さんも同じだったことだろう。
初回公演では細野晴臣がベースを弾いたという「青い魚」は、この夜のメンバーらしい、聴きごたえのある実にロック的な演奏であった。
何だか はっぴいえんど になったような
いつか はっぴいえんど の中に入って歌いたいと思っていた
「青い魚」が終わった後に彼女が話していたことである。45年が経過した2018年であっても、こうしたMCがリアルに聴こえる。僕も本当にはっぴいえんどを体験しているように感じてしまう。
これを音楽のマジックと表現してしまうのは簡単だけれど、そうしてしまってもいいんじゃないかという雰囲気が、この夜にはあったと思う。ここから「時にまかせて」が続いたところが個人的ハイライト。お客さんの合唱が加わり、そのメッセージと曲のよさもあって感動的だった。
本編の最後は「み空」。邦楽でも洋楽でもない…ジャンル名のつけようがないとても美しい音楽だった。
つらい時には支えになり、うれしい時はさらに幸せになる
ミュージックはそういうものである
だからミュージック…音楽を忘れないでね
音楽は素晴らしいから忘れない。素晴らしい音楽は忘れられない。この夜は素敵だったから忘れない。素敵な夜は忘れられない。ありがとう。
P.S.
金延さんの弾き語りによる一部と二部のあいだ。PA卓にいた久保田麻琴さんのアナウンスにより、本日の最年少として紹介され、浜田真理子のソロ・パートが用意されていた。登場するなり、周りがレジェンドばかりなので今日はパシリで…と、いつものように笑わせるのが真理子さんらしい。
披露されたのは2曲。まずは「純愛」。おそらくあの場には初めて彼女の歌にふれるお客さんもたくさんいただろうから、自己紹介的には最適なチョイスだったと思う。そして、2曲目が凄い…というか、本当に凄かった。
ひとりで演るつもりだったけれど、
先輩たちが入ってくれることになり
マジか…と
急いで楽譜を書き直してメンバーに配ったそうである。鈴木茂(G)、林立夫(D)、田中章弘(B)をバックにして歌われたのは「Mariko's BLUES」。
Billboard Live TokyoにMotion Blue YOKOHAMA、そしてクアトロなどで最近のバンド編成によるライヴに慣れていたつもりだったが、まさかこんな音のハマダマリコを聴けるとは思っていなかった。
リズム隊にエレピとギターという最小限の編成。全編にわたり鈴木茂は遠慮なくスライド・ギターを炸裂(本当に炸裂!)させる。負けじと声を張りあげて浜田真理子がブルースをぶつける。すごいもん聴けたよ♪<2018-11-17 記>
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公式インフォより
Makoto Kubota presents Sachiko Kanenobu’s MISORA
金延幸子 45年目の”み空” 追加公演
金延幸子 歌とギター ゲスト・プレーヤーズ 鈴木茂、田中章弘、浜田真理子、林立夫←new!!
オープニングアクト :鈴木茂 with 田中章弘(ベース)
【当日券のお知らせ】
→当日券は予定枚数全て終了いたしました。
ありがとうございました。
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本日の当日券、若干枚数のみ販売いたします。
15時から電話予約のみで受付を行います。03- 5456-8880
先着順で、予定枚数に達し次第受付終了とさせていただきますのでご了承ください。
なお、本日はかなり混み合いますため、お立ち見でのご案内となります。
何卒よろしくお願いいたします。
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11/9にも公演ございます。こちらから
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90年代にCDリイシュー、さらに2000年代にはオーストラリアやスペインのレーベルより
CDやアナログ盤のリイシューがあり、ニューヨークやロンドンにもその波の勢いは届く。
西海岸の名門レーベル、
Light in the Atticの日本フォークのコンピレーションにもフィーチャーされたが、
現在世界発売を計画中の噂も出ている。
初回公演が早々に完売につき、
急遽追加公演決定!
今回は、鈴木茂、田中章弘、浜田真理子を迎えて
お届けします。お見逃しなく!
「神戸のバー・ディランにふらっと入ったら、さっちんの「み空」がかかっていた。
ぼんやり詞を追って聴いていたら、ああ、これはあの人のことかって、
当時の空気が原色のまま蘇ってきて、涙があふれてしまった。
あの頃ライブの楽屋で年中一緒だったし、日常の愚痴も聞かされたし、
さっちんは同時代の音楽家というより、はっぴいえんどの家族のようなものだった。
アメリカに行ってしまってから音信不通だったがSNSでまた連絡がとりあえるのが嬉しい。
カリフォルニアの山火事で逃避行した時は、ほんとに心配したし、
NYのラジオに彼女が出演するときも喜びが伝わってきた。
もしも彼女が日本にいてそのまま活動を続けていたら椅子を失った女性シンガーがたくさんいると思う。
こうして東京でライブをするって聞いて、客席に駆けつけたいです。」
松本隆
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金延幸子 歌とギター
ゲスト・プレーヤーズ
鈴木茂、田中章弘、浜田真理子、林立夫 ←new!!
オープニングアクト :
鈴木茂 with 田中章弘(ベース)
LIVE MIX by 久保田麻琴
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開 18:30 演 19:30 ・ 前 4,800 当 5,300 +1D 600
本公演は、予定枚数全て完売いたしました。
ありがとうございました。
【当日券のお知らせ】
本日の当日券、若干枚数のみ販売いたします。
15時から電話予約のみで受付を行います。03- 5456-8880先着順で、
予定枚数に達し次第受付終了とさせていただきますのでご了承ください。
なお、本日はかなり混み合いますため、お立ち見でのご案内となります。
何卒よろしくお願いいたします。
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整理番号順入場
(店予約、Live pocketの並列)
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メールでのご予約 (2018/9/26 0:00〜)
電話でのご予約 (2018/9/26 17:00〜)
Live pocket (2018/9/26 0:00〜)
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金延幸子 プロフィール
大阪府出身。米国在住。
1969年関西フォークシーンで活動を開始。
この当時、真崎義博とのデュオ「アリス」を久保田麻琴が聴き、
かねのぶさちこに連絡をとって以来、久保田とは今に至るまで長い友人となる。
のち瀬尾一三、中川イサト、松田幸一と「愚」として活動。
1971年、細野晴臣と共同プロデュースによるアルバム「み空」を発表するが、
リリース時にはロック評論家のポール・ウィリアムスとともにすでに渡米しており、
伝説のシンガーとなる。
1993年、小沢健二が日比谷野外音楽堂でのソロコンサートで
BGMとして「み空」を流したことが再評価のきっかけとなる。
1999年、ビクターより久保田ミックスによりの新録のフルアルバム「Sachiko」がリリースされた。
今回は通算4回目の帰国公演となる。
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