新谷祥子×金子飛鳥 デュエット ~マリンバとヴァイオリン、声と声。打ち弾き歌う #2~ 南青山MANDALA 2013.04.18.
新谷祥子と金子飛鳥の共演は2回目。前回のライヴは、その初めて観て聴く世界を、なかなかうまく言葉や文章にできなかった。ただ音楽を感じたということしか記すことができずに、何とももどかしい想いが残った。今回は僕自身も2回目ということで、ハッキリとした何かを感じられるだろうと思って臨んだが…。いやいや、またまた二人の世界を前に言葉や文章を綴ることができないでいる。
どんなタイプの曲も気を抜いて聴くことができない…と言っても、決して緊張感が溢れてということでもない。いや、きっと、絶対、確実に二人のあいだに緊張感はあるのだ。でも、ステージ上でのそれは客側には(少なくとも僕には)見えないのである。
そうは言っても(よい意味で)リラックスして聴ける音ではないし、しかも相変わらず視覚的にもカッコイイ二人なので、耳だけでなく目でも追うことになり、休憩が挟まれた二部構成のライヴ終了後は、かなりグッタリとなった。
ただ、このグッタリというのは、気疲れのそれではないと思うのだ。今まで刺激されたことがない部分が押されることによる、心の疲労なのだろう。だからライヴ後は気持ちがよいのである。心地よいのである。
即興的でいて、実は二人の音がビシバシ決まるアレンジも素晴らしい。そしてこれまた前回も感じたことだけれど、ヴァイオリンとマリンバと同じ比重で声…ヴォイスが残る。決して通して歌が中心になっているわけではないのだけれど、だからこそ二人の声が印象的だ。あれは単なる歌声というだけではないような気がするよ。
まったく新しいヴァージョンになった新谷祥子の「黄昏ピーコック」。二人のリアレンジ・ヴァージョンをいつかCDにしたいと言っていた金子飛鳥の「Still」。シンディ・ローパー(!)の「タイム・アフター・タイム」。本編最後に演奏されたファジル・サイという人の2曲のバラード。アンコールでのラスト・ナンバー、カルメン・マキ&OZの「空へ」。オリジナルもカヴァーもすべてよかったけれど、特に印象に残ったのがこれらの曲だ。このめちゃくちゃな選曲(笑)もまた、彼女たちの特徴なのだろう。
言葉や文章にできないと言いながらもここまで書いてみた。
新谷祥子と金子飛鳥の二人による音楽は、僕が聴いたことがなかった音楽であり、僕が新しく知った音楽でもある。素晴らしい。<2013-04-19 記>
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