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ザ・ヒット・ソング・メーカー 筒美京平の世界 in コンサート 東京国際フォーラムホールA 2021.04.18.

ザ・ヒット・ソング・メーカー 筒美京平の世界 in コンサート

■2021年4月18日(日)公演
No.「TITLE」/ARTIST(オリジナル)

<第1部>

  1. OVERTURE / 船山基紀とザ・ヒット・ソング・メーカーズのテーマ① / バンドのみ

  2. ブルー・ライト・ヨコハマ / 伊東ゆかり(いしだあゆみ)

  3. 誰も知らない / 伊東ゆかり

  4. 雨がやんだら / 夏木マリ(朝丘雪路)

  5. 真夏の出来事 / 平山三紀

  6. 芽ばえ / 麻丘めぐみ

  7. わたしの彼は左きき / 麻丘めぐみ

  8. 赤い風船 / 浅田美代子

  9. にがい涙 / AMAZONS (スリー・ディグリーズ)

  10. セクシー・バス・ストップ / 野宮真貴 (浅野ゆう子)

  11. ロマンス / 岩崎宏美

  12. 木綿のハンカチーフ / 太田裕美

  13. 九月の雨 / 太田裕美

  14. 東京ららばい / 森口博子(中原理恵)

  15. リップスティック / 森口博子(桜田淳子)

  16. 青い地平線 / ブレッド&バター

  17. 哀愁トゥナイト / 大友康平 (桑名正博)

  18. セクシャルバイオレットNo.1 / 大友康平 (桑名正博)

  19. センチメンタル・ジャーニー / 松本伊代

  20. 夏色のナンシー / 早見優

  21. あなたを・もっと・知りたくて / 武藤彩未(薬師丸ひろ子)

  22. 卒業 / 斉藤由貴

<第2部>
23. Romanticが止まらない / C-C-B
24. Lucky Chanceをもう一度 / C-C-B
25. WAKU WAKUさせて / AMAZONS featuring 大滝裕子(中山美穂)
26. なんてたってアイドル / 乃木坂46(伊藤純奈 & 樋口日奈)(小泉今日子)
27. Oneway Generation / Little Black Dress(本田美奈子)
28. 抱きしめてTONIGHT / 藤井隆(田原俊彦)
29. 人魚 / NOKKO
30. AMBITIOUS JAPAN! / ROLLY(TOKIO)
31. バンドメンバー紹介曲 / 船山基紀とザ・ヒット・ソング・メーカーズのテーマ② / バンドのみ
32. 男の子女の子 / 郷ひろみ
33. よろしく哀愁 / 郷ひろみ
34. 甘い生活 / 野口五郎
35. グッド・ラック / 野口五郎
36. 時代遅れの恋人たち / 中村雅俊
37. 海を抱きしめて / 中村雅俊
38. たそがれマイ・ラブ / 大橋純子
39. 飛んでイスタンブール / 庄野真代
40. モンテカルロで乾杯 / 庄野真代
41. さらば恋人 / 松崎しげる(堺正章)
42. 魅せられて / ジュディ・オング

<アンコール>
E-1. オレンジの雨 / 野口五郎
E-2. シンデレラ・ハネムーン / 岩崎宏美
E-3. また逢う日まで / 松崎しげる(尾崎紀世彦)

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活字になったセット・リストだけでクラクラしてくる。このコンサートをぼくは実際に観たのだろうか? いや、それどころか、このコンサート自体が本当にあったのだろうか? 未だに夢だったのではないかとさえ思えてくる。

不滅の筒美京平メロディ全43曲の半数以上を、船山基紀が率いる豪華なバンドの素晴らしい演奏で、オリジナル歌手が目の前で歌うのだ。子供のころに夢中で観たTVの世界が、目の前で展開する。運良く、1階4列ど真ん中という最高の席! まさに目の前、本当に目の前で体験できたのである。

さらに、オリジナル・アレンジに沿った2021年の音が、正面から迫り、四方八方から降ってくる。その極上の音に、あの声で、あのメロディーが乗る。昭和の名曲が休みなく次から次へと披露された。

何が歌われるかはわかっていても、どこに来るのかがわからない。オリジナル歌手ではない曲を歌うのは誰か…の楽しみも加わる。こんな風に待っている客席にとっては、曲のタイトルと歌手がステージ後方スクリーンに映し出され、それを合図に演奏が始まるというシンプルな演出がとても効いていた。一気に盛りあがるからだ。この演出のおかげで、全ての歌手と曲がハイライトになるという、素晴らしい効果をあげていたと思う。

「ブルー・ライト・ヨコハマ」のイントロから心がざわつき、それが右肩上がりにどんどん上昇してゆく。一部と二部のあいだに挟まれた休憩も、それを冷ます力は無かった。

最初のピークは浅田美代子。2021年に浅田美代子が浅田美代子して「赤い風船」を歌うので、瑞々しさはそのままに、この名曲が50年の時間を飛び越えて届いた。この曲の凄さをいちばん理解していないのは浅田美代子本人のような気がする。そして太田裕美。「木綿のハンカチーフ」は鉄板として、「九月の雨」には心が動いた。切ないメロディに彼女の歌声がマッチしたこの名曲を生で聴けて大感激だ。森口博子が歌った「リップスティック」もグッときた。" 桜田淳子で聴きたかったなぁ " と思うのは簡単だけれど、歌が始まれば、そのことが頭をよぎることはなかった。原曲の魅力を損なわずに歌う彼女の歌唱と曲の素晴らしさが、この場ではつまらないものであろうこだわりを吹き飛ばしていた。

こんなぼくの思いが最高潮に達したのは、郷ひろみから野口五郎。新御三家の二人である。このときの感情を表すとしたら、" 最高 " とか " 感動 " という月並みなものではない。形容できる日本語があればよいのだけれど、それは、ない。ただ、最上級の感情であることは間違いない。

音楽だけでしか体験することができないこうしたことは、数は多くはないとはいえ、これまで何度もあった。しかしこの夜のそれは、これまでとは何かが、そしてどこかが違っていたような気がする。いつかはわかるかもしれないが、わからないままかもしれない。でも、身体と心には確実に残る。それだけでいい。

本編を締めくくったのはジュディ・オング。「魅せられて」のイントロが鳴り、ステージ後方の扉が開く。強烈なバックライトに照らされて浮かぶシルエット。そしてあの衣装をまとった彼女が歌う。この1曲だけでも、このコンサートに来てよかったと思えた。

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アンコールは、幕が下りたままで、ドラムのハイハットのカウントから始まったと記憶している。

ステージの中央に、ギターを抱えた野口五郎がいた。「オレンジの雨」のイントロ。ぼくは声をあげていた。このコンサートの中で唯一、本能的に反応した瞬間だった。シビれた。

続く岩崎宏美の「シンデレラ・ハネムーン」。あの振り付けで歌う彼女を感激しながら観ていた。あらためてスター誕生出身のアイドルであることを再認識した。途中からは早見優、松本伊代、森口博子等が加わり、新旧アイドル勢揃いのパフォーマンスとなったのも見応えがあった。実にかっこいい曲なんだなぁと知ったのも収穫。

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色々と書いてきたが、このコンサートの概要と出演者、そして歌われた曲を挙げるだけでいいのだ、きっと。それらが何かを十分に語ってくれるだろうからだ。そしてそれは観た人の数だけ存在するし、しかもすべてが正しいだろうからだ。

ステージ上も客席も、何よりも歌われる曲たちが眩しくキラキラと光っていた。心と身体に永久保存される凄いコンサートだった。<2021-04-21 記>

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演奏 『 船山基紀とザ・ヒット・ソング・メーカーズ 』

船山基紀(音楽監督・指揮)
中西康晴(Keyboards) / 安部潤(Keyboards) / 土方隆行(Guitar) / 増崎孝司(Guitar)
吉川忠英(A.Guitar) / 髙水健司(Bass) / 山木秀夫(Drums) / 斉藤ノヴ(Percussion)
AMAZONS(Chorus):大滝裕子・斉藤久美・吉川智子
ルイス・バジェ(Trumpet) / 竹内悠馬(Trumpet) / 鍵和田道男(Trombone) / アンディ・ウルフ(Saxophone)
石亀協子Strings

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