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FREDERIC / PATTI SMITH GROUP from 『Wave』 -1979-

数あるロックのラヴ・ソングの中で1曲と言われたら、何を選ぶだろうか?

デレク&ザ・ドミノズの「レイラ」やビートルズの「オール・マイ・ラヴィング」。これらを頭の中に一応浮かべながらも、僕が選ぶであろう曲。それはパティ・スミスの「フレデリック」だ。1979年発表の『ウェイヴ』のオープニングに収録されているナンバーである。

このアルバムのプロデュースはトッド・ラングレン。ニューヨーク・パンクの流れでのパティ・ファンの耳からしたら、トッドらしい音の4thアルバムはまさにオーバー・プロデュースであり、そのあまりにもクリアでPOPな内容は賛否両論であったろう。しかし、1stをヴェルヴェッツのジョン・ケイル。2ndをエアロを手がけたことで有名なジャック・ダグラス。3rdをスプリングスティーンとの共作もあってかジミー・アイオヴィンと、アルバムを発表するごとにプロデューサーを代えてきた彼女である。旧友でもあるトッドの起用は特別なものでも何でもないと思う。僕も大好きなアルバムだ。

ピアノのイントロでパティが歌いだした瞬間からフェイドアウトまで、この曲を聴いている3分間は幸せな時間だ。後に夫となるフレッド・スミスを歌った曲であることは有名だが、これほど歌や演奏からその想いが伝わってくる曲を、僕は他に知らない。これはどんな時に聴いても変わることがないし、聴くたびに胸がいっぱいになる。理由はわからないのだが、別にわからなくても良い。

94年にフレッドが亡くなってからもライヴでは演奏されているが、彼女はどんな想いで歌っているのだろう?<2004-11-28 記>

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