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小島麻由美 『JIVE!JIVE!JIVE!』 billboard LIVE TOKYO 2017.03.12.

数年前に「赤い帽子」という曲を知ったのをきっかけに、少しずつ彼女の音楽に触れていくうちにすっかりファンになった。2015年のARABAKI ROCK FESや、2016年のHMV GET BACK SESSIONアルバム『二十歳の恋』再現、そして今年の年初には塚本功とのデュオと、これまで体験した、すべて異なる編成でのライヴは素晴らしく、ますます彼女に惹かれている。そんな状態なので、今回のビルボード公演は楽しみだった。

公式インフォから引用。

独特の歌詞、多様な要素を内包した音楽性で独自の世界観を表現するシンガー・ソングライター、小島麻由美が塚本功、勝手にしやがれメンバー、そしてDUB MASTER Xとのコラボセットでビルボードライブ東京に初登場!

またしてもこれまでと違う編成。彼女はメンバーを固定しているわけではないのかもしれない。こうした試みは、ファンにとっては好みによって凶と出る場合もあるだろうから、決して良いことばかりではないとは思うが、僕にとっては今回も吉だった。人数の割には音が適度に薄いバッキングは心地よく、独特な彼女のヴォーカルの魅力をじゅうぶんに引き出していた。

それにしても最高の演奏とグダグダなMCのコントラストが凄い。どこまで決めているのか不明だが、おそらく何も決めていないのだろう。MCではステージ上のメンバーだけでなく、お客さんにも突然の無茶ぶりをする。ライヴのよい流れが断ち切られてもおかしくないシチュエーションなのだが、不思議とそうはならない…少なくとも僕はそう感じる。その理由は、おそらくだが、その次に来る音楽・演奏の素晴らしさをわかっているからだ。音楽の巨大な説得力がすべてを包み込む。だから、あのMCを含めて小島麻由美の音楽ということなのだろう、きっと。

「モビー・ディック」「泡になった恋」「パレード」など僕のお気に入りは嬉しかったが、何と言っても「赤い帽子」であった。年初の塚本功とのデュオで歌われたときも感動したが、バンドアレンジはやはり最高だ。大作でも無いし、特別に感動的な内容の歌詞でも無い。しかしメロディ、演奏、ヴォーカル、楽器、テンポ、リズムなど、曲を構成するすべての要素が僕の身体に入り込み、ココロを強くふるわせる。こうした曲には何年かにいちど出会うのだが、これもそんな1曲だ。

現在は新作発表に向けて準備中のようだ。曲作りについてはなかなかうまくいってないようで、塚本功と、やはりグダグダなMCでこの重要な話をしていたが、僕たちに届けられる時には最高のものになると断言していた。この流れは、まさに前述した僕が感じる彼女のライヴのMCと演奏のそれではないか。近々届けられるだろう最高の音楽を期待したい。<2017-03-18 記>

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