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Shake 60's+2 幻の60年 木暮Shake武彦 還暦ライヴ 2022.03.19. EX THEATER ROPPONG

" 一生に一度のライヴかもしれない "

シャケ自身がこう表現したライヴは、これまでやってきたすべてのバンドでキャリアを振り返る、実に濃密な4時間だった。

80年代に僕を夢中にさせたレッド・ウォーリアーズ。活字の情報だけでレコード屋に走って手にした『LESSON 1』。冒頭の「Shock Me」で受けたショックは89年まで続いた。そこから実に33年が経つが、この日のトリをつとめたレッド・ウォーリアーズは、あらためて…いや、新しく…かな、そして心地よいショックを与えてくれた。

シャケのイントロと共にユカイがステージに駆けてくる。Just to win! と歌い出された瞬間、僕のココロは軽く30年の時間を飛び越えてしまった。「Casino Drive」は日本のロック史に残る、そして絶対に残すべき名曲である。

「Wild Cherry」の " 今がすべてさ いつだって " は今も有効だし、「Lady Blue」は天使のように思いっきり感傷的だ。そしてシャケが青いギターを背負い歌う「Shakin' Funky Night」。1ピックアップ、1ヴォリューム。シャケはやっぱりこのギターを弾く姿がキマッてる。ユカイのハープと共に、この曲は僕を西武球場のグラウンドに連れて行ってくれた。

最後はユカイがシャケに捧げた「バラとワイン」。33年前と今が僕の中で渦巻く。メロディがいちいち琴線にふれる。カラダとココロで楽しみながらも、少し泣いた。

ライヴは二部構成。一部のトリは37年振りのレベッカ。『ROCKIN'ON JAPAN 1988 8月号』を体験している身としては、レベッカとレッド・ウォーリアーズ、この二つのRを同じステージで観るのは感慨深かった。

  レベッカというバンドが最初は二つあった
  どうしてもRで始まるバンド名にしたかった

ライヴ中は、二つのRにまつわる、こんなシャケの発言がアタマをよぎったりしたが、最後に感動的なシーンを目撃することになる。

それは、アンコールが終わったあとの、シャケの挨拶でのことだ。

この日のメンバーに向けて感謝を述べたのだが、一人だけ、シャケが個人名で気持ちを伝えたのが、土橋安騎夫だったのだ。

" 土橋、本当にありがとう "

さりげないひと言ではあった。でも、この一瞬には、あり得ないドラマをみせられている感覚をおぼえ、とても感動的だった。

音楽は素晴らしい。本当にそう思った。ありがとう、シャケ。<2022-03-22 記>


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