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浜田真理子 コンサート2022 Soul Music 東京文化会館 2022.11.20.
「The Crow」でコンサートの幕が開いた。
1stアルバムの1曲目がオープニング・ナンバーというのは、ファンにとってはなかなか強力である。CDやレコードをかけて、まず最初に聴こえてくる音だし、しかもそれが1stアルバムともなれば、思い入れ度も高い。実際に、イントロを聴いた瞬間、心の中で身体が浮いた。かっこいい。
最近の僕が観るライヴはカヴァーが多い傾向だったけれど、オリジナル中心のメニューが嬉しかった。直球の弾き語りのそれだから、尚更だった。
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今年つけられたタイトルは『Soul Music』。発表された当時は、いわゆるソウル音楽…を想像して、それを真理子さんが歌うのは新境地かも…と思っていたが、蓋を開けてみれば " たましいのうた " としてのSoul Musicだった。
明言はしなかったが、この日のテーマは “ 別れ “ だったと思う。色々なカタチの別れでは無く、おそらくハッキリとしたそれである。
オリジナルの「まちあわせ」「たましいのレストラン」。おそらにいってしまわれた人の曲…は、小坂忠「機関車」。おおたか静流に捧げた「悲しくてやりきれない」。これらのうたから伝わってきたものはもちろんだが、本編最後を締めくくる「胸の小箱」や、コンサートのラストに歌われた「月夜の夢に」などにも、このテーマはチラチラとよぎる。
いや、思い切ってテーマをセット・リストに当てはめてみれば、披露された新曲「アデュー(adieu)」、映画『あちらにいる鬼』エンディング曲で話題の「恋ごころ」、そして「静寂(しじま)」などのオリジナル曲と、戦渦のラヴ・ソング「リリー・マルレーン」も含め、すべてがテーマを彩る曲だったとしか思えない。
ただし、うたうのは浜田真理子だ。そこにネガティヴな要素はまったくないし、毎度のことだけれど、全編で笑顔が浮かぶのが素晴らしい。
こうして振り返ってみると、まるで1本の映画のような、実に感動的なコンサートだったのではないか。
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“ 浜田真理子を百万人に聴かせたい “
これは和田靜香さんによる、『マイ・ラスト・ソング』の浜田真理子について書かれた中の名言。僕も同じことをずっと思い続けているが、今は、こうも思う。
“ 浜田真理子は百万人が聴くべきだ “
<2022-11-22 記>