新谷祥子 マリンバ弾きがたり 「Rock Marimba」 南青山MANDALA 2010.02.27.
彼女のホームページのtopic欄に、こんなニュースが載っていた。
Xylosynthという電子系マリンバ。2月新谷祥子ライブにて初登場します
電子系マリンバ? 単純に " エレクトリック・マリンバなのだろうか " と想像していた僕は、エレキ・ギターのように電気的に音を増幅して聴かせる楽器かな…なんて思っていた。結論から言うと様々な音が出る、所謂シンセ・マリンバのようだ。キーボード型ではなく、マリンバのカタチをしたシンセサイザーとでも言うのかな。僕の文章ではその音を伝えることはとてもじゃないができないので、機会があれば、実際に音を聴いて確かめてもらいたい。とにかく彼女自身も可能性を感じているようで、この楽器の今後の活躍が楽しみだ。
新谷祥子、マリンバによる弾き語りライヴを観るのは4回目。今回のライヴ・フライヤーには彼女の曲の歌詞が書かれていた。引用させてもらいます。
もっと、もっと、打ち鳴らしてタンバリン
もっと、もっと、つながって私たち
うれしいときも、かなしいときも
タンバリンビートで 打ち続けたい 歌いたい
雨の音にかき消されても ...
新谷祥子『タンバリン・ウーマン』歌詞より
これを見ての僕は、やたらと力強い印象を受けていたので、今回のライヴは、もしかしたらそんな感じになるのかなぁ…なんてことも思っていた。ちなみにこの曲は本編のラスト・ナンバーとして演奏されたのだが、僕が受けた、まさにそのままの力強い決意や意志を感じる、感動的なナンバーだった。途中で " 吐息を歌にして " という歌詞が出てきたのだが、これは僕が常々感じている彼女のヴォーカル・スタイルにピッタリと当てはまることである。間違いなく、新谷祥子の代表曲となるだろう。
さて、これまで観た2回のライヴも素晴らしかったが、今夜はそれらを上回る。もちろん彼女自身の中では、こーしたかったや、あーすれば良かったなどもあるだろうけれど。
僕がライヴ前に感じていた力強さは事実だった。ここで言う力強さは、何も圧倒されるようなPOWERということだけを指すのではなく、色々な意味で僕が感じる " チカラ " である。それは、歌の、曲の、楽器の、演奏の、思いの…チカラだ。
ライヴのメニューはオリジナルに数曲のカヴァーである。このカヴァー。何の曲が演奏されるのかが毎回楽しみなのだが、この日は前回も歌われた「花」「傘がない」や「リンゴの唄」の他、「Amazing Grace」が彼女独特の " 土っぽい " という解釈で演奏された。
そしてカヴァーとしてはもう1曲。これは記しておかねばなるまい。以前も「ガルシアの風」を取り上げた彼女であるが、仲井戸麗市の曲が演奏された。この曲を " 好きな曲 " と公言していたとは言え、それでもフルに演奏されたことにはびっくりした。
カヴァーされたのは「ホームタウン」。Xylosynthを使い演奏されたのだが、
始まった途端に " これは名アレンジだぞ! " と思った。オリジナルとはまったく違うヴァージョンとなっていたのだけれどまったく違うのに、紛れも無いあの「ホームタウン」なのである。
過去に僕が聴いたチャボの曲のカヴァー・ヴァージョンで、オリジナルをこんなに崩したもの…しかも、原型をとどめていないのに、そこにはリスペクトや愛情が十分に感じられるもの…というのを初めて聴いた。会場にいた数少ない(?)チャボ・ファンは、本当にラッキーであったと思う。
もちろんオリジナルも素敵だった。特に「冬の線路」の切なさと「アフロ・ブルー」のカッコ良さが印象に残る。
そしてマリンバを操るその姿。彼女のライヴは、音だけでは絶対にその魅力が伝わらない。実際に観なければわからない。
ライヴを観るたびにまた次を観たくなるのだが、僕が観ることができる次のライヴというのが何と! 春の京都は磔磔での、仲井戸麗市との共演なのである。
実は終演後、またまた嬉しいことに新谷さんとお話する機会を持てたのだが、Xylosynthを磔磔でも使うと思うとおっしゃっていた。チャボのどの曲でこの楽器が使われるのか。そしてどのようなアレンジで何色に曲が染められるのか。それを想像しただけで…。
凄いライヴになると思う。もう今から待ち遠しくてたまらない。<2010-02-28 記>
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