KISS MONSTER JAPAN TOUR 2013 日本武道館 2013.10.23.
KISSを観るのは2004年以来になるだろうか。2011年に予定されていた来日公演は2日間おさえていたのだけれど、震災の影響でか延期になった経緯があるので、待望の来日だった。しかも場所は武道館。過去は東京ドームや横浜アリーナで体験しているが、やはり70年代に夢中になったバンドを観るのはここ、日本武道館がいい。
セットリストはチェックせずに行った。とは言っても、初日の幕張メッセから断片的に演奏された曲の情報は入っていたが、何を演るにしてもキッスであるから、まったく心配はしていなかった。もちろん演って欲しい曲はあるけれど、満足できないライヴになるはずがないという確信。こんなバンドはキッスだけかもしれない、僕にとって。
開演前のBGMがいきなりツェッペリンの「ロックン・ロール」になった。武道館で大音量で聴くこの曲は盛り上がるが、終わった途端、客電が消えた。しばしの間をおいて、あのアナウンス。
You Wanted The Best!? You Got The Best!
The Hottest Band In The World, KISS!
これは盛り上がる。偶然、開演前が「ロックン・ロール」だったのかもしれないが、盛り上がる。
ステージを覆っていた幕が落ち、目の前にはスパイダー・セットに乗ったメンバーが、「Psycho Circus」のイントロと共に降りてくる。そう、降りてくるのだ。キッスのライヴのオープニングは、やはりこの " 降りてくる " が最高にハマる。
この瞬間に僕の中に一気にこみ上げてくるものが…。涙は出さなかったけれど、嬉しさと感激とでココロは泣いていた。あとは一気にラストまで突っ走る最高のロックン・ロール・ショーだった。
ポール・スタンレーのMCは楽しい。日本語が上手くなっていたのも、楽しさに輪をかけた。話すだけでなくイントネーションまでが上手いのだ。特に凄かったのが「上を向いて歩こう」。違和感なく歌われたそれは、聴いていて感激した。
そのポールは、今回もアリーナ中央へ飛んでくる。小さなステージがセットされ、ここで「Love Gun」を歌う。もちろん歌うのは僕たちも一緒だ。
ここは感動的だった。アリーナ席はもちろん、1階や2階席までポールはこのステージから気を届けるのだ。おそらく、あの場にいたほとんどの人が自分とポールの目があったと思ったことだろう。ポールはここだけでなく、曲間のMCでもいちいちサービスしてくれて、本当にプロなのだとあらためて感じるし、実際に感じた。素晴らしいと思う。
一方のシーン・シモンズ。定番の火吹き(今回は「War Machine」)と血吐き(もちろん「God Of Thunder」)。わかっているけれど興奮する。素直にカッコイイと思う。もう10代ではない自分も、10代と同じような気持ちでジーンを観る。自分で自分が笑顔なのがとてもよくわかる。
トミーとエリックは、もうエースとピーターにしかみえない。これは最大の褒め言葉としてと思っていただきたい。特にトミーによる70年代のナンバーでのギター・ソロは、思わず顔がほころぶ。しかもトミーは「Shock Me」まで歌うのだ。そしてエリックは本編を〆る「Black Diamond」を歌う。もう " 今のキッスはポール、ジーン、トミー、エリックの4人 " というよりも、僕にとっては、そこにいるのは紛れもないキッスというバンドであった。
アンコールは「Detroit Rock City」「I Was Made For Loving you」、そして「Rock'N Roll All Nite」。この3曲はすべてメドレー的に繋がれていて、続けてぶちかまされた。カッコイイったらありゃしない。
最後はお約束の紙ふぶきが武道館の空間を埋め尽くし、その中を " rock and roll all nite and party every day " が飛び交う。キッスのライヴでしか体験できないカタルシスで幕を閉じた。
お客さんの年齢層はかなり高かったと思うけど、きっと武道館にいた人は、
皆がキッスに夢中になっていた頃の自分に戻っていたのではないかと思う。僕も今夜だけは中学生になっていた。バンドとお客さんのあいだにありがちな敷居も、僕には見えなかった。<2013-10-23 記>
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