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Hiroyuki HANADA AGE 50th GIG NAGARE PREMIUM DAYS 1 LIQUIDROOM 2010.06.20.
これだけのライヴなのに、花田本人からのMCはほとんど無し。ある程度ドライなのは予想していたとはいえ、その予想以上に無かった。でも、ライヴ中に、しきりに照れた表情と仕草を見せる花田裕之を見れば、MCなんてしなくても、十分に伝わってくるものがあった。ライヴ自体も3時間を越える長丁場だったが、セッティングなどの演奏以外の時間も特に気がそがれることなく進んでいたと思う。
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出演するゲストは、それぞれの持ち歌とスタンダードな洋楽カヴァー、そしてROOSTERSやROCK'N'ROLL GYPSIESの曲などを各自2~3曲演るという構成だった。カヴァーだけの人もいたし、自身のオリジナルを歌う人もいたし、ROOSTERSを演る人もいたりと、すべてのゲストが同じパターンでは無かった。
最初に発表された出演者はフライヤーのとおりだが、本番2日前に and more が3名、発表された。ヤマジカズヒデ、Dr.kyOn、そして布袋寅泰。これを知った時点で、僕のいちばんの興味は布袋との共演に絞り込まれた。
今の花田の音楽活動からすれば、ファンにとっても布袋とのコラボ期は、おそらく評価は低いと思われる。実際に、あの音は花田の資質と合っていたとは言い切れないかもしれない。でも、ROOSTERZを終え、ソロとしての歩みの第一歩が 『Riff Rough』であり、『Riff Rough Session』 として残されたライヴだったのだ。
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ライヴは柴山俊之との菊花賞で始まるという贅沢なものだった。菊花賞を観るのは初になる。「500マイル」が良かった。
藤井一彦と花田という2人のギタリストが並ぶ姿は、とても絵になる。「She Does It Right」のブレイク後のカッティングが、めちゃくちゃキレていた。カッコ良過ぎる。藤井一彦熱が再燃しそうな予感。
陣内孝則はロッカーズ「可愛いアノ娘」、石橋凌はARB「AFTER'45」と、それぞれの曲も歌ったのだが、この辺は嬉しい気持ちもあったけれど、なかなか微妙でもあった。あくまでも観る側の(しかも、僕の)視点ではあるけれど、花田がギターを弾いているバンドで、陣内がロッカーズを歌う…であればいいのだが、凌がARBを歌うバンドで花田がギターを弾いている…になってしまうようで…というのがその理由。これは同じようだけど、僕の中では微妙に違う。まぁ、お祭りだからいいんだろうけれど、何故だか今日はそんなことを感じてしまった。いや、でももちろん2曲とも良かったし楽しめたよ。
三宅伸治との「Jumpin' Jack Flash」というど真ん中選曲がある一方、苣木寛之とはPINK FLOYDの「Wish You Were Here」、UAとのPATTI SMITH「Because The Night」など、取り上げられるカヴァー曲もバラエティにとんでいて楽しめた。
ROOSTERSナンバーで印象に残ったのは、加藤ひさしによる「GIRLFRIEND」。サビのリフレインをお客さんに歌わせるという、ニクいアレンジ。こんな風にやられると、ライヴの性質から言ってやたら感動的。仲野茂による「恋をしようよ」も、あんなに笑顔でセッションできる曲になったんだなぁと感慨深かった。やはり30年という年月が経っているのだ。
そして、布袋寅泰。結果的にはライヴ本編最後のゲストが布袋だった。やはり、これには理由があるだろう…と思う。
まずは肩慣らしという風に「Born To Be Wild」でスタート。" 布袋です " と、ロックン・ロールでご挨拶…みたいな感じだったな。この曲の演奏が終わると、すぐに花田が弾くイントロが聴こえてくる。
あぁ、これは「Sadness City」じゃないか…
そうだよな、やはり 『Riff Rough』 から演るんだよな
布袋とのセッション・バンドは、花田&布袋に池畑と井上。このメンツから出てくる音がかっこ悪いわけが無い。急造のセッション・バンドとは思えない音だった。もちろん4人の姿だけでも迫力と貫禄だ。
これだけでも僕は大満足だったのだけれど、何と再び花田がイントロを弾きだす。
おお!これは「Hevenly!」じゃないか!
花田と布袋が向かい合ってギターを弾きあう姿は、実にロックだった。
布袋との3曲。この2010年のRiff Rough Sessionを観られたことは僕の中で大きい。僕が観て聴いたのは、単なる気楽なセッションということでは無い。音楽は本当に素晴らしい。
花田裕之50th、おめでとう!
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p.s.
もちろんROOSTERZのナンバーは1曲も演奏されなかった。七夕の夜までお預けである。<2010-06-21 記>