見出し画像

お寺でSinger Song Marimba 新谷祥子 木色エレジー昼の部 八王子市龍見寺 2017.07.01.

龍見寺でのライヴは今年で3回目。通常フォーマットのライヴでは無いことでの、いわゆる音響や照明など演出面でのマイナス点はどうしたってあるが、昨年まではよい意味で手作り感に溢れた内容のおかげで払拭されていた。それどころか曲の合間に聞こえる鳥の声、吹き抜ける風、雨の音など、ここでしか味わえない自然のSEが素晴らしい効果をあげていて、唯一無二の世界を作り上げていた。

僕にとって龍見寺のライヴは何だか夏の入口になっているようで、今年も八王子に来るのが楽しみだった。

スタッフが会場の…お寺の入口で笑顔で迎えてくれる。環境から感じられることも含めたこの優しい雰囲気は新谷さんならではで、既にここからライヴはスタートしているように思える。

開場後、マリンバを見た途端に気づくこれまでとの違い。楽器にもマイクがセットされ、後方にはPAスピーカー。フライヤーを確認すると、何と音響に山寺紀康さんの名を見つける。チャボのファンには知られているし、新谷さんのキッドアイラックホールでの音響も担当されていた。そういうことならば音は期待できる…の思いは、はたして期待以上だった。

もちろん、音響やセットなどすべてが手作り感あふれるこれまでのステージも味があった。しかし、とても簡素にしか見えないが、この音響設備の効果は凄かった。特にヴォーカルの聴きやすさはバッチリで、お寺の中というのを忘れる瞬間があり、下手なライヴハウスよりも良い音に感動した。

過去に体験してきたライヴから、新谷さんがオリジナル曲以外で取り上げる曲の、そのジャンルの多彩さは承知しているつもりだが、ここ龍見寺でのそれは、彼女が持つすべてのジャンルを惜しみなく出しているように思える。この日に演奏されたインストゥルメンタルと洋楽以外の曲を、思い出せるだけ順不同で挙げてみる。

「悲しい色やね」「Mr.サマータイム」 ※「百万本のバラ」
「黄昏のビギン」「真っ赤な太陽」「朝日楼」
「戦争は知らない」「赤色エレジー」…といった具合だ。

※「100万本のバラ」追記
新谷さんのブログにも記されたように、当日のこの曲は加藤登紀子さんのヴァージョンではなく、
その原曲となった「マーラが与えた人生」が歌われた。
http://shokoaraya.cocolog-nifty.com/blog/2017/07/index.html#entry-114794964

さらに、ここにエリック・サティや武満徹、ベット・ミドラーなどが挟まれる。この振り幅こそが魅力なのだが、これらすべてが新谷祥子色に染まり、まったく違和感を感じさせないことが素晴らしい。もしかしたら、今の新谷祥子のすべて…か、それに近いものを観ることが出来るのが龍見寺のライヴなのかもしれない。

間違いなくこれまでの龍見寺ライヴでは最高の出来だった。夏の龍見寺は新谷さんにとってもファンにとっても、今後も恒例になっていきそうな予感がする。

p.s.
スペシャルゲストとして、高尾山とんとんむかし語り部の会の方が「亀の念仏」というお話を聞かせてくれた。音楽では無かったが、何ともこの日に似合っていた。

p.s.2
夜の部はオカリナの君塚仁子さんがゲストだったとのこと! うわ!観たかったなぁ。<2017-07-07 記>

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?