見出し画像

アン・サリーと浜田真理子 代官山 晴れたら空に豆まいて 2014.08.22.

晴れたら空に豆まいてがこの8月16日(土)で8周年を迎えるということで、それを記念したライヴのひとつとして企画されました。オフィシャルのインフォから引用します。

晴れたら空に豆まいて、八周年記念企画にて素晴らしい二組の組み合わせが実現しました。昨年開催した代官山ロックフェスティバルにて、ピアニスト南 博とのデュオにて、素晴らしい歌声で会場を魅了したアン・サリーが二度目の登場。そして今回、待ちに待った晴れ豆初登場、浜田真理子。なかなかありそうでなかった二組での組み合わせがついに実現。人生を感じさせるお二人の歌に、心を揺さぶられないはずがありません。珠玉の一夜を、心ゆくまでご堪能ください。

1部は初めて観るアン・サリーさん。演奏が進むにつれて惹きこまれていくヴォーカルは魅力的でした。その世界とは逆のとぼけたようなMCも楽しく、ここは真理子さんと似ているなぁと感じました。

そして第2部。晴れ豆に初登場の浜田真理子です。

最近の真理子さんのセット・リストは、久しぶりに取り上げられる曲があるのが特徴です。しかも3rdアルバムまでの、比較的に初期のナンバーが選ばれています。ただし、単に " 久しぶり " ということに終わらないのがハマダマリコ。曲が単独で持つ力が半端ではないので、さらっと聴き流せることはありません。それどころか、その久しぶりの曲が、聴く人によってはその日の核になることも十分にあり得ます。

1曲目は「song never sung」でした。個人的には意表をつかれたオープニングです。もちろんよい意味で。何てったって、アメリカのシンガーソング・ライターの代表的な作品の中に、たとえばこの曲がポーンと混じっていたとしても、おそらく名曲として挙げられるであろうと確信する大好きな曲ですから。

「しゃれこうべと大砲」も久しぶりに聴きました。ある時期はライヴの定番になっていたカヴァーです。その当時と変わらぬ瑞々しさと透明感。そして緊張感。相変わらず素晴らしい解釈です。

作品化されていない新曲「明星」の後に、2ndアルバムから「あしくび」です。この距離感というか落差によって、確実にライヴのテンションがあがります。ここに「ミシン」や「のこされし者のうた」という代表曲が加わるわけで、おかげで終盤で歌われた浅川マキの「Blue Spirit Blues」が霞んだほどです。最後は「流転」で感動的に終わりました。この曲も、最近はそう多くは歌われていないと思います。

MCでは笑いを取るのを忘れないいつもの真理子さんだったし、もちろんそれもライヴを楽しむひとつの重要な要素ですが、この夜のセット・リストの深さ、重さ、恐さ、凄みなどはそれと相反するものでした。僕がハマダマリコの音楽に出会い、惹かれた当時の理由を思い出させるものでもありました。まさにThis is the ハマダマリコ! 素晴らしく濃密なライヴでした。

アンコールでは、まずは「虹の彼方に」をセッション。二人のヴォーカルにはあまりにも似合いすぎた曲で、その分、刺激は少なかったなぁというのが正直な想いです。でも、会場内に虹が出るという演出があり、これは感動的でした。

ライヴを締めくくったのは「海」です。

  ♪ 海は広いな大きいな 月がのぼるし日が沈む

聴いた人の数だけ…いや、それ以上の情景が浮かぶであろう凄い歌詞です。そしてこの夜、この曲の周りには何もありませんでした。うたと歌詞だけがそこにあり、それが歌われ、それを聴いただけです。そこにあったのは " 音楽 " です。

今の僕は、音楽を聴くことに理由や理屈などを付けてしまいます。でも、音楽を好きになったときは、そんなことは感じなかったはずです。余計なものが何もなかった頃を、自分がなぜ音楽を好きになったのかを、そんなことをこの日の「海」は思い出させてくれました。

厳しい残暑を忘れさせてくれた夜。アン・サリーと浜田真理子にありがとう。<2014-08-25 記>

いいなと思ったら応援しよう!