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【MBTI】J型とP型の違い ①組織志向

今回はJ型 P型について。といいつつもっぱらP型研究になっている感。例によって長いです。


基本:「秩序」か「自由」か

 J型とP型の違いは、ダンジョンズ&ドラゴンズにおける「アライメント」の概念に近い。ゲームをやって育った30代くらいの人であれば、TRPGや女神転生、タクティクスオウガのアレといえば通じるだろうか。

これは秩序を好みまたそれに束縛されるロウ(Law)と、束縛を嫌い自由を求めるカオス(Chaos)という概念があるのだが、MBTIにおけるJ型とP型の立ち位置はコレに近いものを感じる。基本的な姿勢としてはこれだろう。

1.「ストック」か「フロー」か

J型とP型の基本的な物事への態度(対処方法)について関わってくる要素となるのだが、筆者は「保存性」という概念に着目してこれを論じてみた。物事へ向き合うときの態度として「ストック」に意識が向かいやすいのがJ型、「フロー」に意識が向かいやすいのがP型といえるだろう。

保存性が効くJ型

 J型は報酬に対する誘因性が低い性格と思われる。SJ型はルールに基づく「秩序維持」を好むために好奇心は抑制され、NJ型はビジョンに基づく「目的達成」を優先するため目先の刺激にする感度が低く、ゆえに一定の耐性を持つ。

そのためSJ型は経験則、権威、先例といったものを好み、NJ型は法則性、パターンといったものを好むのだが、どちらも保存性がある。保存を繰り返し蓄積したもの(ストック)を使用・運用するのである。

物事の問題解決を行う場合、J型はそれら蓄積をもとにした結果ありきの予定調和的行動を好む。SJ型なら前例や経験則からそれを踏襲するし、NJ型ならビジョンから逆算して導線を引く方法でこれを行おうとする。その反面として、ライブ感(鮮度)に欠けるところもあるのは事実だ。

保存性が効かないP型

 P型は報酬に対する誘因性が高い性格と思われる。SP型は五感を刺激するものに対して、NP型は好奇心を惹起するものを嗜好するところがあるようで、言い換えれば報酬に対する自制が効かず、耐性がない性格ともいえる。ネコにとってのマタタビみたいな感じだろうか。

そのためSP型は強い音や光、異性の魅力、化学物質などといった刺激の類を好み、NP型は新奇性や独創性といった好奇心を駆り立てるものに惹かれやすいのだが、どちらもライブ感(鮮度)が重要であり保存性がない。その刺激や好奇心は、後に取っておいて楽しむことができない。

また物事の問題解決を行うにあたっても、P型は結果ありきとしない探索行動を好む。なのでSP型なら「アドリブ」になるし、NP型なら「ひらめき」になる。それが浮かんだその時にやるしかなく、フロー的だ。

2.状況の再現性を求めるか

 J型とP型を見分けるポイントとしては、問題解決のアプローチとして再現性を求めるかどうかだ。これも先に述べた保存性への執着のひとつとなるのだが、J型はこれを確保し、P型は確保しない傾向がある。

授業の際の板書ノートなどを見るとわかりやすいかもしれない。J型はきちんととるが、それで成績がいいとは限らない。逆にP型は取らないことも多いが、それでも成績がいい人もいる。前者は忘れる不安から再現性を求めてストックを試みており、後者はすでに理解した部分の再現性は不要だと判断したためフローで軽く流している。

再現性を確保するJ型

 J型の場合、秩序維持や目的達成の手段として前例やパターンの保存を前提とすることから、再現性を確保したがるところがある。状況再現を行うことで秩序維持や目的達成を行い、その成功事例自体を新たな前例やパターンとして保存し、これを繰り返してストックを形成する性質がある。

予定調和を好む性質から、前回やった方法と同様の方法で処理されることを望む。前回同様の方法できなかった場合も、前例を叩き台にする、パターン改良するといった方法で、保存・蓄積したものを何らかの方法で使い回す問題解決のアプローチを取ろうとする。

使い回しが前提となっているため、前例やパターンは頭の中の知識に収める、実際の記録や所持品として外部化する、といった方法で保存されており、いずれも整頓・体系化されていることが多い。イメージとしては書庫で、事例があればそれに対応した資料を参照・引用するイメージだ。

再現性を確保しないP型

 P型の場合、刺激や好奇心といった報酬をモチベーションとし、その獲得手段としてアドリブやひらめきを用いるため、再現性は必ずしも求められない。刺激や好奇心には保存性がなく、また同じ刺激や好奇心は次第に耐性が付くため、やがて満足しなくなって飽きてしまうからだ。

そのため前回やった方法には必ずしもこだわらないし、前回同様の方法でできる状況がある場合でも、前回やった方法を覚えておらずその通りにできるとも限らない。その場合は新たにアドリブやひらめきといったフロー的アプローチを用いる。突然それまでとは全く別の手法をとることもあるが、即興なのでそのままでは再現性を確保できない。

過去の経験やパターンは一応取ってあるが、整頓・体系化されていることは少なく、雑然としているので使いたいときに見つからないこともある。しかし雑然としているが故に、全く新しいアイデアが生まれやすく、アドリブやひらめきの材料となるところもある。SP型は条件反射、NP型はブレインストーミングに近い。

3.組織集団に対する態度

 先に述べた保存性の有無、それに伴う問題解決アプローチの違いから、組織集団に対する態度もJ型とP型で大きく異なっている。冒頭でも述べた通り、J型は秩序を好み、P型は自由を好む。

ざっくりいうと、J型は農耕民族、P型は狩猟民族みたいなイメージだろうか。あるいはJ型はイヌっぽいし、P型はネコっぽいといえるかもしれない。

組織志向の強いJ型

 J型は体系化された前例やパターンなぞり、予定調和的に問題を解決したがる。そのため「計画」を好む。計画は体系化された知識や記録をもとに作られた予定であり、言語化されていれば他者と共有もできる。J型は問題解決を効率よく行うために情報と計画の共有化を進めていく習性があり(予定調和)、このため秩序を好み、組織志向が強くなるところがある。

情報伝達がきちんと行われるかという調整に気を払い、必要に場合は分業・役割分担も行い、その足並みを揃える必要があることから、一定の自由の制限や束縛は受け入れる。義務を負うことが前提になるので責任感も強くなり、したがって必要に応じて他者に対して介入・干渉を行うこともある。

J型の人間は多かれ少なかれ「組織集団の一員」という秩序意識があり、役割、階級、責任などの当事者という意識がある。あのINTJすらも実は組織志向である。パーソナルスペースの広さゆえに組織集団からは一定の距離を置いているだけで、完全に孤立したり浮いてしまうことは好まない。

有言実行のJ型

 そしてJ型は何らかの行動を起こすときは有言実行であることが多い。秩序と予定調和を好むからだ。周囲環境に何らかの変化や影響を及ぼす決定をする場合、あらかじめそれを発現してみて、周りの反応や確認を取った方がやりやすい。

そのため求められたら説明はするし、また必要を感じれば自主的に説明を行おうとする。多少面倒でも足並みを揃えた方が反対や抵抗といった邪魔が入りにくく、無駄が少なくてやりやすいからだ。

ただし組織の意向と自身の意向とが一致しない場合、情報を開示せず不言実行進めていく場合もある。これは特にINTJ・INFJで顕著だが、彼らは自身のビジョンに基づいて水面下で独自のムーブメント見せることも多い。INTJなら面従腹背、INFJなら警鐘啓蒙という形になるだろうか。

個人志向の強いP型

 P型はアドリブやひらめきによるアイデアを用いて、探索行動によって問題を解決する。そのため計画はあまり好まない。自由に動けないためだ。

P型が好む報酬はライブ感(鮮度)が大事なので、それを楽しむ時は他者に邪魔をされたくない。そのため時間や規則、人間関係などで束縛されることは嫌うし、他者・組織からの介入・干渉も嫌がる。反面、自身も他者を尊重し、不必要な介入・干渉はしないスタンスを取っている。

また探索志向ゆえに着地点は必ずしも見据えておらず、条件反射やブレインストーミングは情報共有が難しい。アウトプットとなるアドリブやひらめきも即興的なので、認識を共有せず必然的に個人主義志向が強くなる。

あの穏やかなISFP・INFPすらも実は個人志向である。自他共に良心や個性を尊重する性格ではあるが、同時に「人は人、自分は自分」と自他境界がはっきりしているタイプでもあり、本質的には個人主義者である。

ENTP・INTPはその知性と好奇心の高さから社会動向や組織動態に明るい者もいるが、自身は当事者になることは好まず「傍観者」でいることが多い。興味の対象として眺める分にはいいが、自らも当事者であることを強制され、貢献や義務を課されることは御免被る、という意識がある。

不言実行

 P型の人間は個人主義志向が強いため、組織集団に対して無関心か、あまりいいイメージを持っていない。堅苦しく束縛される要素を嫌うからだ。

そのためP型は不言実行型の人間が多い。探索志向ゆえに着地点を用意していないというのもあるが、単に面倒くさいからだ。個人主義ゆえに他人と協調・調整・情報共有する必要が薄く、またアドリブやひらめきは説明が難しい部分も多い。余計なことは言わない方が反対・抵抗が入りにくく、無駄が少なくてやりやすいからだ。

ENTPは議論を行う、意見を問う、人を試すという部分では饒舌に見えるが、自身の目的性を示すことはあまりない。目的性を示すとそれは計画になってしまい、自身を束縛する要素になってしまうからだ。そもそも決まった目的性自体が薄いこともあるかもしれない。

この点ENTJは逆で、あえて有言実行することで目的達成意識を高めている節がある。勝利確定BGMが流れると負けられなくなるのと同じである。

4.プレーヤーとマネージャー

 上記の「組織集団に対する態度」は、一般社会や組織集団内での振る舞い方、ロールモデル、キャリア構築の方向性に大きな影響を与えてくる。また再現性という有無という観点から、教育に対する考え方にも関わってくる。

J型のマネージャー気質

 組織集団を意識するJ型は往々にしてマネジメントに適性を持つ者がいる。予定調和で物事を進めていく以上、それを統括して取りまとめる人間が必要になるのだが、J型自身がそういった気質を持っているため、必然的にマネジメント適性を持つ者は多くなる。

中にはプレーヤー適性がなくマネジメント適性のみを持つ者もいるが、日本のキャリアの場合、マネジメントを行うにはプレーヤーとして経験や実績を積んで出世しなければならないためなかなか厳しいものがある。

教育者としての側面

 J型は教育者としての適性を持つ者がいる。経験やパターンなどを蓄積して体系化することで、再現性を確保しているためだ。教育以外だとコーチやコンサルタント、人事部門担当者などにも向く。

この分野は特にNJ型が強い。理由はN型故の思想性と、J型ゆえの秩序志向・目的意識を兼ね備えているからだ。

ENFJ、INFJなどは顕著だが、再現性の確保には後継者の指名・採用募集・後進の育成も含まれる。INFJやINTJは代替性・持続可能性を意識する。ENTJ、INTJは人材コレクターの側面がある。彼らNJ型は銀英伝、三国志やノブヤボ、ファイアーエムブレムみたいな視点で人材評価とその運用方法を常に考えている。

 今いる人員が変わっても組織集団が成立するか?ということをこれらのタイプは常に考える。人員の代替性を確保し、組織が持続可能たりえる手段として、採用と教育は再現性を確保する上で切っても切れない関係にある。

その一方でどうしても管理的になるきらいもあるため、同じくJ型でないとなかなか思うように教えることは難しいかもしれない。ESTJは特に押し付けが強い。INFJは特に説教が長い。(ギクッ!)

またJ型である時点でFiユーザーにはならないため、共感や情緒を必要とする教育は少し難しい。Feユーザーは立場こそ理解するが、協調はしても共感はしづらく、一定の距離があるためだ。

P型のプレーヤー気質

 個人主義の色が強いP型はもっぱらプレーヤー気質となる。当事者として自身の仕事を主観の立場から行うことが多い。マネジメントは他人の仕事の管理を行い、その責任を負うということなので、個人主義者の多いP型にとっては面倒なだけだろう。

P型はいわゆるピーターの法則にぶつかりやすい。プレーヤーとしては優秀だがマネジメントは向かないからだ。彼らが出世して適性を活かせるポジションは、担当課長のような部下無し管理職か、専門分野におけるプロフェッショナル、それか独立起業して自らが社長になる場合だろう。

しかしプレイヤーどうこう以前に、P型が労働を好むかというとまた話は別で、ナチュラルにサボりたがるところはある。SP型は早く遊びたいのでSeを使って要領良くチャッチャと片付けてしまう。仕事中はもちろんタバコ休憩を欠かせない(最近は減ったがブルーカラーだとまだいる)

そもそも仕事が好きか?

 ていうかNP型はぶっちゃけ仕事キライだろう。ENTP、INTPは「こんな仕事にマジになっちゃってどうすんの?」とXでつぶやいていたり、働くのがイヤでブロガーやYoutuberになっている。ENFPはフワーッ!!って感じで周りに浮遊感与えちゃってる。INFPは相も変わらず生きづれー生きづれーである。

NP型は組織集団の「当事者」になることを良しとしない。ENTP、INTPは「傍観者」として外野から観測しているのが好きなようだ。ENFP、INFPはやっぱり「共感者」なのかな。自分が何かをやるというよりも人の喜怒哀楽を感じ取って共感している方が合っているのかもしれない。

教育者としては向かない

 P型は基本的には教えるのには向いていない。アドリブやひらめきなどの探索行動が多いため再現性を確保していないためだ。また個人志向のため、そもそも他人や社会組織にあまり興味がない人が多い。

ただしFiユーザーは共感や情緒を必要とする教育に適性がある。SFP型であれば、大人数をさばく必要のある都市部の公立小・中学校などは向いている。教育理念や精神性はともかく、お昼の飲食店やイベント会場のような、大人数のハコをさばく要領の良さ(Se)が存分に活きる。

NFP型ならたとえば幼児教育や特別支援学級などだろう。派生するなら保育士や介護士などもそうだ。この辺はたとえばESTJがやったら馴染まないことが明白で、こうした感情労働の適性はFiユーザーならではといえる。

探求者としての側面

 そもそもP型自体が探索志向のため教育になじまず、試行錯誤を繰り返して成長する(教わらなくても育つ)という部分もあるため、教育制度そのものとあまり相性が良くない。

特にSP型は座学の勉強で困ることが多い。反対に体育、美術、音楽などの実習系の科目になると、誰に教わったわけでもなくテキパキこなす。NTP型は化学や生物、電子工作など学校では習わないマニアックな分野に精通していることがある。NFPは人文科学、占い、スピリチュアルなどだろう。

それゆえにP型は探求者としての側面があり、SP型は職人、NP型は研究者として活躍できる可能性がある。これは予定調和(=ゴールを予め設定する)J形では到達しえない領域で、無限の好奇心と飽くなき探求心がないとたどり着けない。この面からもP型はプレーヤー向きと言えるだろう。

まとめ

 J型P型では、問題解決におけるアプローチが異なる。J型は前例やパターンを用いた予定調和を好み、P型はアドリブやひらめきを用いた探索行動を好むようだ。

その違いが組織集団に対する態度が違いとなり、J型は組織志向が強く秩序を重んじ、P型は個人志向が強く自由を求めるスタンスになるようだ。

筆者がこう思った経緯は、家族構成と今までの職歴にある。いずれもSP型が多数を占め、自分だけがINFJ(Se劣勢)という状況だったわけだが、そこで感じた認識の違い、不自由感や疎外感がこの考察のベースになっている。

また長くなってしまったので一度この辺で切り上げる。

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