「最後の闘魂」
燃える闘魂・アントニオ猪木にも最後の時が近づいて来ている。
そうは思いたくないが、ファンとして覚悟はしている。
ヒーローに元気になってもらいたいから、思いを綴ってみたい。
子供の頃のヒーローが、年老いて痩せこけてしまった姿を見るのは悲しい。それが大きくて強くてカッコいいプロレスラーとなると尚更だ。
はじめから夢中になった訳ではない。
なにせ対戦相手がタイガー・ジェット・シンなものだから、子供には退屈すぎて良さが理解出来なかった。ほぼ反則とクロー攻撃(胃袋わしづかみ)。アリとの世紀の一戦も、事の重大さがわからず「世紀の凡戦だな全く」と本人が酷く傷つく言葉を小学校低学年だったが、掲示板があったら書き込んでいただろう。実際、A猪木が、かつて都知事選に名乗りを上げたのは、この【一世一代の真剣勝負】を当時NHKのキャスターだった磯村何某が茶番だと批判したことに腹を立てていて「あの野郎は許せねぇ」という怨念があったのも動機のひとつだ(A猪木本人談)。
藤波辰巳がハンサム(平成生まれには分かるまい)で、新日にジュニアヘビーの攻防をダイナマイト・キッドらと繰り広げた。猪木は、まったく無名だったスタン・ハンセンとの激闘。異種格闘技戦の続きもの。ボブ・バックランド、ローラン・ボックといった、子供心に多分すごく強いんだろうという地味な相手と地味目な戦いを展開した。プロレスの神様・カール・ゴッチもエプロンサイドに控えてたりするともう興奮のるつぼである。新日本プロレス大ブーム間近である。
乱立するベルトを統一し、真の王者を決めようではないか!という理想に向かって動き出す。夢があった。ワクワクした。
おそらくプロレス史上NO.1のスーパーヒーロー、タイガーマスクが登場した。(『世界のプロレス大全』にまるまる1章は必要なレスラーである)
我らが前田明もヨーロッパから帰国した。
さらに、全日からブッチャーがやってきた。
あれ、おかしいぞ。弱い。弱すぎる。
つづく
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