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化学繊維衣服の危険性その弐
化学繊維そのものが直接的に発がん性を持つという証拠は現在のところ明確ではありませんが、いくつかの要因が関連している可能性があります。化学繊維に関連する発がんリスクについて詳しく説明します。
化学繊維と発がんリスク
化学処理および添加物
問題点: 化学繊維は製造過程で多くの化学物質を使用します。これには、染料、仕上げ剤、防火剤、防水剤などが含まれます。
リスク: これらの化学物質の中には発がん性が疑われるものもあり、長期間にわたる接触や吸入が問題となることがあります。
例:
アゾ染料: 一部のアゾ染料は分解すると発がん性のあるアニリン類を生成することが知られています。(染色工程では、一部の染料が皮膚の表面や肝臓で分解される際に、発がん性物質を生成するとして、既に厚生労働省では規制を始めています。)
ホルムアルデヒド: 衣類の防皺加工などに使用されることがありますが、発がん性があるとされています。(仕上げ工程では、製品の見栄えを良くしたり、手触りや風合いを出したりするためにホルマリン樹脂加工がおこなわれます。気化すれば、「ホルムアルデヒド」です。)
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微細繊維およびナノ粒子
問題点: 洗濯や摩擦により、化学繊維から微細繊維(マイクロファイバー)が放出されることがあります。これらは環境中に蓄積し、食物連鎖を通じて人体に取り込まれる可能性があります。
リスク: マイクロファイバーやナノ粒子が体内に蓄積した場合の長期的な健康影響についてはまだ十分に解明されていませんが、潜在的なリスクが指摘されています。
皮膚吸収と経皮毒性
問題点: 化学繊維に含まれる化学物質が皮膚を通じて吸収される可能性があります。
リスク: 一部の化学物質は皮膚吸収性が高く、長期間にわたる接触が発がんリスクを増加させる可能性があります。
現在の知見と予防策
研究の現状: 現在のところ、日常的な使用において化学繊維の服そのものが直接的に発がん性を持つという明確な証拠は少ないですが、製造や処理に使用される化学物質の影響が懸念されています。
予防策:
高品質な製品の選択: 信頼性の高いメーカーやブランドの製品を選ぶことで、有害化学物質の使用を避けることができます。
洗濯の工夫: 新しい服は使用前に洗濯し、化学物質の残留を減少させることが推奨されます。
天然素材との併用: 化学繊維と天然素材の服をバランス良く使用することで、リスクを分散させることができます。
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まとめ
化学繊維の服自体が発がん性を直接持つとは断言できないものの、製造過程で使用される化学物質やその残留物に関連するリスクは存在します。日常生活においては、信頼性の高い製品を選び、新しい服を使用する前に洗濯するなどの対策を取ることで、リスクを軽減することができます。また、環境中のマイクロファイバーの問題にも注意を払い、持続可能なファッションの選択を心がけることが重要です。