周南市文化会館、年の初めのバックステージツアー
周南市文化会館では年に一度、新年のコンサートに合わせ「バックステージツアー」が開催されます。
今年は「カーテンアップコンサート」と同時開催されるとのことで、普段見ることのできない裏側を見に行ってきました。
周南市出身の若手演奏家が集う「カーテンアップコンサート」
カーテンアップコンサートとは、周南市出身の若手音楽家による音楽シーンの幕開けを告げるコンサートです。
今年はクラリネットの野村友輝さん、谷口里菜さん、ファゴットの河野友紀さん、ピアノの守田諭代さん、棟近綾奈さんの五人による演奏を聴かせていただきました。
客席にはご家族と思われる方もおられ、「おめでとうございます」という声が聞こえます。
和やかな雰囲気の中、演奏が始まりました。
出演者による軽快なトークを挟みながら、プログラムは進みます。
演奏家の皆様からは、「幼い頃から憧れでした」「初めて出会ったホールでした」という声。
ここ周南市文化会館は、昭和57年(1982年)に開館した客席1,647席の大ホールを有する多目的ホールです。
学校行事でも使われ、市民にとっては馴染みのホール。
細やかな細工が施された飴色の壁や豊かで柔らかな音にひかれるファンもいる、プロの演奏家やアーティストも訪れる本格的なホールです。
演奏後のバックステージツアーへ
カーテンアップコンサートの終演後に行われるのが、普段は見られないステージの裏側を見学できるバックステージツアーです。
このツアーのチャンスは年に1度だけ!
事前申し込みは必要ですが、参加費無料で30分ほどのツアーでした。
緞帳の由来
コンサート終演後、余韻に浸ってツアーの始まりを待っていると、緞帳(どんちょう)が下りてきました。
こちらは、開館当時から使われている西陣つづれ錦織の緞帳です。
徳山湾の風景を背景に、粭島の貴船神社夏祭りの「海を渡る神輿」が描かれています。
オーケストラピット
次に案内されたのが演奏席の「オーケストラピット」。
舞台前の客席の一部が可動式になっており、バレエやオペラの上演時は客席より数メートル下がります。
オーケストラピットが動いたので背後に視線を向けると、いつの間にか客席の方が高い位置になっています。
ツアーの参加者も動く座席に「おお!」と歓声を上げました。
今度は舞台と同じに高さへ!
舞台上の人数が多くなる催事では、オーケストラピットの位置を上げて舞台の面積を広げるのです。
奈落の底
次は舞台上のラインが引かれた場所に一列に並びました。
このライン上の「迫(せり)」と呼ばれる場所が、上下に動きます。
そうここが「奈落(ならく)」の上です。
迫(せり)が舞台より高い位置に上がると舞台に段差ができます。
下に降りると、舞台の下「奈落の底」へ!
いったん降りて、舞台下を一周しました。
奈落の底には、テーブルや椅子、舞台で使う小道具が所狭しと並べられています。
初めて降りる「奈落の底」の景色に、ツアー参加者も興味津々です。
懐かしの黒電話が並んでいる姿に、「あれは小道具?」と質問が飛んでいました。
私はこれまで演劇などで使う小道具は、外部から持ち込まれると思っていました。
このように、みんなで使えるように用意されているのですね!
一番人気は舞台演出の照明
最後は、客席後ろの調光室です。
レバーを動かし舞台の照明の色が変化する様子に、ツアー客のボルテージが一気に上がります。
キラキラ輝く舞台を自分の手元で操作できるのですから、興奮しますよね!
公演中の照明の操作は、お一人でされているそうです。
光の三原色を使い、あらゆる色を作り出しています。
一瞬で変化する色の世界、バックステージツアーの一番人気のポイントでした。
憧れの舞台はふるさとの舞台
カーテンアップコンサートの出演者が口々に語っていたのは、ホールへの愛情です。
今回のカーテンアップコンサートでは、2台のピアノで「カルメン・ファンタジー」を演奏されました。
その前座でのトークです。
「2台ピアノでの演奏は、どこでもできる訳ではありません」
「同じ音質のピアノが2台揃っていないと、演奏できないのです」
この言葉の意味に、ピンときました。
このホールには、世界最高峰のピアノメーカーのスタインウェイ1台と、ヤマハの最高傑作CFの2台のピアノがあります。
これこそが、演奏家を育んできたホールの底力。
演奏家の皆さんは幼い頃から、このホールの柔らかな音で感性を育ててきたのでしょう。
周南市には、ステキな音を奏でるホールがあります!
皆さんも機会があればぜひコンサートやライブに足を運び、あなたの目と耳でホールを楽しんでください。