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消えゆくモノ


小さい頃、家にあったLP(レコード)
父が音楽鑑賞が好きで、クラシック音楽をLPで聴いていました。今思えば、レコード針とLPが擦れる音(パリパリ…)が脳裏に残っていて
温かい音色だったと記憶します。
時代の変化は、いつかやってくるもので今では死語に近い物が沢山あります。

 タイプライター、ポケベル、給料の現金渡しなど、ほぼ消え去ったモノや習慣はあまたありますが、
いずれも、根幹にあるのは物事のコトの部分です。人が行ういわゆる「行為」なので何かに置き換わっているだけです。例えば、
ポケベルは通信で「伝える」という行為ですが、古い技術で言えば「狼煙(のろし)」という方法がありました。煙で山の向こう
から合図を送っていたものです。今では5G、6G、衛星などで通信は宇宙規模の技術になっています。
◯時代の変化と共に、新しいモノを認識して取り入れていく行為は、少なからず抵抗感や移りゆく様に不安を感じ、何かが変わるときは必ず反対、抵抗する者がい
るものです。「温かみがなくなる」「文化や伝統はどうするんだ」など、だいたいこんな声が聞こえて来ますが、人は便利なもの
に慣れてしまえば中々後戻りはできないようです。今、洗濯機を使っている人が、洗濯は手でしなければ温かくない、人間味にか
けるなどと果たして言うでしょうか。
 さりとて、あらゆるプリミティブな行為がデジタルに置き換わる寂しさのようなものは確かにあります。デジタル技術により時間と距離の問題
すら解決しそうな昨今、人と人の相対する機会が益々失われていきますが、そんな時代にあっても子供の環境は生身での関わりを体験し
学べる数少ない場でありたいものです。
 デジタル後進国の日本もようやくデジタル庁を立ち上げましたが、IT庁でなく、デジタルと銘打ったのもITはモノとモノ、デジ
タルは人と人を結びつける技術であるからだと思います。だからこそ、作る技術も使う側のコミュニティも人間関係をしっかり体
験した者たちによらなければ良い社会にはなり得ません。幼少期に体験したお友達とのあそび、やりとりは大人になった時の人間
関係の礎になります。子どもの頃にまずは何を学び身につけるべきか、そのヒントがデジタル社会を前にして見えてきた気がしま
す。
~ モノは消えゆくもコトは消えず。~

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