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初任給が一律じゃないのはプラスかマイナスか


みなさんは、ご自身の初任給っていくらだったか覚えてますか?

私は確か21.5万円だったと思います。当時にしては特段悪い金額ではなかったと思います(2020年入社社員をはるかに下回りますが…)

職種の違い(総合職、その他など)、大学院卒か否かで多少の金額の差はありましたが、同期社員の給与は当たり前に一律でした。

それが今変わってきているとのことです。


他の方の記事を拝見して、自分なりに思うところがあったので少し書いてみることにしました。


学生のモチベーションと人事部が求められること


まず、もとの記事にある「初任給のあり方が変わると、企業の「横並び」的な処遇制度はさらに変わっていくと思うか?」という点について

これに対しては、私は横並びが変わるかというとそうでもないと思います。一律化を廃止したと言っても、”横を見がちな社会”では同業他社の動向をお互いに探りながら、業界首位企業がまず動きを取る。そしてそれを追って同業他社が業界内基準として合わせてこようとする。そう考えました。

画一的な動きであるようで、そうでもないのではない。


ソニーの記事の中に「20年度にも、入社直後の4月から等級を付与することを検討する。インターンなどで事前に能力などを見極める。」とのコメントがありますが、新入社員と会社にとってあまり幸せにはならないと思う。

「人工知能(AI)などの先端領域で高い能力を持つ人材」に対する初任給優遇は、シリコンバレー含めエンジニアの確保のために大手テック企業や日本ならファーストリテイリングなど多くの会社が2〜3000万円など多額の給与を提示しているので、それはそうだろうなと思います。


ただ、その他全範囲の人材(今でいえば上記デジタル人材など、時代背景的にも需要が非常に高い能力を持つ人材を除いた社員たち)にも共通させるとなると、学生はマインドコントロールが難しくなると考えます。

私が働いてきた経験、一緒に働いてきた後輩の様子、マネージャー達の話などを引っくるめて考えてみると、

・社員によって能力が開花するタイミングは異なるだろう(入社前か後か)
・初任給を決める時点での能力がすぐに現場で活かされるかは不明瞭。もし活かされていても、継続的にハイパフォーマーでいられるとは限らない(そこに上乗せした初任給を払うのは会社にとって意味があるか)
・ベースの初任給しか与えない社員が、入社後に高いパフォーマンスを収める可能性がある

もちろんインターンシップや面接を繰り返す中で際立った能力の高さを感じる学生はいると思います(自分もそう感じ経験はあります)。


ただし、ここで一番怖いのは本当は高い能力を持つ社員が、評価という名の初任給を「ベースしかもらえない」と知った時、マインドはかなり低下するのではないかということです。

もっと頑張って自分も高い給与をもらおう!と、奮闘する新入社員も一定数いると思いますが、実際には「まだ実務をやり始めていないのに、自分の何を知っているわけ?」と感じる新入社員もいるのではないでしょうか。

その評価基準で具体的にどのようなものなのか?正しく評価されるだけのアピール機会は十分に設けられていたのか?

だいぶややこしくなる気もします。。


つまり入社時点で決めておくためには、インターンシップも含めてどのような点から評価をつけるかを十分に練らなくてはいけないと思います。

「インターンなどで事前に能力などを見極める」と言っても、ではそのインターンではどのようなケーススタディ?または実務?をやれば正しく評価できるのか。


ここで理解しておかなくてはいけないのは、”その業務”における能力が高いかどうかは=その人の能力の高さではないことだと考えます。

入社後の成果によって給与や賞与を変えるのは、社員の行動や成果など一定のデータや根拠を集めた上だからこそ成り立っているのだ思いますが、新入社員の場合はそれほどまでに十分な観察期間が確保できるかというと極めて難しいと思います。

営業が合う人もいれば、企画であったり他の業務で120%の能力を発揮できる人もいる。”その業務”への適合性が低い新入社員にとっては、一定の業務に対する自分の評価だけで、「自分は能力が低い人間なのだろうか」、「正当に評価してもらえなかった」と思わせてしまう可能性はないでしょうか。活躍できる場が他にあったとしても。

では、多角的に評価できるようにしようと言っても、入社前の学生を拘束してあれこれ試すのは現実的ではないでしょう。


現状を見て、将来上げてくれそうなパフォーマンスへの期待を評価として表すのは、ある一定の学生群にとってはやりがいを与え、会社にとっても生産性を高め機会になりえると思います。

また、一定のスキルに限定した上で(デジタル人材など)一律化を廃止することも、納得がいく学生群は多いだろう。


ただし、この能力に応じた初任給を一般ルール化まで持っていくのは、いくら日本が年功序列、実力主義になりきれていないと言われても、ステップアップしすぎな気はします。

もし採択をするのであれば不平等さが露呈しないように透明性が高く具体的な評価基準の設定評価全般への事前説明が不可欠

そのように私は考えます。

人事サイドがある程度負担を背負うことが伴わなくていけないのかなと。


読んでいただき、ありがとうございます。

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