呼び方の違和感
「◯◯先生!」
教職でもなく、単なる薬剤師である私はそんなふうに呼ばれることがある。
別に何も偉く無いのに。
例えば、学校や幼稚園の先生なら分かるのだ。
そうとしか、呼びようがない。
全然、「先生」と呼んでも違和感がないし、それが合っていると思う。呼び方が、いかにも偉そうというわけでもない。
でも、同じ「先生」でもいろんな意味があるんだろうと思う。
政治家を「先生」と呼んだりもする。
そう呼んでおいたら間違い無いから。
持ち上げておいたら差し障りないから。
そういう場合もある(全てそうとは言わないが)。
もしかしたら、薬剤師も「先生」なんて呼ばれる時には、そんなふうに思われているのかもしれない。
呼ぶ人といえば、製薬メーカー、卸、一般事務の方などなど...
間違っても、患者さんから「先生」なんて呼ばれたことはないからだ。
利害関係のある人が、そう呼ぼうとするのだと思う。
...そう呼びたいならまぁもういいか、と放っておいているけれど、本当はとても嫌なのだ。
◆
「田中様、大変お待たせいたしましたー。」
処方箋を持って調剤を待って見える患者さんに、我々はこんな感じで呼ぶことが多々ある。
でも、待てよ。
おかしくないか?
患者さんは神様なのか?
例えばデパートで、高額な商品を買ってくれる上客ならば、
「田中様、お買い上げありがとうございます。」
などと店員が発言することはおかしくないと思う。
明らかに、そのデパートにとっては大切な大切なお客様であるわけなのだから。
でも、調剤薬局において、患者さんが処方箋を持って来てくださり、調剤をするということ、そして患者さんの様子を伺い、正しく薬が服用できているのかを確認することは、そんなに上下関係のあることなのだろうか?
あくまで我々薬剤師は、患者さんのより良い治療を助けるパートナーであり、アドバイザーである。
お客様は神様、ではないはず。
だからこそ、本当は、
「田中さん」
「あら、山田さん!」
みたいな立ち位置と関係性であるべきなのでないだろうか。
こういう呼び方が余計に、患者さんの身体を患者さん自身が治すのだ!主役はあなたなのだ!という意識を遠ざけて他力本願にさせてしまっているのかもしれない。と思った。
病気の治療において、誰が上とか下とか無いはずだ。
患者さんの身体を、患者さんご自身と、沢山の医療スタッフが関わり、一つの目的に向かって一致団結していく。
いわゆる"仲間"のはずだ。
やたらへりくだったり、持ち上げたり、そんな必要性はない。
変な力を抜いて、本来あるべき状態や姿で、共に医療に関わり治療に携わって行きたい。
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