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薬剤師の存在意義を考える
ドラマを見ていても、医師や看護師が登場するものはあるが、
薬剤師が出てくるものは見たことがない。
ストーリーにしづらいという面もあるのかもしれないが、
それだけ世間の人は薬剤師に興味がないのではないかと思ってしまう。
病院の中で薬を渡すというケースは減り、
入院したときや、どうしてもそこの院内でしか出せない事情がある時のみ。
大概は調剤薬局で薬をもらうときに薬剤師と会うケースがほとんどだ。
だから、世間の人からしたら、
薬剤師は薬を渡す人
というくらいのイメージしかないのではないか。
病院でも散々待たされて、
なんでわざわざ別の建物の調剤薬局まで歩いて行かねばならないのか。
またその調剤薬局でも待たされて、苦痛。
そう思うのが大半であろう。
ちなみに主人にとある調剤薬局の薬剤師の印象について聞いてみたら、
ただ薬もらったことしか覚えてない
との答え。
同じ薬剤師として、なんだか情けないような、寂しいような気持ちになった。
薬剤師は、
◾︎医師が出した薬の用量や用法が適切であるか
◾︎他の医療機関でもらった薬や自分で買った市販薬(OTC薬)、サプリメントなどと相互作用や重複、過量投与がないか
◾︎服用後その薬の望む効果が出ているか、また副作用の発現はないか(医師もその点は毎回の診察で確認しているが、薬学的な視点から判断しているのが薬剤師である)
◾︎患者さんが間違いなく薬を服用できているか?自己流にアレンジされていないか?飲めていないならどのような対策を講じたらよいか
を確認し、医師や看護師とはまた違った角度から患者さんを診ることで、より良い治療を目指す役割がある。
ただ薬を渡すだけの仕事なら、機械でもできる。
でも世間ではそんなふうにしか認識されてないということではないか。
薬剤師としても、どんどん病院から処方箋を持って来局される患者さんをなるべく待たさないようにと必死で、
早くして!と言われて
最低限の確認くらいしか会話できる余裕がないのも事実であり、
それが「ただの薬を渡すだけの人」になってしまっている一因かもしれない。
一方で、患者さんの中には医師に言えなかったこと、聞けなかったことも、薬剤師にならちょっと聞いてみようかな?と思われる方もいて、
「実は...」
と本音や服薬の実際を話してくれることもある。
私はここが薬剤師の存在意義となりうるのではないかと思っている。
治療するため服用する薬を渡す、という段階は、患者さんが自身で治療をするところに一番近い位置だ。
そういう意味では薬剤師は患者さんに一番近い存在であるべきだ。
治療に関して不安なことや、薬を飲むことに対する考えや気持ち、疑問に思っていることをしっかり患者さん自身が話すことで、
次の「服薬」というステップにすんなりと入っていけると思うのだ。
そのあたりのフォローや対話をきちんとできる環境にない、そのような環境を整えられていない薬剤師側に問題があるが、
患者さんとしても、もっとたくさん薬剤師と話して、薬剤師を"使って"、自身の治療を上向きに変えてみようと思われてはどうか。
つまりは薬剤師を治療の身近なパートナーとして考えるのはどうか。
長いこと待たされてウンザリかもしれないが。(→そこはまず解決すべき問題の一つであろう。そこが解決してからでないと、いくらなんでもさらに薬剤師と話そうとは思わないだろう。)
それか、最低限の確認と薬を早く貰えたらそれで良いという方と、
薬について、治療についてさらにきちんと話したいという方と、
カウンターを分けるというのも過渡的な対策として考えられるかもしれない。
また病院と同じように、薬局でも予約時間をつくり、話す時間を確保する、というのも一案だ。(→漢方相談薬局ではこのようにきちんと個々の患者さんの時間を確保し、初回は一時間、二回目以降は20〜30分取っているところが多い)
薬剤師側としても、薬局の経営状態からゆっくりと患者さんと話すことを許されないこともあり、
早く患者さんを「捌く」ことが求められる場合もあり、歯がゆく感じている。
3つ前のnoteにも書いたが、
治療には、人と直接会って診ること、話すこと、想いを語ることも含まれると思うし、
また患者さんは「語りたい」と心の奥では思っていることが多いと私は感じている。
ただそれを状況が許さないということだと思う。
話が飛躍して恐縮だが、単純に、値段の安いジェネリック医薬品の使用量を増やすことだけでは国民医療費を減らすことは難しいと思う。
医療費削減の一つの策としては薬剤師を使い、特に高齢者の方に多い多剤併用においては自分に本当に必要な治療や薬を精査し、薬の服用自体を必要最低限減らす、
またそれ以外の方でも、しっかり患者さん自身の想いや考えを話し、治療を主体的に捉えてもらうことで、
ただ漫然と出されるだけの薬を気も向かないのに飲み続けることを防げると思われる。
薬剤師のドラマや作品が見られるのは相当先になるか、それとももう取り上げても貰えないか、わからないが、
薬剤師としても患者さんにその存在意義を感じてもらえるよう日々努力すべきであると痛感している。
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