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プロダクト開発も証券も未経験なまま2年半突っ走って身に染みた「一人目」の心得

こんにちは、ブルーモ証券の吉岡です。
ブルーモの創業メンバーとして関わってから2年半くらい経ち、事業的にもシードの資金調達、金融商品取引業者の登録、サービスのリリース、NISAの開始など様々な変化があったので、個人としても振り返りも兼ねて思ってることを書いてみました。

記事を通してブルーモのことを知ってもらったり、アーリーフェーズのスタートアップ転職を考えている方にとって少しでも役に立てると嬉しいかなと思っています。


自己紹介

まずはじめに簡単に私のことを。(創業に至るまでの話は昔のnoteにも書いているのでぜひみてみてください!)

元々は大学院を出て3年間マッキンゼーでコンサルをやっていて、半分くらいは金融機関をクライアントに新規事業だったり中期の戦略立案等に携わっていました。
振り返ってみると金融機関の中でも証券会社のプロジェクトは担当したこともなく、プロジェクトは基本的に名だたる大企業の経営陣との議論を通じて進められるプロジェクトだったので、改めてブルーモのような証券会社のプロダクト組織に飛び込んだのは本当に真新しい環境に飛び込んだなと我ながら思っています。
そんな私がこれまで2年半やってきたことと、振り返ってみての学びを早速話して行きます。

立ち上げ&プロダクト組織は楽しい

まず、これまでを振り返ると、いわゆるスタートアップのBizサイドのメンバーは代表の中村と吉岡の2人で、基本的にはざっくり中村が「攻め」、吉岡が「守り」という形で進めてきました。
守りとしては1. ライセンスを取るまで、2. リリースまで、3. 最近までの時間軸に分けてメインで取り組んでいたことも変わってきました。

「ライセンスを取るまで」: 証券会社の仕組みや体制についてインプットしながらライセンスの取得と体制構築をメイン進めてきました

  • ライセンス取得のためのやりとり: サービスを始めるために必要なライセンス(第一種金融商品取引業者)の登録を受けるために、金融庁や協会とひたすらやり取りをして社内の体制を整えていきました

  • システムの要件定義: 証券会社の法令要件や仕組みを調べながら、アプリやバックエンド側で必要な要件を定義して、開発チームとのやりとりをしていました

  • 証券・コーポレート周りの業務体制の構築: 証券会社のオペレーションや経理、コンプライアンス、そのほかコーポレート業務の体制を初期的に作りました

「リリースまで」: 大幅にビハインドしていた開発の中にガッツリ入り込み、数少ない開発者をできるだけ実装面に注力してもらうことでなんとかしてリリースまでのスピードを速める努力をしていました

  • 開発PM: エンジニアの数も少なく、「やろうとしていたことを全てやろうとしたらサービスをリリースできない」という状態だったので、バックエンドの下村を中心に連携をとり、現実的な時間軸で実装ができる仕様への調整や細かい仕様確認にガッツリ入りました

  • テスト体制の構築: 証券会社としてシステムの障害や事故が起きるのは大きな信頼に関わるので、初期リリースまでに必要なテスト→バグ修正体制の立ち上げと、リリース後のテスト運用の整理を行いました

「最近」:「プロダクトとして目先の実現したいことをいかに速く実現していくか」、「中長期的な目線として生産性を高める組織をどう作っていくか」の両軸を考えて取り組んでるところです

  • 開発のディレクション: プロダクトの機能開発等でやりたいことを踏まえて大きな機能開発をプロジェクト化してPMしたり、スプリント単位で開発者のチケット管理等をやっています

  • リリース後のオペレーション等の対応・振り出し: プロダクトの機能開発等の裏では証券的な規制対応やオペレーションが結構重要になるので、特にオペレーションのフローを一部回したりしながら見直しをしたり、取扱い銘柄の追加等サービスに関わる施策に取り組んだりしています

  • 開発・オペレーション組織・プロセスの構築: プロダクト・事業的にやりたいことが少しずつ進歩していく中で「今の開発組織やプロセスだと実装スピードが上がらない」、「手戻りが起きてしまうといった課題」に対して開発チームと相談しながら組織体制やプロセスアップデートしています

  • 採用や組織構築: 事業的な成長において一番重要な採用・組織構築周りをリードしています

toC向けのプロダクト組織ということもあって開発周りにかなり注力してきたなという感覚ではあるのですが、今振り返ってみると、総じて楽しかったと思っています。
理由は前のnoteと大きくは変わらないところはありますが、あえてこの2年間動いてみて大きかったこととしては3つの観点が重要だったなと考えています。

過去のやり方に縛られずに課題を解き続けられる
上に書いてあることは多くの人たちにとっては「なんだ、もうやってるじゃん」という類のものかと思いますが、会社がまだ若い中では物事を0から作り始めたり、組織拡大やプロダクトリリースしたりといったことをきっかけに大きく作り直していくことが必要になりました。
当然組織の中には前例がないですし、仮に今まで他のメンバーが経験をしていたようなことでも事業や組織が違うと「今までやってきたことをそのままやる」わけにもいかないことが多くありました。
そうした中で、さまざまな局面で自分で裁量を持って世の中的なベストプラクティスを聞きつつ、今の組織を見ながら適切な解を見つけていく過程はとても楽しいです。個人的にはコンサル時代からこうした課題解決が一番好きでしたし、根底として好きなことをやれている感覚があります。

自分で動くと、チームとしてできることが増えていく感覚が得られる
新しいことをどんどん始めたり、短いサイクルで見直したりすると、1週間、1日といった短いスパンで結果が出てきます
特に、組織の中で課題を自分から特定して、裁量を持って「こうやったらうまくいくんじゃないか」とか仮説を持って取り組むからこそ、ちょっとした変化に敏感になり「これはうまく回り始めたな」とか「もうちょっと改善できそうだな」といった学びを素早く得ることができるなと感じています。
結果として自分やチームとしてできることが増えたり、何よりそれによってチームメンバーが活き活きと自発的に色々取り組んでくれるのを見れたりするのが日々の活力になっているなと感じます。

プロダクトに対するユーザーからのFBが直接入ってくる
チームの成長も大事ですが、ユーザーからプロダクトへのFBが直接入ってくるのがコンサルの時と比べて大きな差分かなと思っています。
リリース後数ヶ月はユーザーからの問い合わせ対応も自分の方でガッツリやっていましたし、今でもユーザーの問い合わせやSNS上でのFBに目を通しているのですが、自分たちが作ったプロダクトを実際に使ってもらえてる実感が持てます

もちろん人によって何を楽しいと思えるかは異なるとは思いますが、こうした側面はブルーモに限らずアーリーフェーズのプロダクト組織ならではの醍醐味なんだろうなと感じています。

6月に創業2周年パーティー: 社員やパートタイムのメンバー投資家など関わる方が増えてきました

経験がないことは当たり前。一つ一つ向き合ってやっていけば結果はついてくる

こうした取り組みについて話していると、「証券会社で働いたことないのによくやるね」とか「開発のことどうやってキャッチアップしてるの?」とか言われることが最近増えてきました。
冒頭にも書いた通り私自身は事業やプロダクト開発の経験がないままブルーモにジョインしたので、このように言われることは個人的にもすごく理解できます。

自分でも「0から証券会社なんて作れるのか?」「開発にこれだけ入り込んでシステムが障害でも起こしたらどうしよう」とか色々と不安に思うことはありましたが、その中でもここまで来れたのは「経験なんてなくて当たり前」というある種の開き直りがあったからかなと思っています。
この点は自分がコンサルをやっていた時から根本的には変わっていないところで、プロジェクトの度に会社や事業については当然クライアントの方が圧倒的に詳しい中でクライアントの抱える重要な課題の解決に注力し、あの手この手でキャッチアップしていくのが自然な働き方だったのが大きかったと今となっては思います。

ブルーモでもその辺は全く変わらなくて、分からないことは社内外のあらゆる人を頼って聞きながらやっていくしかないし、仮にそれが分からなかったとしても最後結果を出すにはわかるやり方でやるしかない、といった感覚です。
ここら辺は経験がないこと自体はもはや問題ではなく、一つ一つの成果を出すことにどれだけ注力できるかだけの話だと思っています。
これは私以外のメンバーも同じで、例えばエンジニアも「証券の裏の仕組みなんて分からない」「テストは外の人たちがやってたから自分たちは分からない」状態から色々学びながらプロダクトを作っていってますし、証券のオペレーションのメンバーも「業務はやってたけど自分で作ったことなんかない」という状態からジョインして会社のオペレーションの構築をリードしてくれました。

そもそもスタートアップ自体が今までにない新しいことを求めてくる生き物ですし、自分の経験を切り売りするよりも、経験を活かしながら新しいことに挑戦していきたい!という人であればスタートアップで活躍していけるんだろうなと感じています。

とはいえ「行動」「自己肯定」「謙虚」が大事

一方で、これまでの取り組みは全てうまくできていたわけはなく、色々と失敗もたくさんありました。一つ一つを振り返ってみると、もっと早くやっておけば良かった、もっと先の起こりそうなことを見越した仕組みを作っておけばよかったといったことはたくさんありました。
経験がないからといって通り開き直ってなんでも進めれば良いというわけではなく、スタートアップ、特にアーリーフェーズに関わるからには「行動」「自己肯定」「謙虚」を大事にすべきだなと思っています。

「行動」: 動けば動くほど結果につながる
よく言われることですがThinker よりもDoerであるべきです。上に書いた通り自分だけでなく多くの人が経験したことがないものを進めていくときに、とりあえず課題感を社内で共有するだけだとイマイチどうしていいか分からずになあなあになってしまう状態が生まれてしまいます。
それに対して1日じっくり検討してみるとか、1週間様子見るとかよりもまずは実際に行動した方が学びが得られますし、小さい組織であればそれを妨げる人もいないのですぐに一歩前進できます。
もう一歩進むと、自分だけでなく、他のチームメンバーに対してもどれだけ自発的に行動を促せるかを突き詰めると、個人の頑張りを超えた掛け算的な成長ができると思っています。

「自己肯定」:失敗は起きる。けど起きたことに対してへこむ必要はない
「行動」をしていくとうまくいくこともありますが、なかなかうまくいかないことが出てきたり、明らかな失敗だなと思えるようなことが出てきます。私の場合テスト体制を自分で巻き取って構築しておきながら大きめの不具合をガッツリ見逃してしまったりして多方面に迷惑をかけたこともありました。
うまくいかないことは多々出てくるので、一つ一つの失敗に対して気分を落としていると心が保てません。むしろ、「自分が行動してなかったらそもそもこうなってなかったんだからな!」「起きてしまったことは仕方がない」くらいの強い気持ちでいるのが大事かなと思います。

「謙虚」: 経験がある人・客観的に見てくれる人の言葉は宝物
とはいえ、「行動」だけしていくと視野が狭くなっていくし、「自己肯定感」だけ高めてしまってもどんどん高慢になっていってしまうものです。
当たり前ですがちゃんと人の話を聞きながらやっていくことが前提として何よりも重要です(当たり前なんだけど意外とできてない)。
似たような経験がある人、色々と行動をしていく中で一歩引いた目から見てる人のアドバイスを積極的に取り入れられるような仕組みを自分の中でちゃんと持っておくことが成功への近道だと思っています。
自分が大体のことできるなと少し強気になってる時こそ、一旦立ち止まって他の人に意見を求めるくらいが良いと思っています。

ブルーモの中でも「一人目」の活躍を後押ししていきたい

以上、これまでを振り返って色々と書いてきましたが、ブルーモはまだまだアーリーフェーズの会社で、ここからユーザーに合わせてプロダクトをより速いサイクルで改善して行ったり、グロース施策にも踏み込んで行ったりとやりたいことは盛りだくさんです。

組織も大きくなる中では色んなところで他の人がやったことがない「一人目」としての挑戦をしていくべき部分が出てくると思っています。
組織のミッションやバリューさえ外していなければこうした「一人目」としての挑戦をどんどん後押ししていくことが肝要だと思っているので、今いるメンバーの新しい挑戦はどんどん後押ししていきたいと思っていますし、これから色んなところで「一人目〇〇」のポジションのメンバーを迎え入れて、ひいては今のメンバーが「一人目」を開拓できるようにしてより強い組織にしていきたいと考えています。

証券会社やアーリーフェーズのスタートアップの経験がないとなかなか抵抗はあるかもしれませんが、逆に経験したことがないことを一緒に実現していけるような仲間を募集しているので、少しでも興味がある方はお声がけいただけると嬉しいです。