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私と敵の闘い

私は、一年半ほど前から敵と闘っている。
その敵は、突然現れる。
ある時は家族でご飯を食べているとき、ある時は朝起きたとき、ある時は将来について考えているとき。
そういった日常生活のなんでもないような出来事が、敵が現れるトリガーとなる。

二年ほど前に、今よりもまだ弱い姿で私の前に現れたその敵は、まず私の体を攻撃した。体への攻撃には、薬で対処した。しかし、体の攻撃を何とか食い止められたと思っても、敵は姿を変え、今度は私の心を攻撃した。心への攻撃は対処が難しく、またしぶとく辛いものだった。
ターゲットを私の心に変えた敵は、どんどんと強くなっていった。
そして敵は私の心に棲みつき、私自身を変えてしまった。私は、自分と敵を、乖離できなくなった。
そして私と一心同体になった敵は、私の体を借りて、お父さん、お母さん、妹に攻撃するようになった。

敵の一番嫌いなところ。それは、家族に悲しい思いをさせることだ。
敵はいつも、お父さんの乱暴な言葉を引き出し、お母さんとお姉ちゃんを泣かせる。妹もずっとずっと我慢しているせいで、最近体調が悪いみたい。

早くいなくならないかなあ。早く敵に勝ちたい。
そう思うけれど、いざ敵が現れると、怖くて。立ち向かえない。

どこからが敵のせいなんだろう。
どこまでが私の姿なんだろう。

敵が現れる前の私は、優しく、正義感が強く、面白いみんなの愛されキャラだったと思う。
敵が現れてからというもの、そんな私ではなくなってしまった。

そして敵はそんな私に、「お前なんかいなくなってしまえ」と言う。
確かに、家族の傷つく姿はもう見たくない。
いっそのこと私ごといなくなってしまえば、一緒に敵もいなくなる。

・・・でも、その勇気はないかな。
「生きたい」じゃなくて「死ねない」
そんな感じ。

周りの人に、「今は辛いかもしれないけど、治った時には今の経験がきっと、あなたの強みになるよ」と言われることがある。頭ではわかっているつもり。
だけど、私の苦しさを知らない人に言われたって正直説得力はないし、”治ったら”なんて今考えられるわけがないじゃない。

さて、明日は久しぶりに家族でお姉ちゃんに会いに行く。
最近お姉ちゃんが帰省しなくなったのは知ってる。私のせいかな。
会うと困らせちゃうかな、困らせたくない。と思いながらも、会いたい。が勝つ。
大丈夫。私も強くなったはず。敵に勝てるはず。
期待に胸を膨らませながらリュックに荷物を積める。

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