『ぼくになにができるだろう?』
私は絵本を読むとき、どちらかというとストーリーを楽しむというより、その作品が持つ空気感だったり、作者と自分とのなんというか、、「間合い」のようなものを楽しむのが好きだ。
この絵本はとてもシンプルで、色合いも優しくてなんかオシャレだ。絵がシンプルゆえ、読者に妄想する隙を与えてくれる。
『ぼくになにができるだろう?』
人は一日の中で何度も選択しながら生きている。
多かれ少なかれ毎日決断しながら生きている。
でも、あまり変化のない毎日を送っていると、日々当たり前すぎて「なにができるだろう」と考えることは少なくなってくる。
あるいは、目の前の雑用に忙殺され、ただ淡々と時間を費やしているのかもしれない。
正直にいうと、私もこの本を読んでいるときは『そうそう!こういうときあるよね〜』なんて思いながら読んでいたが、よく考えてみると、私とは真逆な主人公なんじゃない?!って思えた。
この主人公は、いつもいつも自分の置かれた環境で一体なにができるだろうかと真剣に考えている。いつも自分のベストを探している。
私のように、『なにをしよっかな〜』ではないのだ。
『ぼくになにができるだろう?』
この短いパワーワードはまさに利他の精神だ。
私はこの「利他の精神」が自分には足りないものだと自覚しているので、ずいぶん前から、ちょっと大袈裟にいうと座右の銘にしている。
そして主人公は、愛する人のためには『なんだってできる』と最後には強い決意に変わっている。
人の期待に応えようとすることは、やる気もでるが、反面とても辛い。
ただ、その期待に応えようと心がけること、決意するこそが大切なことなのではないだろうか。
目の前の人のためになにができるのか。
愛する人のためになにができるのか。
『わたしになにができるだろう』